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教師フリーデといじめられっ子ルプス

ブクマ、★★★★★よろしくお願いいたします!

「やめなさい! なにをしているの!?」


 校舎の裏で、腰まで伸びる黒髪を乱しながらフリーデは叫ぶ。

 視線の先には4人の生徒。


 ひとりの生徒をよってたかってタコ殴りにしていた。

 教師である彼女はそれを見過ごすことなどできない。


「げ、逃げるぞ! うっせぇ説教が始まるぞ!」


「コラ待ちなさい!!」


 しかし3人は背を向けて逃げてしまった。

 彼らはこの学園の出資者たちの息子。


 名のある家系に連なる才能ある魔術師の卵。

 だが、その性根はあまりに腐ってしまっている。


「ルプス君! ルプス君!」


「先、生……」


「あぁ、ひどい怪我……どうしてアナタだけこんな目に」


「……違うんです。その、これは」


「いじめじゃないって? 遊びの範疇だった? 全然説得力がない。アナタいつもひどい目に合わされてるじゃない」


 ルプスは天涯孤独の施設育ち。

 たまたま膨大な魔力適正を含んでいたので、様々な過程を経てこの魔術学園への入学が認められたのだが……。


「その、大丈夫です。僕のことなら……」


「大丈夫じゃないでしょ。さぁ保健室へ行きましょう」


 ルプスは無理して笑っていた。

 廊下を歩くときには俯いて、泣いてもいるようだった。


 なにも声をかけられない。

 フリーデも黙っているしかないった。


(私が、私がなんとかしないと……でも、学園は……)


 フリーデはこの学園の腐敗具合に辟易していた。

 世界に名だたるこの学園に憧れて教師にはなったが、現場を知れば知るほどに心は打ちのめされていく。 


 このいじめは彼女に辛い傷をもたらした。

 だが一番傷ついているのは、ルプス自身だ。


 才能もあり、努力もしている。

 生まれに目を瞑れば将来有望なのだろうが、悲しいことに彼はフリーデ以外に味方がいない。

 

「先生、その、ありがとうございます。ここまでで十分です」


 ルプスは保健室のある方向へと歩いていった。

 背中から感じる哀愁に思わず胸が痛くなる。


 だがその痛みが彼女に闘志をもたらした。

 なんとしてでもこのいじめを止めなくてはならない。


「もう一度、学園長に直訴しなきゃ」


 フリーデはパンプスの音を廊下に響かせながら、足早に学園長室へと向かう。


「ラタノア学園長。これ以上見過ごすことはできません! なぜ指導を行わないのです? 学園としてキチンとした対応をすべきです。いじめはどんどんエスカレートしていってます」


「フリーデ先生、前にも言ったでしょう。あれはいじめなどではありません。あくまで生徒同士のコミュニケーションです。……彼らはまだ若い。力の加減を誤ることもあるでしょう。だが、そういった経験を経て、人間関係を学んでいくのですよ」


「あれがコミュニケーション!? 校舎裏でよってたかって痣だらけになるまで殴ることがですか!?」


「フリーデ先生、アナタも確か彼と施設出身でしたね? ……そのルプス君とやらに肩を持ちすぎではないかな?」


「そ、それとこれとは別です!! 話をそらさないでください!」


「それにだ。こんなことで大騒ぎして、学園の名に傷が付いたらどうなります? その結果、その例の3人組の未来が閉ざされたら、誰が責任を取るのですかな?」


 学園長は頑としていじめを認めなかった。

 そればかりか被害者など眼中にない。


 施設育ちということで差別をしているのか。

 出資者の息子たちのほうが大事だというように。


 不毛な言い争いが続く中、事態は最悪の方向へと進んでいっていることに、フリーデは気付かなかった。



 


「くそ、あの教師いっつも俺らの邪魔するよなぁ」


「マジダルい。折角のお楽しみをよぉ。ルプスの肩持ちやがって胸糞悪ぃ……」


「なぁ、俺イイコト考えたんだけど?」


「お、なんだ?」


「お前の提案には外れがねぇからな。聞かせてくれよ。スカッとしてぇ気分なんだよ」


「まぁまぁ落ち着けって。……なぁ、フリーデって実際どうよ? めっちゃ、美人だよなぁ?」


「おう。……おいまさか」


「そのまさかだ」


「さすがにそれはヤバいっしょ! やめといた方がいいんじゃねぇの?」


「大丈夫だって。俺らの家のこと考えりゃ、学園側はなぁんもできねぇよ」


「へ、へへへ……そうだな」


「で、いつだ?」


「今日の夕方になんてどうだ? ホラ、例の倉庫。折角だからルプスく~んも呼んでさぁ」


「ハッハッハッ! マジ鬼畜だな」


 


ブクマ、★★★★★よろしくお願いいたします!



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