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パーティを追放されました。でも痛くも痒くもありません  作者: 霞風太
新しき日々

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58/62

三人で

差し替えました。

次話は新章になる予定です。

もう少しお待ちください。

「ようやく帰ってきたわね」


 ケンキが王城にある部屋に戻るとシーラとレイナが部屋の中にいた。

 一人は仁王立ちで怒りを露わにし、一人は悲しそうな眼で見てくる。

 ホテル街を突っ切ったせいだろうなとケンキは予想する。


「………一応、言っておくがホテル街は寮への帰る際の近道だから通っただけで中には入っていない」


「本当に?」


 レイナの言葉に頷く。

 我慢出来なかったらレイナとシテも良いと言われたのに他の女の子に手を出す理由が分からない。

 それが好意を持ってくれている幼馴染でも。

 それは裏切りだ。


「………というより監視をつけていた癖に聞いていないのか?ホテルの中には一瞬も入っていないって。それに変装もしていたし」


「……それでも貴方が他の女の子とホテル街から出てきたと聞いて許せなくなったのよ」


 シーラの言葉を聞いてケンキは納得する。

 どうしても我慢ができなかったのだろう。

 ホテル街に突っ切っただけでもこれなら、もう少し行動を考えた方が良いかもしれないと反省する。


「………そう。次からは気を付ける。心配かけて悪かった」


「……うん。悪いけどお願い」


 二人の仲が悪くならなかったことに目の前で見ていたレイナはホッと一息を吐く。

 目の前で険悪な雰囲気を出されていると気分が悪くなる。

 当然、レイナもケンキの行動に気分が害されたけど何もしていないと聞いて安心した。


「それじゃあ、明日は私たちとデートをするわよ」


「………わかった」


 今度はシーラとケンキのデート。

 二人のデートに少しだけレイナは羨ましく感じる。

 本当は自分もしたけど、愛人もしくは側室の自分がどうこう言えない。

 我慢して待つしかない。


「当然、レイナも一緒よ。良いわねケンキ?」


「……いいけどレイナは良いのか?二人きりじゃなくて。別々の方が嬉しいかもしれないし」


「え」


 二人の言葉にレイナは顔を上げる。

 そこには自分の考えが当然のこととして考えていた二人がいた。

 まさか自分のことも考えてくれていたなんてとレイナは嬉しくなる。

 これからの人生、この三人で共に生きていくのならレイナは三人でデートに行きたいと考える。

 二人きりになる時間はこれからも、まだまだあるのだから。


「私は三人で行きたい」


「だって」


「………そう。二人が良いなら、それで良い」


 ケンキも二人の意見がそれなら構わないと考えている。

 周りからは二股と思われるが事実だからしょうがない。

 ただ考えるべきは変装するかどうかだ。

 今日と同じ変装をしたら三股だと思われる。

 もしくは騎士たち心配されたように年上の女の人に騙されていないか心配されるかもしれない。

 そこまで考えて自分の背の小ささにケンキは絶望する。

 自分の背を騙すような変装術は持っていない。


「それじゃあ待ち合わせは王城で良いわね」


「はい」


「………待って変装はするの」


 当然だと頷く二人。

 二人のスタイルは良い。

 思わず二人の女性が男の子を恋人としている姿を脳裏に浮かべてしまう。

 ケンキは事案かな?と冷や汗を流す。


「そうね。騒がれるのは嫌だし変装した方が良いわね。当然、レイナもよ」


「わかりました。やっぱり顔も変えた方が良いですよね」


「……必要ない。髪型とサングラスだけでも十分な変装になる」


 言ってからケンキは後悔する。

 確実に余計に怪しく見えてしまう。


「………もしかして今回のデートって変装について実験とか実践だったり?」


「……違う」


 レイナの言葉にケンキは否定するが二人に怪しい目で見られてしまう。

 同じ女としてサリナが可哀想に思えてしまう。

 そもそもデートで怒ったのはホテル街を突っ切ったことだから、それをしなければ何も言わなかった。

 ホテルには行くなよと言ったのに怪しませる行動をしたケンキが悪い。


「それじゃあ今日は一緒に寝ましょうか」


「え」


「………わかった」


