3話
「なるほどな……本物のダンジョンができてるんなら、魔法があったっておかしくない!」
「そうだが……。これが本当に魔法なのかも分からない状態だからな、何かの罠かもしれないことも考慮しとくべきだろう。」
「つまり、魔法ってことだな!」
「・・・。」
龍樹、お前は何故いつもそう決めつけるんだ……。
変わらないな……本当に……。
「あーーー!今ヤバイことに気がついた!魔法があるってことは、俺達も魔法使えるんじゃね?」
「あー、ソウダネー。」
「こうしちゃいられない!早く探索しようぜ!」
「お、おい!ちゃんと警戒しろ!!」
俺はテンションの上がった龍樹を追いかけて、ダンジョンへと向かった。
「近くに来るとやっぱでかいな、この洞窟……。」
「ああ、そうだな。しかし、自然に出来た洞窟にしては違和感があるな。ダンジョンだから…という事か……。」
「そうだな……ドキドキするな!」
「気持ちも分かるが、ちゃんと警戒しろよ?」
「わかってるって♪」
「本当だろうな……?」
「大丈夫だって、慣れてるし。」
「おい、これはゲームじゃないんだぞ!」
「うっさいなー、そんなチンタラ歩いてたら置いてくぞ!」
「お、おい!」
龍樹は何の警戒もせずにダンジョンの奥へ奥へと走って行く。
「あの馬鹿っ!」
俺は慌てて龍樹の後を追った。
「うわぁ!」
!?
「龍樹!!」
俺が行くと龍樹は倒れており、龍樹の腹には矢が突き立てられていた。
「お、おい!しっかりしろ!!」
「う……うぐぅ……。」
「龍樹、大丈夫か!い、今ポーションを……って何言ってんだ俺!こ、こういう時は……。」
「いや、大丈夫ちょっと驚いただけだ……。」
「は?」
いや、矢が突き刺さってるだろ……
大丈夫な訳が……
「『ダンジョンブレイクオンライン完全攻略ムーンキャッスル編』が俺を守ってくれた。」
・・・。
俺は無言で龍樹を蹴った。
「痛っ!お、おい!怪我人を蹴るんじゃねぇ!」
「は?どこを怪我してんだよ!!俺の心配返せ!!!」
「あーあ、今の言葉で心に傷できましたーー。」
俺は無言で龍樹の横を通り過ぎ、警戒しつつダンジョンの奥へ向かった。
「玲二!」
「だが、俺は反応しない。」
「ちょっと待て、何があるか分からない。ここは慎重に行こう。」
「っ!お前が言うな!!!!!アホォ!!!!!」
「冗談は置いといて、さっきはごめんな。」
「はあ……、これで痛い目にあったし、分かっただろ?ダンジョンはモンスターと罠に警戒しつつ、慎重に進むんだ。」
「あぁ、はじめてのダンジョンは罠探しながら慎重にいかなきゃいけないのに、ちょっと飛んでた。もう大丈夫だ、心配かけた。」
「はあ……、本当だろうな……?」
「あぁ。」
「次からはちゃんと俺の指示に従えよ?いいな?」
「あいよー、我らの頼れる参謀様の指示には従いますよー。」
「んじゃ、警戒しつつ進むか……。」
「わかった。編成はいつも通り、俺は前方の索敵、罠感知に集中。玲二は後方の警戒でいいよな?」
「ああ、それでいい。」
「よし……じゃあ、いくぞ!」