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童貞って言うな!  作者: 袴田一夜
明堂帝翔
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手紙は嬉しい


聖奈は昼休み、5階理科室前のトイレで過ごしているらしい。


なんでトイレなんかに...。


聖奈は一人になりたいと言っていたが、そんなの俺が許さない。


俺はもっと聖奈と話したい。


かまって欲しい。


俺は女子トイレに通うことにした。


実際に中に入るわけではない。


トイレと廊下を仕切る扉はないので、廊下から聖奈に話しかけることが出来た。


一人になりたいとか言ってるわりには、俺が行くと楽しそうに喋る。


聖奈は俺以外に友達がいないと言った。


俺が聖奈の時間を奪うから、他の友達を作るタイミングを逃したのだと。


...聞いてて辛くなってしまった。


小学生の頃から、俺は聖奈の時間を独占していた...否定は出来ない。


俺は雷門兄妹がいれば、他に友達はいらないと思っていた。


でも、そう思っていたのは俺だけ。


聖也は他に友達がたくさんいて、聖奈は俺以外の友人を求めている。


聖奈と距離をとるべきなのか?


でも今更じゃないか?


聖奈はもう、休み時間を教室で過ごすより、トイレに籠る方がマシだと思っている。


もう今のクラスで友達を作る気がないということだ。


俺しか友達がいないのに、俺が距離を置いたら可哀想だ。


だから俺は今まで通りでいい。


俺のせいで聖奈がひとりぼっちになったのなら、責任はとってやる。




俺は聖奈に言われた通り、恋愛小説を買って読んだ。


日本の恋愛小説はどうしても読む気が起きない。


映画も洋画派だ。


海外の恋愛小説でオススメはないか、本屋の店員に聞いて買ったのが「高慢と偏見」だった。


読んでみたところで恋愛が何かはわからなかった。


相手役のダーシーは、ヒロインのエリザベスに一目惚れだ。


口では「一緒に踊りたいほど綺麗ではない」と言うが、実際は彼女の瞳に惹かれていた。


俺は一目惚れしたことがないから、その時点で共感が出来ない。


可愛いと思う女の子は何人かいる。


でも、一目で心を奪われるほどの美女ではない。


ああ、でも父さんの教えでは「心は奪われてはならない」のか。


恋って難しくないか?!


しなくてもいいような気がしてきた。


そもそも俺は、聖奈に言われて恋を知ろうとしているが、聖奈の為にこんなことをして何になるのだろう。


俺は現状に満足しているのに。


ただ、「傲慢と偏見」の物語自体は面白かった。


俺は聖奈に小説を貸した。



「ダーシー様素敵だった。私もあんな一途な人に愛されたい」



聖奈は気に入るだろうと思っていたが、予想以上だった。



「プロポーズされたい。想いが綴られた手紙が欲しい。


あの長文の手紙は、誤解を解く為の手紙。つまりエリザベスに愛されたいと願って書いた手紙なのよ」



手紙か。


聖奈は手紙を貰ったら嬉しいのか。


俺は何度か女の子に手紙を貰ったことがある。


確かに、手紙は嬉しい。


普段俺に話しかけてこない奴とか、好意を見せてこなかった女子から貰う手紙は、驚きがあって楽しい。


だからといって付き合いたいとは思わないが。


ダーシーはエリザベスにプロポーズして、断られた。


フラれた女に手紙を書いたのは、自分への誤解を解く為だ。


聖奈の言う通り、そんな手紙を書くということは、まだエリザベスへの気持ちがあって、愛されたいと願ったからかもしれない。


俺は自分の思いを文章にするのが苦手だ。


作文は勿論、夏休みの日記を書くのだって苦労したのに、手紙なんて書けない。


けど... 聖奈は手紙を貰ったら喜ぶ...覚えておこう。


「俺からの手紙は期待するな」とは言ったが、サプライズでいつか渡してやろう。


きっと驚くに違いない。


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