フードコート戦争【後攻】
【登場人物】
◆御勅使 美波(みだい みなみ)◆
高1。身長148センチ。背の高い男子に威圧的な態度をとる女子。赤坂君が好き。
◆赤坂 大(あかさか だい)◆
高1。身長147センチ。超ネガティブ思考の男子。御勅使さんが好きになった。
◆御勅使 福嗣(みだい ふくし)◆
大学生。身長176センチ。美波の兄。チャラ男。
10月に入って久しぶりの冬服に袖を通したものの、まだその着心地にイマイチ馴染めなかった1週間を何とか過ごして迎えた週末の3連休。釜無高校1年3組の《御勅使 美波》は隣町にあるショッピングモールの2階のフードコートで食事をしようとしていた。そう、私のことだ。
私は今、とても機嫌が悪い。週末にショッピングモールでお買い物……といえば普通はテンションが上がりそうなものだが……その理由は今回、一緒に買い物に来ている「ヤツ」のせいだ。
「あれぇ~? 美っ波ぃ~、どこに行ったぁ~? あれぇ~おっかしいなぁ~ここで待ち合わせしてるハズなのになぁ~……」
また始まりやがった! 先に注文した料理を取りに行って、座って待っている私の「目の前」で私を探すというボケをかましているのがその「ヤツ」だ。
できればこのままずっと無視していたいが……いつまでも目の前にいるとウザいので相手にしてやるか。
「おい……目の前にいるぞ」
「わぉ! ここにいたのかぁ~! ノ美波に小さいから目に入らなかったよぉ~」
――こっ……こいつマジでむかつく!!
コイツの名は《御勅使 福嗣》、認めたくはないが私の『兄』だ。こうやっていつも私の低身長をイジッてくる。
私は幼少のころ自分の低身長をそれほど気にしてはいなかった。しかし小学校高学年くらいから、毎日のようにコイツが私の背の低さをイジッてくるようになったせいで、中学生のころにはコンプレックスにまでなってしまったのだ。なので……
私が背の高い男を嫌いになった原因……ズバリ、福嗣だ!!
逆にこの男は身長が175センチ以上ある。ウチの両親は私より少し背が高いのだが、それでもここまで高くはない。きっとコイツは御勅使家の子じゃなくて、北岳あたりで野生化していたものがウチに迷い込んできたに違いない。
よくマンガやアニメで「兄妹」というと、妹が「お兄ちゃん大好き♪」っていう設定が多いが、ウチに限ってそれはないっ絶っっ対にない!! そんな関係、想像しただけでじんましんが出そうだ。
なのに、何でそんなヤツと一緒にショッピングモールにいるのかというと……
コイツは普段、東京の大学に通っている。田舎にありがちな「東京コンプレックス」のせいだろうか、近所のおばさんたちからは「てっ! 福嗣くんは東京の大学行ってるだけぇ!? 頭良いじゃんけぇ」と言われているらしい。
……が、現実は違う! コイツが通う「東京の大学」とは決して赤門のある大学ではなく、山梨はおろか東京の人間でさえも名前を聞いたことがないという底辺大学、つまり「Fランク大学」のことだ! 九九が全部言えたら入学できる……というウワサすらある。
そんな「Fランバカ兄」が3連休を利用して帰ってきた。で、今付き合っている彼女に服をプレゼントするので、私に選んでほしいから買い物に付き合えというのだ……んなモン東京で買えよ!
Fラン兄はバイトしているからお金は持っている(ホストをしているらしい……マジか?)。ついでに私も服を買って欲しいところだが、コイツのことだ……絶対に私を「子供服売り場」に連れていくだろう! そのボケだけは絶対に阻止したいので「昼メシおごる」という条件で付き合ってやったのだが……
――何でフードコートなんだよーっ!!
てっきり1階のレストラン街で「しゃぶしゃぶ食べ放題」か「キングパフェ」が食べられると思ってたのにぃー! せこいぞFラン!
悔しいので私は、エスニックっぽい店名なのになぜか丼ものやそばなど和食がメインのお店で「かつとじ丼」を注文したが、これじゃ足りないので2軒隣のラーメン店で「担々麵と餃子セット」に「コーラ」も追加してやった!
「っていうかお兄ぃ遅いじゃん」
「いやー店員のチャンネェめっちゃ可愛ぃかったからさぁ~ニャイン交換しよぉ~って……」
「はぁ!?」
呆れてモノが言えねぇ……コイツは身も心もチャラ男だ。さっき彼女に服買うと言っていたがこのFラン兄は、ほぼ1か月おきに彼女を変えているらしい……つまり今回の買い物は無駄な投資だ!
