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お姉ちゃんは可愛い悪役令嬢  作者: あきみつ
頼りになるはずの記憶が、全然頼りにならない
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訳が分からない。


勢いよく頭を下げてお願いするナタリアに、僕は間抜けな声を出しナタリアのつむじを眺めていた。


何て言った?

ベリッシュに、弟子入り?

ナタリアはヒロインで、攻略キャラを巡ってベリッシュと対立して、ベリッシュが悪役になるそもそもの原因で



なのに、ベリッシュに、弟子入り?



「何で……」


こんなの、知らない

ゲームには、無かった


「無理は承知です。ですがベリッシュ様はとても優秀で、淑女の見本の様な方だとお聞きしております。私は、何としてでも立派な淑女にならなければいけないのです」


「いや、そうじゃなくて、え、君はヒロインで・・・」


どんどん混乱していく。

何故?何が起こっている?


「ヒロイン? 何のことですか?」


キョトンとナタリアは聞いてくる。


「いや、こっちの話。えっと、何で弟子入りなんて?」


「私、恥ずかしながら教養が良くありません。将来、より良い職に就きアルフレッドを支えたいのです」


「部長を?」


それからナタリアは部長の素晴らしさを延々と語る。

家が貧乏でありながらも他人を気遣い、決してマイナスな事は言わず前を向いて生きていく方なのだと。

裁縫などが上手いのも下の姉弟の為に自分で仕立て直したりしているからだと。

僕は耳を傾けながら、部長の苦労に涙し、そして感銘を受けた。


部長……貴方は男の中の男やでぇ……っ!!


そしてなにより、ナタリアにとってはあの筋肉の素晴らしさが大事なのだと言う。

生憎僕はまだ部長に会った事がないから分からない。


ナタリアは、この世に二つとない素晴らしい筋肉だと豪語している。

あの素晴らしい筋肉を維持する為にも、自分がアルフレッドを支えるのだと。


ナタリアは……筋肉フェチだった



可笑しな事になっている。

僕の記憶ではナタリアがヒロインの物語だ。

しかし目の前にいるナタリアは部長しか見えていない。

ヒロインが……不在?

だとしたらベリッシュが悪役になることは無いんじゃないか?


そんな上手い話があるだろうか。





『ねぇお兄。AパートとBパートってあるんだけど、どっちが面白いかなぁ?』


前世の、妹の声が、頭に響く




「それで、ベリッシュ様にお会いさせていただけますか?」


ナタリアの問いかけに、グルグルと回る思考回路から離れられず生返事をしてしまった。


「あぁ……うん……」


「本当ですか!? ありがとうございます!!」


ギュッ


気付いた時には興奮し、頬を染めたナタリアに手を握られていた。



その瞬間




「いっっっっっでえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


僕の胸に激痛が走った




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