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「君は確か、ベリッシュの……」
「弟のアインリッシュと申します。それよりもどうされたのです」
「アインリッシュ君……私はね……振られたんだよ……」
ダバーーーと滝の様な涙を流し、ハインデルト様は言った。
最初は何言ってるんですかと思った。
この学院の半数以上は、まだ婚約者のいないハインデルト様を狙っている。
純粋にハインデルト様に恋心を抱く者、政略で狙う者、様々な思惑は持っているけれど
しかし、名前を聞いて納得した
ハインデルト様が恋をされたのは、隣国のフェルシュテ国から短期留学に来ている王女 エリーゼ・フェルシュテ様だったからだ
白銀の美しい髪をお持ちで、凛とした佇まいの女性
そして、エリーゼ様は、笑わない
すんすん鼻を鳴らしながらハインデルト様は話し始めた
「私はね、一度彼女が微笑んでいる姿を見かけたのだよ。少し口角が上がったかな?程度のものだったけれどね。そこから私は彼女が気になり始めた」
「はい」
「そして私は毎日彼女を観察した」
「え゛っ」
「彼女は笑わないのではなく、笑うのを我慢しているのだと気づいた。そうなると、自分の前では我慢せず笑って欲しいという欲が出た」
「わからなくはないですね」
「それからというもの、毎日彼女に話しかけた。たまに鬱陶しそうにされる時もあったが、彼女の表情が少しでも変わるたびに喜んだものさ」
「そのお気持ちはわかります」
僕だって、ベリッシュが僕の事で表情を変えるのには喜びを感じる。
それだけ僕はベリッシュの心の中にいるという事だから
といっても一番は笑顔でいてくれることなんだけど
「私はね、気付いたのだよ。この感情が『恋』と呼ばれるものだと。気付いてしまったら、居ても立っても居られなくなった」
まさか
「私は彼女に求婚した。もちろん私も彼女も国の事がある。正式なものではないが、気持ちは伝えておきたかったのだ」
少しだけ、羨ましいと思ってしまった