「で、お兄ぃは何買ったの?」
「ん~何かぁよくわかんねぇけど……『塩カルボ』だってよぉ」
はぁ? こっちはラーメンにカツ丼のガッツリ系だというのにオマエはパスタかよ? 女子か!? どうせ店員のお姉さんが可愛かったからってオシャレ気取りで注文したんだろう……女子か!? しつこいけど何度も言ってやる! 女子か!? オマエは女子か!?
しかも何だよ「塩カルボ」って? よく見たら小松菜入ってんじゃん! ヘルシー志向か? まぁ女子が食べたらオシャレっぽいけど、このFランチャラ男が……と思ったら何かイラつく!
するとこのFランチャラ男が、私が食べようとしている料理を見て
「おい美波ぃ、おまっ……そんなに食うのかよぉ」
「うるさいなぁ、いいじゃん育ちざかりなんだから!!」
「えぇ~でも全然そ……」
「育ってないって言いたいんでしょ!? あーそうですよ背が伸びませんよ!」
「いやオッパイも……」
「うっうるさい! どこ見てんだよこのヘンタイFラン!」
もうこのバカは無視して先に食べよう。いただきまーす! 麺がのびるといけないから先に担々麵食べよう……あと、餃子も!
ん~~~美味しい! フードコートだからって最初はバカにしていたが結構美味しいじゃん! こうやって見ているとFランの食べているパスタも何か美味そうに見えてきた。
「ねぇお兄ぃ……そのパスタ、1口ちょうだい」
「えっ何言ってんだよぉ! そんだけ食ってりゃ十分だろぉ?」
「え~いいじゃん、1口だけぇ」
「やだよぉ」
そんなやりとりをFラン兄としていると……
〝チャリーン〟
と、どこか他の席から音がした。
あれ? 誰かスプーンでも落としたみたいだ。誰だろう? 私はFラン兄のパスタにロックオンしていた箸を引っ込め、周りを見渡した。すると……
4つくらい向こうの席に、ひとりで座っている男の子と目が合った。
――あ?
――ああ!
――ああああああああああああ!?
あぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああかぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああさぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああかぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああくぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううんっ!!
【開戦】
何で? 何で赤坂君がここにいるのぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
赤坂君とは、私と同じクラスで席が隣の《赤坂 大》君のことだ。クラスが一緒になって以来ずっと好きで、先月の体育祭では二人三脚でペアまで組んでとてもよい思い出ができた。でも、あの日以来教室で会ってもあまり私の方を向いてくれない……私、何か悪いことでもしたのかな?
赤坂君は目をまん丸くして、何も持っていない右手を胸のあたりまで持ち上げたまま凍り付いたようにしてこっちを見ていた。どうやらスプーンか何かを落としたのは赤坂君のようだ。
マズい! 私はすぐに目を逸らした。赤坂君にコイツを「兄」だと紹介したくない……血縁関係があると思われたくない。こんなところで兄妹2人っきりで……。
――あれ? まさか……。
赤坂君、まさか私たちのことを『恋人同士』なんて思ってないよね?
いやいやいや、だってさぁココにいるのは月替わりで彼女変えるようなチャラ男だよぉ!? そんなことありえない……ありえな……ありえ……
ありえるぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!
「何だよぉ~美波ぃ~、あそこにいる坊やは知り合いかぁ~い!?」
うわぁああああああああああああああああああああああああああああFラン兄に気付かれてしまったぁああああああああああああああああああああああああああ!
「ちっちち違うよ! 知らっ、知らな……ぃ……」
「え~、でもアイツ、ずっとこっち見てるぜ」
おいFラン! 指さすなぁああ! それと赤坂君! こっちを見るなぁああ!!
「あっ、もしかして……?」
えっ、何? 何? やめて! 怖いんだけど……。
「美波ぃ~オマエこの間、好きなヤツがいるって言ってたよな……アイツか?」
うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! 何でこんなとこで勘が冴えるんだバカ兄ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?
「えぇっちっ……ちがっ……そっそそそんなんじゃ……」
「そっかぁ~? でもそういうんだったらちゃ~んと兄としてあいさつしとくのが礼儀だよなぁ~、ちょっと行ってくらぁ~」
と言うとFランチャラ兄は席を立って赤坂君の元へ向かった。
ちょちょちょっちょっと待てぇえええええええええオマエが行くなこのFラン! オマエのは礼儀じゃねーよ無礼だよ! オマエの大学では「delicacy」という単語は教わらないのかよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
あぁー行ってしまった。でもまぁ、ここでアイツが「兄です」って言えば、もし赤坂君が私たちに疑惑の目を向けていた場合は誤解が解けるだろう。ただし、アイツが兄だってわかった時点で、どのみち私の好感度はゼロになってしまいそうだ。
Fランが赤坂君と何か話している……マズいなぁ、状況によっては私は赤坂君に完全に嫌われてこの恋はバッドエンドになってしまう……最悪だ。
あ、そうだ! 赤坂君にニャイン送ろう! 私は急いでスマホを取り出すと、赤坂君に送信するメッセージを入力した。
ええっと……『今そこにいる人はわたすの』、あぁっ間違えた! 『私のあき』あぁ違う! うぅっ、手が震えてうまく打てない……あ、そうだ! スタンプを送ろう! ええっと……あ、これだ! これを送信っと!
