ザ・ワールド
二人は連絡先を交換した。
「それにしても、聖って名字珍しいですよね」
帝翔が言う。
雷門の方が珍しいけどな。
珍しい名字ランキングでは聖にも明堂にも負けないけどな!
「ですね。でも、下の名前がマリアだし、結構いじられるから、自分の名字嫌いなんです」
確かに、聖マリアは嫌かもしれない。
阿部マリアとかよりは、名字が珍しいだけマシかもしれないが。
「俺と結婚したら明堂マリアになるから大丈夫ですよ」
時が止まる。
スタンド使いか? と後からツッコミたくなるくらいには、時が止まった。
誰も何も言わない。
表情も固まる。
こいつ...恋すると気持ち悪いな!
「とりあえず落ち着け」
時を動かす為に、俺が口を開いた。
帝翔は真っ赤になっている。
「帝翔、そろそろ帰りな。あんた酒弱いんだし。明日も仕事でしょ」
美智子さんが笑顔で言うが、目は笑ってない。
これ以上息子の失態を見たくなくて、強制的に帰そうとしている。
「帝翔さん、どこに住んでるんですか?」
マリアが帝翔の恥を和らげようと、気をつかう。
当たり前だが、結婚の話はスルーだ。
「武蔵小杉です」
「え! 私も一緒! どの辺ですか?」
「えっと...ここです」
帝翔はスマホの地図で、住んでいる場所を教える。
マリアは興奮して叫んだ。
「うそ! 私の家、向かいです! このマンション!」
えっ、そうなのか?
そんなに近いのか?
どちらの家にも俺は行ったことがない。
マリアは去年父親が亡くなるまでは、親と二人暮らしだったし、彼氏でもないのに家には行きづらい。
帝翔ともだいたいは都内で遊ぶ。
わざわざ俺が神奈川の方には行かない。
そんなに二人の家が近いとは。
気持ち悪い帝翔を見た後だ...マリアの家まで突撃するんじゃないかと心配になる。




