表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お姉ちゃんは可愛い悪役令嬢  作者: あきみつ
出会った時から好きなのです
10/65

10

「お帰りなさいお姉ちゃん」


「ただいまアインリッシュ。剣の稽古をしていたの?」


「うん。父上には全然敵わないよ」


「まだまだ現役だからね。お帰りベリッシュ、疲れただろう?」


「ただいまお父様。お父様とアインリッシュに会える嬉しさで、疲れなんて微塵も感じませんわ」


「嬉しいことを言ってくれるじゃないか」


「きゃっ」


父上は余程嬉しかったのかベリッシュの両脇に手を差し入れ持ち上げるとクルクルと回り始めた。

フワフワとスカートの裾が舞い、日光を反射してキラキラと輝いていて、僕は眩しくて目を細めた。


「もう! わたくしもう13歳ですのよお父様!」


「ベリッシュは何時までたっても可愛い私の子どもだよ」


頬を膨らませながら不満をのべるベリッシュだが、言われた言葉に照れているのか頬に少し赤みがさしている。


「夕飯まで少し休むかい? 私は生憎仕事に戻らねば……」


「アインリッシュが良ければ、一緒にお茶をしたいわ。話したい事が沢山あるの」


「喜んでお引き受けするよお姉ちゃん」


余程良い事があったのか、瞳をキラキラさせながら僕を見ている。

可愛いなぁと思いながら、学園であったいい事とは何だろうかと予想してみる。

とても気の合う友達が出来たのかな


……友達………待てよ、ベリッシュの、友達?




ゲームの冒頭。それぞれの人物との関係性の説明。

ベリッシュの画面には何が書いてあった?

ハーベット公爵令嬢……僕との不仲……そして



僕はハッとした。

友達。友人。そうだ、ベリッシュは学院で王太子と出会い、初恋をする。

その初恋を拗らせ、王太子に近づくヒロインに嫉妬し虐めてしまう。


友人になるのは、入学してすぐ。そう、今、すでにベリッシュのゲームは始まっていたのだ。



どんどん血の気が引いていく。

本編が始まるのは僕とヒロインの入学。

でもそれまでにそれぞれの物語があった筈なのに。

僕とベリッシュがゲームの様に不仲でなく、普通の姉弟になったように。

ゲームが舞台でも、僕らは生きている。


完全に失念していた。


大事に守ってきたはずのベリッシュが、王太子と出会ってしまった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