送ったのは『関係ないからね!』と書かれたスタンプだ。今、赤坂君の所に行った人は彼氏とかそういう関係じゃないからね! って意味だ。よかった、これで誤解が解ける。
……あ、戻ってきた。
「おっ待たせぇ美波ぃ、あいさつしてきたぜぇ~」
「……何て言ったんだよ?」
「え? 『ねぇ、キミが赤坂く~ん?』って聞いてみたけどぉ~」
うわっ、チャラいなぁ……
「で?」
「う~んと……で、彼がうなずいたからぁ~、『あっそぉ~、ウチの美波と仲いいんだってぇ~?』って言ったよぉ~」
「そっ、そんなこと聞いたのかよ? で?」
「ええっと、『ま、これからもシクヨロ~! じゃあねぇ~!』って言って帰ってきたよぉ」
「……で、オマエは自分が何者で、私とどういう関係なのか名乗ったのか?」
「ん~と……そういや言ってねぇやぁ~はっはー、草生えたぁ!」
〝バシッ!!〟
私は本能的に、Wピースをしたコイツの脇腹に正拳突きをくらわした!
「ってぇなぁ何すんだよぉ~!」
「うるさいこのFランバカ兄ぃ!!」
最悪だよぉおおおおおおおおおおおおおおおお!! 誤解が深まってしまった!
赤坂君はネガティブシンキングだ! せっかく友達になれたのに、これでは間違いなく私たちが恋人同士だと思って敬遠されてしまうじゃないかぁ!
しかも待てよ!? さっき私が送ったスタンプ……よく考えたら『(アナタとはもう)関係ないからね!』って……つまり友だちの関係も清算しましょう! っていう意味にとられてしまうかも!?
Fランバカ兄が私たちの関係を言ってない状態で、しかも相手はネガティブシンキング(略してネガシン)……
疑惑の炎にガソリン撒いてしまったぁああああああああああああああああああ! 付き合うどころかこのままじゃ友だち以下に逆戻りじゃねーか……バカか私!
――違うよ赤坂君! 私はこのチャラ男とはそういう関係じゃないよ!
私は遠く離れた赤坂君の目を見て訴えた。赤坂君はいつもの捨てられた子猫のようなウルウルした目をしている。ダメだ! このままじゃいけない! 直接行って誤解を解かなくては!
「もういい! 私が行ってくる!」
私は残っていた餃子を全部口の中に入れると席を立って赤坂君の元へ向かった。
うわっ、赤坂君もFラン兄と同じパスタ食ってるじゃん!! 早く誤解を解かないと……私は赤坂君に話しかけようとしたとき、あることに気が付いた。
うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああしまったぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!
私、餃子食ってんじゃん! ヤバいヤバい! 今この状態で赤坂君に話しかけたらニンニクくさい口臭がかかってしまうじゃん!
「あ……赤坂君」
私は、赤坂君に息がかからないよう顔を背けて小声で話しかけた。
「はっ……はいっ!?」
「あ、あのさぁ……」
ネガシン赤坂君は定番のウルウル目&ブルブル震え状態だ。そうだよねぇ、赤坂君とは住む世界が違う異次元のチャラ男と知り合いなんて……そりゃ引くわ。
「あの人、その……そういうんじゃないからね」
そう、アイツは認めたくないけど私の兄だからね! 彼氏とかそういうんじゃないからね! とりあえず赤坂君にその気持ちを伝えると急いで自分の席に戻った。
「おぅお帰りぃ! 言ってきたのかぁ?」
「言ってきたわよ」
「カッコいーお兄さーんだってぇ?」
「それは言いたくないし認めたくもないけど一応、兄だって言って……」
言って……
兄だって言って……? あれ?
……言ってねぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!