「え」


 二人の言葉にレイナは顔を赤くして二人の顔を交互に見る。

 そのことに二人も疑問を持つがレイナは顔をニヤつかせ、ケンキは違うと言う風に首を横に振る。

 流石に三人で一緒にやるつもりはケンキには無い。


「何を想像したのかしら?ただ三人で抱き合って眠るだけよ」


「抱き……!」


 更に顔を赤くするレイナにシーラは言い方を間違えたかとケンキに視線を向ける。

 だがケンキにもわかっていない。


「それじゃあ一緒のベッドに入ろうか?」


「うえっ!?」


 ケンキとシーラは一緒にベッドの中に入る。

 ベッドの中ではケンキの片腕にシーラが抱き着いている。


「え……え……」


「どうしたの?さっさと入りなさい」


 いつまでも入らないレイナにシーラは声をかける。

 シーラの声に覚悟が決まったのか、掛け声と共にケンキのもう片方の腕へと抱き着いた。


「えいっ!」


「それで良いのよ」


 ケンキの腕に抱き着いたレイナをシーラはとてもとても嬉しそうに見る。

 いまだにヤるのかと緊張している姿を見るのは可愛い。

 ただ初めては自分も参加するか二人きりにさせるか悩んでいる。

 未だに手を出していないから初めてを三人でやれば抵抗も少なくなると考えていた。




「……ん」


 翌日、最初に目覚めたのはレイナだった。

 いつもと違い何を抱き着いている感触と人肌の温かさに目を開けて確認する。


「きゃっ………。ふぅ……。起こしてないわよね」


 目を上けるとケンキがいたことに悲鳴を上げようとして一瞬で自分の口を手で押さえて声が出ないようにする。

 眠っていたことで忘れていたが一緒に寝たことを決めたことを思い出したからだ。

 それにしてもと昨夜のことを思い出して不満げな顔をケンキに向けるレイナ。

 覚悟をして一緒に寝たが本当に何もしなかった。

 ただ一緒に寝ただけ。

 そんなに自分には魅力が無いかと思ってしまう。


「おはよう。………ふぅん」


 次に目を覚ましたのはシーラ。

 目を開けて早々に礼なの顔を確認しニヤリと笑う。


「本当はシたかった?」


 そして何を不満に思っていたのかを察して口に出す。


「なっ!?」


 心を当てられたことにレイナは動揺し顔を赤くして慌てふためく。

 その姿が可愛いと目の保養として眺める。


「なら今夜にでもスる?当然、私も一緒に参加するけど」


 ニヤニヤとした顔をしてレイナに質問するシーラ。

 レイナは顔を赤くして迷い、少しだけ逡巡してから頷く。


「そう。なら今夜は早速、準備をしないとね」


「………何が」


 シーラが決断すると同時にケンキが起きる。

 起きたら何かを決めていて頷き合ったことに疑問を抱く。


「秘密よ」


 ケンキは少しだけ残念そうにしながら頷く。

 女性同士の会話だから気にしない方が良いとも思ったのが理由だ。

 そして、その日の夜、何を話していたのかを聞き二人ともに抱いた。




「これで私たちは竿姉妹になったわね」


「あう……」


 ケンキが寝たのを確認してシーラとレイナは会話をする。

 二人の間にはケンキがいて寝顔を晒していた。


「言わないでください………」


 レイナは毛布をかぶってケンキに抱き着く。

 その恥ずかしがる姿が可愛くてレイナはムラっと来てしまう。


「可愛い……」


 たまらずシーラはレイナとケンキの二人をまとめで抱きしめる。

 二人ともに国にとって有能で、しかも容姿も優れている。

 そんな二人と一緒になれるのは一国の姫として幸運だった。


 本当なら政治的判断で無能で容姿も優れていない男と結婚する可能性もあった。

 それが国のため民のためだと理解していて覚悟もしていた。

 だからこそ幼いころから好いていた男と一緒になれたことに幸せをかみしめている。


 もう一人の女の子も立場や生い立ちからしても優位に立てるのが良い。

 信頼できるのは自分達だけだし、恩も感じられる。

 しかもメイドという従者として働いているのだ。

 己より下だと示しているのが良かった。


 もしこれで自分の方が上だと少しでも示していれば気持ちは違ったかもしれない。

 そうなったら有益だとしても一緒にいるのは嫌だし、一緒に寝るのも嫌だった。


「本当に貴女も可愛いなぁ……。一生、ケンキと一緒に大事にしてあげるわ」


 そう言ってシーラは強くレイナを抱きしめる。

 わかってはいたが女の子が柔らかいことに感動している。

