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6話


 「何とか出れたな…」

 「バカ!止まんなよ!追いつかれるだろ…ん?あれ? 」

 先程まで食い殺してやるとばかりに俺達を追ってきたモンスターがちょうどダンジョンの入り口のところで停止し唸っている。

 「ここから出られないのか?」

 「お?これはハメれるんじゃ…」

 ニヤリ…

 プシュ!

 俺は龍樹に何も言わずにダンジョンの入口に向かって、水鉄砲を放射した。

 「あ、おい!抜けがけか!?」

 「早い者勝ちだあ!」

 「あ、とどめはどうぞ。」

 「あ、どうも。あ、これおそそわけです。」

 「「・・・。」」

 俺達は顔を合わせ、数秒の沈黙が流れる。

 「「せーの!」」

 ブスッ!

 「グギャァァ!」

 俺達は同時にモンスターへと突き刺した。

 「これって経験値入るのか?というか、経験値なんて無いのか。」

 「どうなんだろうな~。死体が消えたりダンジョンからモンスターが出てこれなかったり、ゲームっぽいからあってもおかしくないよな~。」

 「だよな…、そこら辺どうなってるのかね?ステータスでも見れたら別何だが…。」

 「ステータスかあ、体力測定でもするか?」

 「そうだな…。っと、その前に飯食いに行こうぜ。」

 「言われてみればお腹すいたな、どっか食いに行くか、近くにラーメン屋あるぞ。」

 「お、そこにしようぜ。」

 「あ、このまま行くとやばくねーか?色々仕込んでるし刃物持ってるし、何より臭い。」

 「そうだな、武器は俺はケースに入れるから問題ないとして、この服どうするか…。しばらく取れんぞ…この匂い…。」

 「・・・そこの社の下にでも隠しとこうぜ。服は…着替え持ってきてるか?」

 「持ってきてるぞ。アレ使うの分かってたから密閉袋に入れてな。」

 「なら服は大丈夫だな。あ、ついでに武器も置いとこうぜ、次来るときもここで準備した方が楽だろ。」

 「そうだな。なら、それ専用の入れ物を食べ終わったら持ってこようぜ。」

 「よし!じゃあ、さっさと準備して行こーぜ!」

 「だな。あ、財布忘れんなよ?」

 「おう。」

 俺達は服を着替え、武器を隠した後、龍樹が勧めたラーメン屋へと向かった。

 この半日ダンジョン探索をし、モンスターを『殺す』というのを体験したのだが、特に何も感じない。

 龍樹も平気そうだし、大丈夫なのだろうか?

 まあ、後で聞いてみるか。

 そんな事を考えていると、ラーメン屋に着いた。

 一見普通の一軒家に見えるこの店は実は結構美味しく評判らしい。

 俺達はテキトーに注文して、モンスターからドロップしたものについて考える事にした。

 「なあ、これってスクロールだよな?魔法とか覚える…。」

 「んぁ、スクロールか?とにかく開いて見ようぜ。」

 「あ、ああ。」

 俺は龍樹にも見えるように、スクロールを開いてみた。

 そこには幾何学模様が羊皮紙に書いてあり、正直言ってよく分からないの一言だ。

 「読めないな…っていうかこれ文字なのか?図形のようにも見えるぞ?それにこの真ん中の空白は…。」

 龍樹はおもむろにスクロールの中心の円形の空白に手を触れる。

 その瞬間スクロールが白く輝いた。

 「な…!くっ…。」

 何が起こったんだ?

