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5話


 とりあえず、俺はガスマスクを龍樹の顔に被せ、起きるの待つ事にした。

 しかし、例のアレのせいでモンスターも寄ることも無く暇だ。

 何もすることが無いし、ダンジョンの事ももう一度考えてみるか…

 まず、ダンジョンは龍樹の家の近所の神社の裏にあって、隠蔽魔法のようなもにがかかっていたんだったな…

 もし隠蔽魔法がかかっていたのだとしたら、気付かなかっただけで以前から存在してた可能性もあるのか?

 まぁ、ここら辺は龍樹に要確認だな…

 次にダンジョン内部のことだ。

 ダンジョンに光源はなく、暗い洞窟のようなかんじだな、壁や天井はゴツゴツした石がせり出していて所々鍾乳石のような部分もある。

 しかし、地面には水の痕跡もない。どうやってこの洞窟が出来たのか、科学的に考えるとさっぱりだ。

そして、最大の謎はこいつ…

 ん?ここに居たモンスターは?

 少し長めの思考から戻ってくると、さっきまでそこにあったコウモリの体が消えていた。

 消えた…。どういう事だ?ん?何かあるな…。

 モンスターが消えた場所には小さな紫色の石と巻物が置かれていた。

 シュコーーー

 足元から音がする。どうやら龍樹が目を覚ましたようだ。

 「シュコー(お?起きたか…)」

 そう言えばガスマスク付けたままだったな。

 意思疎通出来ないし、回収するか…

 「うっ…まだ少し臭うな…。龍樹、大丈夫か?」

 「ばなみ"ずがどまぁんねぇ…。」

 「ほら、ティシュ。それ以外は大丈夫か?」

 「大丈夫か?じゃねーよ!こっちは川渡りかけたんだよ!っていうか、なんだアレは臭いなんてもんにゃねぇぞ!」

 「そ、そうか…。何かすまんな…。」

 「・・・本気で思ってねぇな?」

 「まあ、説明するのを忘れてたのは認めるさ。」

 「それで、アレはなんなんだ?」

 「アレはシュールストレミングの汁を水鉄砲につめた物だ。詰めるのには苦労したよ…本当に…。」

 間違って零した時、本当に死ぬかと思った…。

 「うわぁ…あれってあんなに臭いのか。」

 「シュールストレミングって言うのは世界一臭い缶詰だ。それを更に発酵させたのがうちにあったから詰めてきたんだ。」

 「まじかよ…そんな危険なものを突然使うな!」

 「いや、モンスターに当てたらどうなるか試したくなってな?ついプシュッと…。」

 「気持ちはわからないでもないけどさ…ガスマスク用意してたなら最初からくれよな!」

 「てへっ」

 「今回は許すから、次なんかするときは一言言っといてくれ。」

 「まあ、気をつけておくよ。」

 「絶対相談しろ!」

 「分かった分かった。気が向いたら相談するよ。」

 「・・・。」

 龍樹がジト目で見てくる。うん、どうでもいいな。そんなことよりこのダンジョンについて色々わかったしもうそろそろ潮時か…。

 「これからどうする?帰るか?続けるか?」

 「正直一回帰りたいかな、身体中臭いし。」

 「まあ、そうだな。潜った時間を考えると帰り着く頃には昼だろうしな。」

 「よし!じゃあ、帰ろうぜ!先頭は玲二でいいな?」

 「まあ、いいが…。あ!ちょっと離れててくれ。」

 「ん?わかったけど何するんだ?」

 俺は缶詰を取り出し、開けると、奥へと続く道のド真ん中に置いた。

 「あぁ~封鎖するのか。」

 「シュコー(コクコク)」

 俺は龍樹に行くぞとジェスチャーをしてから、来た道をなぞる様に進んだ。

 「罠ももうわかってるし、モンスターは近寄ってこれないし、ダンジョンなんて大したこと無かったな!」

 来た道を半分程戻った頃、龍樹はこれまでの全てを壊すかの如く、爆弾を投下した。

 「龍樹!フラグ建てんな!」

 その時、後ろを歩く龍樹に後方から沢山の足音が迫ってきた。

 龍樹のフラグを見事に回収するように、突然地震が起きた。

 「地震?震度3ってとこか?」

 「立って居ても分かるから、それぐらいだろうな。しかし、ダンジョンに潜って居る時に地震か…何か起こるかもしれないな。」

 「考えすぎ…って言うのは流石に安直か、早く出ようぜ。」

 「ああ。」

 俺達は急いで帰り道を急いだ。

 そして、出口が見えた頃に後ろから犬の鳴き声に近い声が複数聞こえてきた。

 「くそ!俺は間に合わねぇ!先に行け!」

 龍樹は身体中に仕込んだ防具のせいでいつもより、明らかに遅い。このままだと俺は間に合うが…。

 「分かった、頑張れ!」

 「は!?マジかお前!」

 「当たり前だろ?自分が1番大事だ。出口に辿り着いたら助けてやるよ。頑張れ!」

 「くそが!あーもう知らねぇ!どうにでもなりやがれ!」

 龍樹は叫ぶとその場に立ち止まりポケットの中からなにかを取り出した。

 あいつなにする気だ?全力で出口に走りながら後ろを伺う。すると、龍樹は手に持った白い塊に火を付けて、地面にたたきつけた。

 すると、後ろからすさまじい爆音が響いた。

 俺は流石に足を止め後ろを振り向く。

 そこにあったのは、地面に倒れる龍樹と、その奥で火だるまになってもがいている大きな犬のようなモンスター達がいた。

 「お、おい!龍樹!」

 「あー、死ぬかと思った。」

 龍樹はむくりと起き上がった。

 なんだ、無事じゃないか。

 俺の心配をかえせ…。

 「何したんだ?今の。」

 「お前から貰ったやつを使ったんだ、あんな威力出るとは思わなかったぞ。」

 「あー、小麦粉爆弾か…。」

 渡したなー、使うとは思わなかったが、案外ダメージ入るようだな。

 「嫌な予感して緊急回避しなかったら俺も燃えてたな。」

 「燃えれば良かったのにな。とりあえず、外に出るぞ。」

 「おい。」

 「ほら、早く。モンスターが動き出す前に。」

 チラリとモンスターを伺うと、何体か今にも火が消え立ち上がりそうだ。

 「そうだな、早く逃げよう。」

 俺達は急いで出口に向かい、ダンジョン探索を無事に(俺は)終えることが出来た。

 

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