 ふざけ合って女の子同士でも抱きしめ合ったりして知ってはいたが男の子と直に比べることが出来て驚いていた。

 自分もそうなのかと思ってしまう。


「ねぇ、レイナ」


「………はい」


 消え入りそうな声で答えてくれるレイナに軽く悶えてしまうシーラ。

 自分にも抱きしめて欲しいと思うが、どんな風に抱きしめられるか想像して期待に胸を膨らませてしまう。


「隣にケンキもいるじゃない。それで男と女の身体の硬さや柔らかさを実際に比べることが出来て私は感動しているの。貴女も私を抱きしめて見て?」


「…………っ」


 おずおずとしながら自分に手を伸ばしてくれるレイナを見てシーラは嬉しそうに笑う。

 自分から求めているのだから堂々とすれば良いのに、おずおずとした姿が可愛らしい。

 まるで自分より上位の相手にこんなことをして良いのかと戸惑っているようにすら見える。


「ふふっ。それでどう?」


 そして抱きしめて身体の感触を確かめているレイナに感想を聞く。

 抱き着いたと思ったら力が少しだけ入って甘えてくる仕草が可愛かった。


「………やっぱりケンキ様よりすごく柔らかくて落ち着きます」


 凄く安らいだ顔をしているレイナにケンキもこうすれば安らぐ顔を見れるのではないかとシーラは考える。

 そして同時に同じ女相手でも安らげる身体を持った自分に自信も持つ。


「すごい安らいだ顔をしているけど、このまま甘えて寝ても良いわよ?貴女も私の大事な人なんだから」


「本当ですか?」


 目を輝かせて聞き返すレイナ。

 それに笑顔で当然だと返すと更に甘えた様子で胸に顔を埋めてくる。

 その姿に苦笑してシーラは自分をケンキの腕の中に入る。

 これでケンキの腕を独占しているのは自分だけだ。

 レイナはシーラの胸の中にいるからケンキの腕の中にいない。

 ケンキを独占できていることにシーラも満足して睡眠に入った。



「………うん?」


 レイナは暖かくて柔らかいものに包まれながら目を覚ます。

 身体の節々に違和感があるが胸に満ち足りた幸福感のお陰で気にもならない。

 ずっとこのままでいたい気分だ。

 それでもと起き上がると裸のシーラとケンキがいた。

 そのことで顔を真っ赤にして昨日のことを思い出す。


「そういえばシタんだった………」


 どおりで身体の節々が痛いのだと理解する。


「本当に幸運……」


 あの色狂いの男から逃げられ、そして可愛い男の子とスルことが出来たことにレイナは気分が良くなる。

 ケンキの性格はポンコツなところもあるのが、また良かった。

 王子様のように性格まで隙が無かった気が休まらなくて望まなかっただろう。

 何よりも国の中でも実力は最上位、容姿も優れている、お金に困らないのが良い。

 その分、相応しいように勉強しなきゃいけないが一緒にいられるのなら問題は無い。


 そしてもう一人の方を見る。

 自分より容姿も優れていてスタイルも良い女性を。

 昨日は最終的に彼女に抱きしめられて眠ったことを思い出す。


「私、百合の気があるのかなぁ……」


 裸の女性の胸に顔を埋めて幸せを感じていたことをレイナは思い出す。

 柔らかくて暖かかった。

 そして大事な人だと言われたことを思い出す。

 もしかして自分を抱きしめてくれた人も百合の気があるんじゃないかと考えてしまう。


「………そうなんだ」


 そう思っているとケンキの声が聞こえてきた。

 彼の方向を見ると少しだけ睨んでいる。

 圧倒的実力差のある相手に睨まれていることにレイナの身体は震えていた。


「……一応、言っておくがシーラは俺の女だ」


「知っています。そして私はあなた達二人の従者です。割り込む気はありません」


「……そう」


 割り込む気は無いと言ったし、そして相手もシーラへの独占心を感じた。

 それなのにレイナは抱きしめられて困惑する。


「………安心しろ。一番はシーラだが、お前を蔑ろにする気は無い。大事にもする。………だから少しぐらいは俺やシーラにも甘えろ。……文句は言わない」


 ケンキの言葉を聞きながらレイナはがっしりとした感触を味わう。

 昨日、シーラに抱きしめられ安らいだのは母性を感じたからだとしたら今は父性を感じてレイナは安らいでいる。

 もう二度とこれらを失いたくないとレイナは二人から離れることは考えることは無いだろう。

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