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童貞って言うな!  作者: 袴田一夜
明堂帝翔
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紹介出来ない兄


次の日から聖奈は様子がおかしくなった。


元気がなくて、いつも悲しそうな顔をしている。



「聖奈、やっぱり病院行った方がいいんじゃないの?」



そう言ってるのに、聖奈は大丈夫だと言う。



「もしかして、勉強疲れちゃった? しばらくやめとく?」



自分と同じ高校に入れさせたいが為だけに、聖奈に勉強をさせていたが、申し訳なくなってきた。


気を遣って聞いてみたが、勉強は続けたいと言われた。


昼休みも変わらず会ってくれる。


しかしずっと元気がない。


笑ってるけど、無理して笑顔を見せてるような。


原因がわからなくて、俺は相談しに母さんの家に行った。


母さんは不在で、代わりに兄さんがいた。


この際、兄さんでもいい。


俺はリビングで、聖奈のことを相談した。



「聖奈って、雷門家の聖奈? 相変わらず雷門家と仲良いよね。


雷門家の婿にでもなるつもり?」



母さんと同じことを言われる。


兄さんとは年に数回しか会わないが、関係はそこそこ良い。


この頃から兄さんはカラコンと化粧をしていて、髪色は紫と派手だった。



「昔見た時はデブだったけど、今でも子豚ちゃんなわけ?」



兄さんは雷門家とあまり関わりがないから、だいぶ昔の聖奈で止まっている。


生徒手帳に挟んでいた写真を取って、兄さんに見せた。



「えっ! 可愛いじゃん!」



そうだろう、いいだろう?


俺の自慢の可愛い幼馴染だ。



「付き合ってんの?」


「いや、そういうわけじゃない」


「じゃあ紹介してよ」



俺は写真をしまった。


紹介するわけないだろ!


兄さんは俺と顔はそっくりだが、性格は真逆。


遊び人で、彼女が何人もいた。


...彼女って普通1人じゃないのか?



「家が金持ちで顔も可愛い...最高じゃん。俺だったら狙うね。


何で付き合わないの?」


「今の関係が良いから」


「セックスもしない女とずっと一緒にいて何が楽しいわけ?」



こいつ...殺そうかな。


体の関係を持つことだけが、全てだと思っている。


それ以外の楽しみを知らないんだ。


可哀想な兄さん。



「帝翔が狙わないなら、紹介してよ。俺、その子がいい」


「嫌だよ。聖奈は兄さんみたいな人、好きじゃないよ」



俺は帰る準備をした。


やっぱり、兄さんには相談出来ない。


聖奈と兄さんに関わりがなくて良かった。


あんな男...聖奈に何するかわからない。



結局、何も出来ないまま月日が流れた。


俺は気付かないうちに、失礼なことを聖奈に言ったんじゃないか?


本人に聞いてみたが、「そんなことないよ」と言うだけ。


会ってはくれるし、いつも通り話もしてくれる、遊んでもくれる...でも、何かが違う。


なんだか心が離れている気がして、俺は気が狂いそうだった。

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