天空-sora-
世の中に溢れる色とりどりの鮮やかな世界。
貴方には何色に見えているのでしょうか。
世界には様々な色が有るそうだ。
春の河川敷を彩る淡く色濃い桜並木。
新緑の夜に煌く遠き星達の瞬き。
燃える様に輝く朱色、紅色。
全てを包み込む白銀の雪原。
季節によって色は移り変わり、
日々変わる美しき天空の彩り。
世界は美しさで溢れている。
人の世はどうだろう。
けたたましく鳴る電子音に耳を傾け、目の前の非現実にのめり込む。
便利さを求め気付けば鉄とコンクリートの塊が天に聳える。
徐々に不変の彩りは鳴りを潜め、
空は翳りを見せ始める。
人の心も時代の変化に合わせ色を変える。
純白の「生」を受けた身も今では何色に染まっているのだろう。
淡く純粋に美しく色付いた者。
紅き炎を連想させる程、輝き光を放っている者。
与えられた純白が霞を帯びて濁り始めた者。
闇夜より深い漆黒に染まってしまった者。
全ての物には色が有り、全ての者は遷り変わる。
古人は皆、口を揃えて昔は綺麗だったと吐き捨てる。
変わるはずの無い情景。変わって行く人の色。
今日も天空に色は無い。
世界は様々な色で溢れている。