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キョトンと何を言われたのか理解出来ない様な顔を一瞬した後、徐々に理解していったのか愛らしい顔が赤く染まっていく。
「わ……な……え、わら、わらっ」
口をパクパクさせながら必死に言葉を紡ごうとする姉上に、僕は胸が躍った。
そして自然と口角があがり目元が緩んでしまう。
「わら……っ!!」
更に顔を真っ赤にさせながら、姉上はどんどん真っ赤になり涙目になっていく。
本当は僕は知っている。
前世を思い出したからこそ分かる事。
姉上が僕にどう接するべきか悩んでいる事。素直になれない事。
そして……僕を気にかけ心配してくれている事。
「ねぇ姉上。僕は姉上と仲良くなりたいのです。姉上は僕の事が憎いですか? 次期当主としてこの家に来た事が……」
「そんな事ないわ!!」
そうでしょう。僕は分かっていながら分からない振りをする。
「アインリッシュの事、憎いだなんて思った事ないわ! 確かに、最初は羨ましいと嫉妬した事もあったけれど……憎いだなんて、そんな事思う筈ないわ」
「姉上……」
「誤解させてしまっていたなら、ごめんなさい」
長く綺麗な黒髪をサラリと垂らしながら、頭を下げる姉上に今度は僕が慌てた。