2話
俺が朝、龍樹の家へ向かうと玄関の前で座り込んでいる龍樹を発見した。
「おはよう龍樹。」
「おぉ、玲二やっと来たか!」
「準備は出来てるよな?」
「こっちの台詞だっていうかお前、軽装過ぎやしないか?」
俺の服装は動きやすさを重視する為に、ジャージに弓道で使う胸当てを付けた格好だ。
確かに軽装備ではあるが……
「いや、お前が重装備過ぎるだけだろ……」
龍樹を見るが、服が明らかに二周り程膨らんでいる…
雑誌か何か入れてるのか?
動きにくそうだな……
「は?ダンジョンいくんだぞ?装甲高くないと即溶けるだろ?」
「いや、俺は後衛だぞ?軽くないとすぐ動けないだろ?」
「前もいったが、固さとパワーが全てなんだよ!そんなんだからお前はいっつも大事なとこで落ちるんだよ。」
「ハイハイ、まあ、装備は良いとして、行くんじゃないのか?」
「そうだった、そうだった……。じゃあ、付いてきてくれ。」
俺はバックから袋を取り出し、龍樹に渡した。
「ん?なんだこれ?」
「ティッシュに包んだ小麦粉とマッチだ。まあ、小型爆弾もどきだと思っておいてくれ。」
「爆弾?あぁ、粉塵爆発とか言う奴か、受けとるだけ受け取っとくよ。ただ、俺が使う武器はこれだけどな!」
そう言って龍樹がモップの柄に刺身包丁を付けたものを見せびらかしてきた。
なるほどな、槍として使うと言う事か……。
「ちょっと待て、カーボンテープあるか?」
「カーボンテープ?探せばあるかも知れないが、一体何に使うんだ?」
「まあ、見れば分かるさ。」
俺は龍樹が取ってきたカーボンテープを柄に巻き、龍樹の槍を軽く強化しといた。
「これで滑りにくくなるし、耐久性も多少上がるはずだ。」
「なるほどな、滑り止めか~ありがとな。」
「ああ、じゃあ、そろそろ行くか……。」
「おう!案内するから付いてきてくれ。」
龍樹の案内で俺達はダンジョンがあるという神社まで歩いていった。
その間龍樹は服に詰めた雑誌のせいか、途中何度もこけかけていたのは割愛する。
「ここが例の神社だ。」
「デ、デカすぎないか……?」
「は?小さい方だろ?物置小屋ぐらいじゃないか。」
「いや、神社じゃない、ダンジョンの方だよ!もう見えてんじゃねえか!!」
神社の後ろの斜面に、神社より大きな洞窟が見えている。
「え?あ、言われてみれば丸見えだな……。おかしいな?俺が前見たときは気づかなかったんだ。たまたま神社の裏に回ったら洞窟を見つけて……あれ?何で気づかなかったんだ?」
龍樹が気づけなかったと……
一体どういう事だ?
「本当に気づかなかったのか?」
「あぁ、小さいときからここでずっと遊んでたけど、こんな洞窟見たことなかったぞ。」
「なら考えれるのは、あれぐらいだが……それこそありえないぞ……。」
「ん?なにかわかったのか?」
「ああ、だが、仮説だぞ?それでも聞くか?」
「勿体ぶるなよ。」
「なら、言うが……俺はダンジョンに認識阻害の魔法がかかっているんじゃ無いかと踏んでいる。」