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童貞って言うな!  作者: 袴田一夜
明堂帝翔
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ただのストーカー


その後の情報によると、マリアは三つ上の男と付き合ったらしい。


情報源はSNS。


ミクシーから始まり、フェイスブック、ツイッター(エックス)...高校時代から現在に至るまで、マリアのSNSを探し出して、毎日こっそり十年間欠かさず見ている。


ミクシーとフェイスブックは本名で登録していたので、彼女を探すのは簡単だった。


マリアはJUDAS Iscariot というファッションブランドが好きで、JUDASの服を着たり、小物もよく持っていた。


JUDASの公式アカウントから、彼女のツイッターのアカウントも見つけた。


顔に自信があるのか、彼女は絶対自分の顔をアイコンにする。


何万人もいるJUDASのフォロワーから探し出すのは大変なことだが、彼女は律儀に、新作情報に毎回イイネを押していたので、その中から探し出すことが出来た。


こうやって約十年、ネトストを続けている。



「パソコンに集中してる明堂さんもカッコいい」


「仕事熱心なところもポイント高いよね」



同じ課の女達がひそひそ話しているのが聞こえた。


自慢ではないが、俺は仕事が早い。


その分、人より手が空く時間が多い。


勤務時間の半分くらいは、ただネットを見ているだけだ。


とんだ給料泥棒。


しかも気付けば課長になっていた。


自分がやれば早い仕事は自分でやるが、あとは部下に振ればいい。


こんな俺が女達にはカッコよく見えるのだから、人生イージーモードだ。


退屈だ。


仕事は楽だし、給料も良い。


何が退屈かって、ラクすぎて心が暇だ。


興味がない女にモテても何も面白くない。


好意を向けられるのに慣れすぎてしまった。


今日もマリアの自撮りを勝手に保存する。


俺はただ、手に入らないものを追うのが好きなだけかもしれない。


いっそのこと会社を辞めて、他の仕事を探すか?


そう思ったことは何度もあるが、結局行動するのが面倒で退屈な日々を過ごしている。


時計を見ると午後十二時前...もうすぐあの男が来る時間だ。

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