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「ほほーーん。この世界が元は乙女ゲームの世界で? 本当はナタリアがヒロインの筈なのにヒロインじゃなくなってて? ベリッシュ様が悪役令嬢になる原因で? でも悪役令嬢じゃなくて?」
「うん……」
「アリー……疲れてるのかぁ?」
「やっぱり、信じてはくれないんだね………」
んーーーとサッシュは唸りながらポリポリと頬をかく。
「信じるとしても、そうなると僕らが誰かに作られた存在って事になると複雑な気持ちになるというか」
言われるまで気づけなかった。
僕はこの世界が誰かに作られたものだと知っていたし、それを受け入れた。
でも、サッシュ達はそうじゃない。
この世界で産まれて、この世界が誰かに作られたものだと思うことなく生きている。
それは、自分たちが作られた、本来なら存在していなかった人間だと言われている様なものだ。
「ごめん……」
僕はあまりにも無神経だった
「いやぁ、でも、アリーがずっと何かに悩んでいたのは知ってたし、そうかぁ」
サッシュが掛ける言葉を模索しながら僕を真っすぐ見つめて来る。
「もしそれが本当だとして、物語がスタートしないのは良い事なんじゃないの?」
「それはそうなんだけど」
「ベリッシュ様も悪役にならないみたいだしぃ?」
「うん……」
「深く考えるのは止めときなよー」
へらっとサッシュは気の抜けた顔で笑った。
僕は、何か大切なことを忘れているんじゃないんだろうか
妹は、聖女の話をしていた




