ポテチと緑茶ハイ
「ナポリタン食べたい」
「あー、駄目。ナポリタンは具材切るのめんどくさい。お菓子でも食べてなさい」
そう言ってチャームのポテチを出す。
母親としても店員としても最低だ。
「今日は電車? 車?」
「電車で来たから飲める。モヒートで」
「緑茶ハイね」
「モヒートだって」
「あんたは緑茶ハイ」
モヒートはライムを切ったり、ミントを入れたり、クラッシュアイスを作ったり、作るのが面倒なカクテルだ。
わかっていて注文してるし、母さんが俺には作ってくれないこともわかっている。
他の客にはちゃんとするが、息子には雑だ。
このやりとりが好きなだけで、別にモヒートが飲みたいわけではない。
俺の前に緑茶ハイが置かれても文句はなかった。
「母さんも飲んでいいよ」
滅多にバーテンにご馳走することは無いが、今日は恋愛相談しに来たのだから、一杯くらいいいだろう。
「え? あんたがそう言うなんて珍しいわね。じゃあ白州のソーダ割りにしようかな」
「白州は高い。角ハイで」
この店では、角と白州は400円ほど値段の差がある。
全く俺の言うことを聞かない母は、白州のソーダ割りを作って俺と乾杯した。
「で? 今日は何の用? 平日に来たり、私にご馳走するなんて珍しい」
早速本題に入る。
「俺、彼女欲しいんだよ」
母親に自分から恋愛相談をする息子なんて、きっとあまりいないだろう。
母さんとは一緒に暮らしていないせいか、母親というより近所のおばちゃん感があって、何でも話しやすい。
「そうなの? あんたは父親と同じで、女嫌いかと思ったわ」




