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童貞って言うな!  作者: 袴田一夜
明堂帝翔
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守ってあげたい


「聖奈、歌おう! 歌って忘れよう!


聖奈はどんな曲が好きなの? そういえば音楽の話はしたことないよね?


俺はヒップホップが好きで、エミネムとかよく聴くんだけど英語だから難しくて。


日本語ラップだとニトロとかクレバとか歌うかな」



駄目だ...俺だけが必死に喋ってる。


聖奈は俯いてしまった。


ぽたぽた涙が膝の上に落ちる。


こ、困ったな。



「何歌う? 女性歌手の歌がいいよね?


えっと...これとかどう? 歌える?


一緒に歌おう?」



俺はとりあえずデンモクのヒット曲一覧からAIのStoryを選んだ。


聖奈にマイクを持たせて、自分ももう1本のマイクを持つ。


普段歌わない曲だから、上手く歌える自信はなかったが、今はそんなことを気にしている場合ではない。


聖奈の悲しい気持ちを、なんとか紛らわせないと!


曲が始まっても歌うのは俺だけだった。


こんなに頑張っている俺を誰か褒めて欲しい。


改めて歌詞を見ると、なんて良い曲なんだ。


今の俺の気持ちも重なって、感動して俺が泣きそうだ。


こんな優しい幼馴染がいて、お前は嬉しくないのか? ...そう思って、聖奈の方を一瞥する。


聖奈は顔を上げていた。


涙を流しながら、口をぱくぱくさせて頑張って歌おうとしている...が、声が出ていない。


なんて...なんて愛らしいんだ!


健気な姿に胸が締め付けられる。


これが、もしかしたら、恋ってやつか?!


前から可愛いと思っていたけれど...こんなに愛おしく感じたのは、今までで1番かもしれない。


俺はマイクを置いて、両手で聖奈の頬を包んだ。


驚いた顔で俺を見る聖奈。


齧りたくなる柔らかい頬。


真っ直ぐ俺を見つめる潤んだ瞳。


ああ、キスしたい!


めちゃくちゃしたい!


涙に濡れた頬に、桃色の唇に口付けしたい。


でも...俺、彼氏じゃないし。


キスしたら嫌がるかもしれない。


していいのかわからない。



「聖奈」



俺のこと、どう思ってるんだ?


聖奈が好きって言ってくれないと、俺は一歩進めない。



「彼氏作った方がいいんじゃない? 聖奈は泣き虫だから、いつでも優しく守ってくれる男がいいと思う。


そんな男、いないの?」



いるよな?


俺だろ?


俺だと言ってくれ。


お前のことを一生大事にしてやるから。


父さんに何言われても、離さないから。


死ぬまでずっと一緒だよ!



「いません。私のこと、好きになってくれる人なんて」



なんでそう思うんだ!


こんなに優しくしてやってるのに!


俺は誰にでも優しい男じゃない。


気付けよ。


俺が聖奈のこと特別扱いしてるって、気付けよ。


第二ボタンを聖奈にあげた意味に気付けよ!



「私、彼氏を作ろうとする努力はしました。でも駄目だった」


「努力? 化粧して、おしゃれな服を着たのが努力だと思ってる?」



聖奈はそのままでも可愛かった。


直すべきはネガティブな性格だ。


もっと自分に自信を持っていいのに。



「...もう、嫌」



聖奈は俺の手を払う。


涙は止まっていた。



「出会った日から、私のこと馬鹿にして。傷付けて。


なんなの。本当にムカつく」



俺は呆気にとられた。


馬鹿にした?


傷付けた?


俺が?

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