4話:月下の舞踏会
「御客さんがおいでになったわ。」
彼女が向いているほうを見ると、数人の人影がいた。
でも、何かおかしいと思った。だってあの人影は地面からにじみ出る様にして、その数を増やしていたからだ。
「何だあれ。人間じゃない。」
「ええ、ゴーレムのようね。それにしては低俗だけど。もっぱら、他の術者が集まるまでの時間稼ぎといったところね。まったく、舐められたものだわ。こんな程度では、貴方の力を借りるまでもない。見ていなさい、一分以内に片付けてあげるわ。」
そう言うと、彼女は境内の中心まで優雅に歩き、
まるでここが舞踏会場であるかのように一礼した。
「さあ、踊りましょう。今夜は狂喜の宴。心行くまでご堪能ください。」
それに機を合わせたかのようにゴーレムたちが次々と彼女に襲い掛かっていく。
その激動のさなか、僕は信じられないものを見た。
踊っていた。濁流のように襲ってくるゴーレムの中で、踊っていた。
無駄な動きなど一つも無い。優雅に、雅やかに舞っている。
事はすぐに済んだ。
辺りはゴーレムの残骸に埋め尽くされ、一面ゴーレムの体液で血の海の様になっている。
その中心で手と衣服を血に染め、ぼうと空を見上げている姿は、夜の帝王、吸血鬼を連想させる。
「ふう、終わったわ。ここも見つかってしまったようだし、別の所へ移動しましょう。
今度は気絶しないでよ。」
彼女が歩み寄って来る。恐い。とても恐い。
彼女が僕たちとは別の生き物なのだと実感してしっまたからだ。
「君の名前は何ていうの?」
だから、僕はせめて彼女が誰であるのか知りたくなった。
すると彼女は僕の頬に手を添え、自分の唇を重ねてきた。そして、
「私は、レイベリア・S・ガデス。人間に恋をした死と破壊を司る神。
世界にたった二人だけの吸血鬼よ。」
そのときに見せた彼女の「笑顔」は思わず見惚れるような、
とびきり素敵な笑顔だった。
お粗末さまでした。レイベリアは祢緒に自分の事を知ってもらおうと、わざと残酷な戦闘を行ったんですね。そして祢緒が自分の名前を聞いてくれた事にキューンとなって、あれしちゃったというかんじです。
え?説明不要?さふですか。コメントもらえるとうれしいです。