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顔を赤くしながら、手に汗を握りながら、必死に言葉を紡ぐ。
真っすぐベリッシュを見つめる。
ベリッシュの瞳にどんどん涙が溜まっていく。
僕は、どうするべきなのだろう。
「坊ちゃんここは抱きしめる所だぞ」
横から聖女が口を出してくる。
本当にキャラ違い過ぎじゃない!?
おずおずとベリッシュの腰に手を回す。
僕のちょうど顎辺りにベリッシュの頭が来る。
あ、ちょっといい匂いがする……
「やっと言ってくれた……」
僕の腕に身を任せながら、ポタポタと涙を流しながら嬉しそうに呟いた。
堪らなくなって、ぎゅっと腕に力を入れる。
「私、ベリッシュ・ハーベットはアインリッシュ・ハーベットの想いに応えます。私も、愛してるわ、アインリッシュ」
更に腕に力が入り、ベリッシュの髪に顔を埋める。
目の前が滲んで、輝いて見える。
「私、片桐真優は、立ち会人として二人の愛が確かにここに存在する事を保証する。私は、聖女として、汝らを祝福しよう」
いや、本当に輝いていた。
聖女が、祝福の言葉を述べると共に、光が降ってきているのだ。
綺麗だ。
胸の辺りが暖かくなって、幸せが溢れそうになる。
こちらを見た聖女がフッと微笑みながら口を開いた
「これで君の中の魔王も大分大人しくなるだろう。完全に消すことはまだ出来ないからね。それに、君の絶望の核も無くなったしね」
「絶望の核?」
「ベリッシュが他人に取られるという不安さ」
もともと赤くなっていた顔が更に赤くなってしまい、思わず腕の中のベリッシュを抱き潰してしまう。
「く、苦しいわ、アインリッシュ……」
「あ、ご、ごめんお姉ちゃん」
「お姉ちゃんじゃないだろう坊ちゃん。もう恋人なのだから」
即座に横から訂正が入る
ちょっとお節介すぎないこの聖女
「……ベリッシュ」
「なぁに、アインリッシュ」
花が咲くように、ベリッシュが笑った
「でも、どうして聖女様とベリッシュが一緒にここに?」
「それは……」
ベリッシュは、僕に拒絶されたあの日からの事をぽつぽつと話始めた