うわぁあああああああああああああああああああああ!! 兄だと認めたくない本能的な何かが発動したのか「兄」という単語が全く出てこなかったぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
終わった……。
あのネガシンの脳内は、確実に私が彼氏持ちだと思っている。もうヤツの恋愛対象選択肢から私は外されたな。
ただでさえ草食系、いや……雌雄という概念すらない植物プランクトン系の赤坂君が、彼氏持ちの女子を奪ってでも付き合おうなんて発想自体ありえないだろう。
もういいや、赤坂君のことはあきらめてゴハン食べよ……お腹空いた! ヤケ食いだ! 私は黙々と残りのゴハンを完食した。
「お、おい美波ぃ……いいのか?」
「いいよ、もう……行こ!」
さすがの空気未読チャラ兄も、私の異変に心配そうな顔をしていた。でも、もう赤坂君の顔を直視できない。私は逃げるようにフードコートを後にした。
チャラ兄の買い物にもう1ヵ所付き合わされたが、落ち込む私を不憫に思ったのか珍しく私に、何か小物くらいなら買ってやると言ってくれた。
以前からスマホ対応の手袋が欲しかったので、この機会に買ってもらった。犬の刺繍がしてある……どことなく、この前赤坂君の家で見たワンちゃんに似ている。
買い物も全て済ませモールの駐車場へ向かおうと1階の通路を歩いていた。あ、そういえば家に帰ってからも何か食べられそうだし、ママにお土産も買っていないや。そうだ、パン屋さんでパン買って帰ろう。
何買おうかな? やっぱ塩パンとお米パンは外せないが……自分用にメープルメロンパンも買って帰ろう!
私はメロンパンが大好物だ! なぜなら……あっ!
――そうだ! 思い出した!
――そうだよ!!
私、「あのとき」から……
赤坂君のことがずっと好きだったじゃん!!
やっぱ……あきらめきれないよ!
明日、ちゃんと赤坂君に話そう……信じてもらえないかもしれないけど。
すると、目の前に1人でトボトボと歩いている男の子が……
――赤坂君だ!
赤坂君も私たちに気がついたが、軽く会釈をしてそのまま通り過ぎようとした。マズい、完全に気を遣った他人行儀な態度だ! このまま通り過ぎたら明日学校で会っても口きいてくれないかも……
「あっ、赤坂君! 待って!!」
私は赤坂君を呼び止めた。赤坂君はおどおどした様子でこちらを振り向いた。
「あっあのさっ…………この人、私の……『兄』なの!」
「どぉもぉ~! 兄どぅおえっ~~~~~っス!!」
私は「赤坂君の誤解を解きたい」気持ちと「でもコイツの妹と思われたくない」気持ちが葛藤した状態で勇気を振り絞り、赤坂君にこのチャラいFランバカ兄を紹介した。赤坂君は目をまん丸くして口をパクパクさせていた……相当の衝撃だったようだ。とりあえずこの兄と同類に見られていなかったのはせめてもの救いだ。
赤坂君と別れ、パンを買って駐車場に出た……ん? 何だコレ?
駐車場の一角に大きな石が! フェンスに説明書きがある……どうやらこれは古墳らしい。古墳とはいっても、ただ大きな石が無造作に置かれているだけだ。
古墳とは古代の「墳墓」のことだが……そんなことはどうでもいい。
「美波ぃ~よかったなぁ! アイツに彼氏じゃなくてカッコうぃ~お兄さんって認めてもらえてさぁ~」
何が「カッコうぃ~」だFランバカチャラ兄め! オマエと恋人に見られても最悪だが、赤坂君にオマエと血縁関係があると思われた今も気分は最悪だ……そこにある古墳の石より気分が重いわ。
結局……どっちに転んでも最悪じゃねぇかぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああこのFランバカ兄ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!
私は……この兄に「憤怒」していた。
【終戦】
※※※※※※※
〈1年後〉
今、私は《赤坂 大》君と付き合っている……のだが……、
「ねぇママ! 今日、お兄ぃ帰ってきてなかった?」
「あら、お兄ちゃんなら赤坂君とゲームセンターに行ったみたいよ……美波、知らなかったの?」
「えぇっ知らないよぉ何それ!? ちょっ私、置いてけぼり? 信じらんない!」
そう……あれ以来、私の兄《御勅使 福嗣》は大人しくて従順な大くんのことを弟のように気に入り、時々こうやって2人で遊びに行ったりもしているのだ。
――ちょっと待ってよ!
福嗣は私の兄!
大くんは私の彼氏!
あの2人……私がいなかったら何の接点もないハズだぞ! なのに何で……何で私が蚊帳の外なんだ?
ふっ……ふざけんなぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
頭にきた! 明日はFラン兄を運転手としてこき使い、遊園地に行って赤坂君の苦手な絶叫マシンデートだ!! あの2人、覚えてろよ!
そういえば……
先日、赤坂君を家に招待したんだけど、そのときFラン兄が
「小~、オマエが本当の弟だったらいいのになぁ~」
と言っていた。
わかったよ、大くんのことを「小」って呼ぶのは気に障るけど……
大くんが、お兄ぃの「義理の弟」になれるように頑張るよ!
最後までお読みいただきありがとうございました。次回は再び(番外編)です!