親子喧嘩
「聖奈は聖羅さんと違うって。すごく良い子だよ」
聖奈ママとは何度も顔を合わせてるけど、あまりちゃんと話ししたことはない。
少し避けられてる気がする。
きっと向こうも、俺のこと好きじゃないんだ。
俺が父さんに似てるから。
「お前...心を奪われたな?! あれだけ心だけは奪われるなと教えたのに」
俺は父さんの言葉を聞いて驚いた。
それって俺が聖奈に惚れてるってこと?
「う、奪われてないし! 逆に奪ってやったし?!」
自分でもわけのわからないことを言っている。
「娘の方がお前に惚れてるって? 根拠は?」
「聖奈は俺の言うこと何でも聞く。俺がすすめる本はちゃんと読むし...
俺が勉強教えたら、聖奈だって成績上がるよ。小学生の頃、俺が勉強見てた時は成績良かったんだから。
学校の先生の話は聞かないかもしれないけど、俺の話は聞く」
父さんは鼻で笑う。
「本当だって。聖奈が俺と同じ高校に入学したら、父さんも認めてよ」
「何を認めるんだ?」
「聖奈が俺にぞっこんだってこと!」
そんなの認めてどうする、と言われた。
...それもそうだ。
「俺が言いたいのは、お前があの娘に惚れてるんじゃないかってことだ」
「惚れてないって! うるさいなあ!」
仮に惚れていたとして、何がそんなに悪いんだ?
女は裏切る生き物だから、いつか俺を傷つけるって?
それとも、相手が元カノの娘だからこんなに責められてるのか?
「父さんは何でそんなに聖奈のこと気にするの? 元カノのことまだ好きなの?
母さんが出て行ったのは、父さんのそういうところだよ!」
ネチネチしつこい!
過去のことをいつまでも引きずって。
離婚の理由は、単純に父さんの性格が悪いからだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
「そういうところって...どういうところだ?」
父さんの目が血走っている。
まずい。
鎮めるどころか、油を注いでしまった。
でも、ここまで来たら俺も後に引けない。
「えっと...昔、聖羅さんがチョコレート持ってきたでしょ? あの時、母さん言ってた。
『父さんは元カノのことがまだ好きだから、家に来て喜んでるんだ』って」
咄嗟に言った作り話。
チョコレートを貰ったのは事実だが、母さんはそんなこと言ってない。
父さんは突然家を出て行った。
スーツのまま、鞄を持って。
やばい!
俺は急いで追いかける。
「父さん、嘘だよ。ごめんってば」
俺が謝っても歩みを止めない。
向かう場所は想像がつく。
母さんの店だ!
喧嘩になったらどうしよう...ただでさえ2人は仲が良くないのに。




