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あれから2年の月日が経った。
僕はお姉ちゃん……ベリッシュに積極的に絡んでいった。
ベリッシュもそれに答えてくれていた。
2年前のあの日から、僕らは本当に仲の良い姉弟になったのだ。
本当…仲の良い姉弟に……
「これじゃあずっと弟のままじゃないか……」
仲が良すぎるが故に、ベリッシュは常に僕を弟として、守るべき対象として見ている。
前世では妹がいたのにも関わらず、ベリッシュの包容力、安心感につい甘えてしまう。
このままではいけないと、父上には継ぐ時はベリッシュを妻にしたいとも申し出た。
二人の気持ちが伴うならば、と父上は仰ってくれたが、娘の結婚の事は考えたくないのだろう。
複雑な顔をしていた。
しかし……僕はベリッシュに求婚出来ずにいた。
元来より奥手であり、彼女もいたことすら無かった。
それなのに、告白もすっ飛ばして求婚など出来るはずもなく、更に言えば好きの一言も言えていない。
言えていれば、この状況も変化していたのだろうか。
そんな事を考えたって後の祭り。
「お姉ちゃん……行ってらっしゃい」
13歳になったベリッシュは今日、乙女ゲームの舞台となるリンデハイル学術学院に入学する。