5話:無粋な襲撃者
僕たちは町外れの工場跡地に降り立った。
「結界を張るわ。」
そう言うとレイベリアは、僕たちがいる周り半径一メートル程の所に、杭を打ち込んだ。
「私たちの存在を認知できなくなるって品物よ。二、三時間は見つからないと思うわ。
さて、今から話す事はすべて真実よ。理解してね。」
「ここまでも信じられない事ばかりだったからな。まかせろ。」
「それではまず私について説明するわ。さっきも言った通り、私は死と破壊を司る神。
一般には吸血鬼と呼ばれているわ。中世の時代に迫害を受け、吸血鬼の祖先たちは世界中に散り散りになってしまった。そして私たちガデス家は日本に流れ着いた。
日本には日本独自の管理形態があって、迫害の手はそこまでやって来なかった。
その後、ガデス家は日本の管理下に置かれる事になった。
その当時、日本における“異端”の管理はすべて真音生寺家に一任されていたそうよ。」
「真音生寺って言うと・・・。」
「そう、貴方のことよ。なんでも真音生寺家だけに伝わる特別な力によって、日本において絶対的な権力を持っていたらしいわね。」
「特別な力?」
「“神の統率”と呼ばれる力。
どのような能力・力であろうとも、封じてしまう奇跡の力。
この力には誰であろうと逆らうことは出来ない。ガデス家もその管理のもと、幸せに暮らしていたわ。私たちが出会ったのも、そのよしみゆえよ。」
「いつ僕たちは知り合ったの?」
「お互い物心つくころにはとっくに顔見知りよ。いっつも私の後ろについて来て、それはもう自分の弟の様に可愛がっていたわ。」
「・・・おとうと?」
「私のパパと貴方のお父様がとっても仲良しでね、よく貴方を連れて遊びにきたのよ。
パパったらね貴方のお父様とお酒を飲むときは、いつも以上に酔っ払ってね、普段めったに笑わない人なのに、その時だけは私の頭を撫でてくれるのよ。」
「父親か・・・。」
「・・・でもパパは、7年前に殺されたわ。
よく分からない連中が家に押し入って来て、妹を連れ去ろうとしたわ。家族全員の抵抗もむなしく、私と妹以外の家族は皆死んでしまった。
私は妹を探すことにしたの。真音生寺家に協力を要請したけども、まったく連絡が着かなかった。7年前から今まで、貴方たちはどうしてたの?」
「7年前というと、僕たちの一家が事故にあった時と合致するな。僕はそれ以前の記憶がない。その後は咲おばさんに育てられた。」
「なるほど、その咲という人の仕業ね。7年間貴方の消息がまったく掴めなかったのは。
それにしても不自然ね。どうして貴方を隠しておく必要があったのかしら。
もしかして・・・事故ではなかった? もしそうなら今夜の襲撃の意図も解る。でも、なぜ命を狙う? 7年前の一致。妹がさらわれた意味は? 記憶喪失のわけは・・・?」
「何を独りでブツブツ言っているの?」
「あ、ゴメンナサイ。ちょっと考え事をしていただけよ。何でも無いわ。」
そう言うと、レイベリアはそっぽを向いて黙り込んでしまった。
暫くの沈黙の後、
突然の轟音と衝撃に僕は尻餅をついた。
「冗談じゃないわ。どうしてこんなにも早く見つかってしまったの!?」
崩れる倉庫の壁。その瓦礫の上、月光を背に人影がひとつ。
「こまるなー、吸血鬼のお嬢さん?仕事の邪魔をしてはいけないな。」
「また貴方なの?“覚醒人鬼”。本当に大したストーカーね。」
「ストーカーは無いな。こっちは仕事だってのに。」
「相変わらず下品ね。いいわ。今度こそ血の海に沈めてあげる。」
彼女は腕を横一文字にふり、眼前の敵へ向かっていった。
お粗末さまです。特別つまんなかったですよね。説明ばっかり。祢緒の能力が明かされましたが、発動にはある条件がいるんです。どうでもいいですね。飽きずに読んでいたただけると幸いです。がんばります。フランちゃんかわいいよ。ウフフ。←きめぇ