10話
久しぶりの投稿です。
待たせてすみません。
俺達はもう一度ダンジョンに戻ってきた。
力を試すからとは言ったが、保険としてシュールストレミングの汁入り水鉄砲は手に持って、ガスマスクも常備済だ。
一応一本道ではあったが、前方にのみ警戒した龍樹は馬鹿みたいにドンドン進んでいく。
「おい、あんまり前に進むなよ?さっき来た時に打ったシュールストレミングが残ってたら知らんぞ?それに後ろからモンスター来ても知らんぞ?」
「いや、シュールストレミングは残ってないだろ。ダンジョンが吸収するんだからな!!それと、後ろのはお前が何とかしてくれるだろ?」
人をそんなに信頼するなよ……
「分かった。だけど、油断はするなよ?」
「当たり前だろ?」
俺達は警戒しながら進んで行くとあの蝙蝠の様なモンスターが前から2匹、後ろから3匹合計5匹に挟まれる形になった。
「これはやばいな……。」
「だな……。玲二、後ろ3匹抑えられるか?」
「分からん。だが秘策はある。」
「また変なアイテムじゃないだろうな……。」
「とりあえず、ほれ。これ付けておけ。」
「紙マスク?」
「それをしっかり付けないと大変な事になるぞ。主に鼻が。」
龍樹は素早く付け怯えた様にこちらを見てきた。
「や、殺るなら一思いにやってくれ!」
「何でお前が俺に怯えてんだよ……。」
俺は龍樹に呆れながらポーチから丸い玉を2つ取り出し、モンスターに投げ付けた。
すると、モンスターを中心に粉が飛散し辺り一面を灰色に染め上げた。
「ギャァ!!!」
モンスターは叫びを上げたが、シュールストレミングの様な事は起きず、平然と……いや、明らかにこちらに対して怒っているようだ。
「失敗か。」
「失敗か。じゃねぇんだよ!何してんの!!?怒ってるじゃんか!」
「いや、計画通りだ。レベルアップした俺らなら全ての攻撃を避けれるはず。いい運動になるはずだ。」
「確かに……じゃない!避けられなかったら死ぬから!」
「まあ、ヤバくなったらアレ使うからよろしく。」
「は!?それ俺にも被害来るじゃん!やめて!?って聴いてる?おーい、玲二さーん。」
龍樹がまだ何か言っているが今はモンスターだ。
蝙蝠型モンスターがこちらに向かってくるが、動きは単調で意外と避けやすかった。
だが、これは強化された身体だからであって、前回は目で追うのがやっとのスピードで飛んでいて避ける事もできなかっただろう。
「ほっ!はっ!雑魚め、当ててみやがれ!」
龍樹の方も大丈夫そうだな。
しかし、避けるだけだが、動きを最低限にすれば使う体力も減って楽になるかもな。
そう思った俺は蝙蝠型モンスターの攻撃をできるだけスレスレで避けようとしてみた。
右から頭に目掛けて突進するのが1匹、俺の足に向かってくるのが1匹、あと1匹は待機か。
モンスターが通る通過点を意識して、左に半歩と右足を前に出せば……
ビュン
よし、避けれる。
だが、これと同時に攻撃は出来ないな。
ここら辺は技術だから徐々にやるしかないか。
ちらりと龍樹の方を見ると自作の槍で最後の敵にトドメを刺すところであった。
よし、こっちも終わらせるか。
スカッ……
スカッ、スカッ……
当たらない……
後ろで龍樹がニヤニヤしてるのが見ずに伝わってくる……
俺は槍に付けてある包丁を抜き取り、蝙蝠に接近し突き刺すを繰り返しようやく全滅させた。
「遅かったなぁ?」
ニヤニヤしながら龍樹が近付いてきた。
「自分にあった武器を探してただけだ。それにお前と違って返り血は全く浴びてないからな。」
「返り血は洗うからいいだろ。それよりめっちゃスカッてたな!面白かったぞ!!」
「はいはい。」
うぜぇ……
「さっさとドロップ品確認して次行くぞ。」
「そうだな〜。」
今回は前回と同じ魔石(仮)が5つと短剣が1つ。
短剣は黒一色で刃渡りは15センチ程。
それ以外は特に特徴は無さそうだ。
俺はナイフの方が向いてるし、武器にどうだろう。
「あれ?玲二どこ行った?」
俺がナイフの感触を確かめていると、周りにモンスターが居ないか確認していた龍樹がキョロキョロしながら言った。
「何言ってんだ?ここに居るじゃないか。」
「うおっ!?いつからそこに!!?」
「いつからってここでドロップ品見てたのお前も知ってるだろ?」
「そう言えば確かに。じゃあ、何で見失ったんだ?」
考えられる原因はこの黒い短剣だろうな。
ここで見失うって事は龍樹程の馬鹿でも有り得ない。
「多分この短剣のせいだな。この短剣は装備者に軽い認識阻害の効果を付与するのかもな。」
「つまり、魔道具みたいな物か。」
「まあ、範囲がどの程度かは分からないけど、雑魚からドロップした物だから隠密+1みたいなものだろう。」
「そうだろうな。だが、ヘイトが多少なりとも向かなくなるなら玲二が持っておくといいんじゃないか?」
龍樹が珍しく譲ってきた。
確かに持っておくと助かるが裏がありそうだな……
「その代わり?」
「その代わり魔石の分けたあまり俺が貰うな!」
「だと思った……。まあ、いいぞ。」
「いやー、理解が早くて助かるよ〜。」
「はいはい。振り分け決まったしもう少し奥行くぞ。」
「うい〜。」
その後俺達は数回の戦闘をこなし、ダンジョンを出た。
短剣のような魔道具もスクロールも出なかったが、身体の具合を見るには最適だった。
「いやー、あの犬も強化すればあんなに雑魚だとはね。」
「油断はするなよ?まあ、蝙蝠も犬も攻撃が単調で避けやすいし雑魚だと思わなくはないがな。」
俺達は持ってきておいたケースに武器等をしまい、帰る為に神社の方に足を進めると目の前に巫女服を着たポニーテールの女子が現れた。
読んでくださりありがとうございます。
リハビリ回でもあるのでおかしな所等あったら教えて貰えると幸いです。
なお、この話から私、シハーのみの執筆となります。