 光が消えると呆然としている龍樹が居た。

 どうやら怪我等は無さそうだ。

 「おい、龍樹。何が起こったんだ?」

 「分からねぇ…何かスクロールに触ったら…あ!」

 「ん?どうした?」

 「これ見てみろよ。」

 龍樹に促されてスクロールに目を落とすと、そこには只の上質な白紙があった。

 「消えた…って事は使用されたって事か。つまり、龍樹がさっきので使用したと…。」

 「あー、何かすまん。」

 「次は俺だからな?龍樹。ところで何か変化あったか?」

 「は!そうだな!スクロールを使ったってことは、何か出来るかも!」

 そう言うと龍樹は右手を突き出した。

 「燃え尽きよ!不浄の者!」

 ・・・

 何も起こらない。

 周りの客が気まずそうにこちらをみてく見てくる。

 傍から見たらただの痛いやつだもんな…

 「おい、龍樹…。」

 俺に言われて龍樹が気まずそうに顔を逸らす。

 哀れだ…

 「あれれ、おかしいなぁ、ははは。」

 「あ!ほら、きっとあれだ、あれ。ポーズが違ったんじゃないか?」

 「それだ!燃え尽きよ!不浄の者!」

 龍樹は勢いよく立ち上がり少年マンガを切り取ったようなポーズを決めた。

 うん。痛いな。けど、やった後で龍樹の羞恥心でうずくまってるのを見るのも面白いそうだな。

 幸い龍樹は周りの目線に気づいてない。

 もっとやらせるか。

 「ダメか…、詠唱が違うのかね?やっぱり最初の魔法は長文で詠唱したりするし…。」

 「そうだな…そう言えばスクロールを使ったときに頭に何か浮かんだような気がしてきた。」

 「そうなのか?何が浮かんだんだ?」

 「まあ、見ててくれ、今度こそ成功させてやる。」

 龍樹は大きく深呼吸をすると、ポーズを決める。

 「顕現せよ 我が力を抑えしものよ 我は不浄を清浄へと帰し 魂を天へと導くもの 我が力は破壊にあらず 我が力は破滅にあらず 我が力を通し かの者に力を与えたまえ マキシマムバースト!!」

 ・・・・・。

 待って我慢できんって…龍樹は俺を殺す気か…!

 「ぷっ…くっくっく…。」

 「・・・。」

 「いや、よくあんな恥ずかし事出来たな…ぷふっ…。」

 龍樹はそこで初めて周囲からガン見されてることに気がついたようだ。

 あ、目が合いそうになって逸らされてやがる。完全にヤバイ奴扱いだな。

 龍樹は無言で座って机に突っ伏した。

 「・・・ろよ。」

 ん?

 「覚えてろよ。」

 フッ、自業自得だ。

 「で、実際の所変化はあったのか?」

 「ないよ!なんにもねーよ!これで満足か!?」

 龍樹は突っ伏したまま投げやりに答える。

 ほう?俺が拾ったスクロールを勝手に使って、成果無しと?

 「はあ…。スクロールを無駄にしたって事か?」

 「いや、多分違う、と思う…スクロールに触れたときなんか変わったような気がしたんだ、体を構成する何かが書き換えられてるような…。」

 「ふむ…。何か条件があるのかもな。今では絶対に無理な。」

 「はあ…、なんか目覚めたと思ったんだけどなー。」

 「まあ、後々だな。」

 龍樹は大きくため息をついてまた突っ伏してしまった。

 「二人とも食べ終わったし、そろそろ出るか…。どっかの誰かさんが迷惑掛けてしまったしな。」

 「今思ったんだが、お前分かってて煽ってなかったか?」

 「さあ、行くぞ…。スクロールあと一つは確保したいしな。」

 「おい。」

 馬鹿な龍樹は置いておいて、現状の確認とあそこ以外でダンジョンが発生していないかの確認もしたいな…。

 「ひとまず神社に置く用のケースとか持っていくのに、龍樹の家に行こうか。そこなら腰を据えて話も出来るだろうし。」

 「無視すんなよ…まぁいいけどさ。」

 腹のふくれた俺達は龍樹の家へと向かった。

 

結局スキル分からず!w

次回ヒロイン登場(予定)

誤字等ありましたら宜しくお願いします。

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