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箱入り娘、始めました。  作者: へッどほん
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実用性vs面白性


≪[MP自動回復]がLv2になりました。≫


≪[HP自動回復]がLv2になりました。≫


 全快になるのを待ってる間に自動回復系のスキルが上がり、回復する間隔が若干短くなった。さらに、回復量も2に増えた。


 さてと…全快したし進化するかな…とそのまえに


≪特攻:

 ゼロ距離での攻防の際、能力値に補正が入る。≫


 なかなかよさげなスキルだな…けど簡単に手に入ったからあまり期待は出来ないかも


 彼女は知らないがこのスキル…実は中々とることが出来ない。何せ習得条件が非常に厳しい。

その習得条件とは、[瀕死状態(HP二割以下)で自分より能力値の高い者のHPで半分以上削る。]である。彼女の場合、敵のHPの全損とほぼ同時に瀕死になったが世界的にはOKのようだ。ラッキーな奴である


 さて…進化に入るとしようか


 いよいよ待ちに待った進化の時である。できれば移動手段を増やしたいところだ。念動力をまともにつかえるくらい、燃費が向上してもいい。一番人化が欲しいが、この場所だとすぐ死にそうだし…手に入れてもしばらく使えないだろう。


 進化させてくーださい


≪進化の条件を達成しています。以下からお選びください。

 

    ▷ものたべボックス   ▷びっくりボックス   ≫


 うむ、わがんね。詳細が知りたいのだが…


≪ものたべボックス

 雑食。口の中に入れればどんな物でも食べてしまう箱型の魔物。餓死しない『生箱』とは違い何も食べないと餓死してしまう。そのため、跳ねての移動が可能。≫


≪びっくりボックス

 擬態能力を持つ箱型の魔物。開けた者のもっとも恐怖する物に擬態できる。しかし、擬態しても能力は変わらないため注意が必要。移動することは出来ないが『生箱』と同じく餓死しない。≫


 …え?やさしくない?鑑定無いよ?


≪その質問には答えられません。≫


 …まあいい、今は進化が先だ。にしてもこれは…


 普通に考えれば、移動手段が備わる『ものたべボックス』を選ぶだろう。

だがしかし…


 びっくりボックスの擬態能力がそそるんだけど!?


 実用性よりも面白さを選ぼうとするのは彼女の悪い癖だ。この癖のせいでゲーム仲間にどれほどの被害が出たことか…。しかしこれはゲームではない。ゲームであれば限度こそあるが笑ってすむ。しかし現実ならば笑ってすむことは少ないだろう。それでも…それでもだ…


 い、移動手段なら念動力があるからいいんじゃ…いやでもしかし…ぬぐぐぐぐ…


 実用性vs面白さの戦いは20分ほど続いた。ここで彼女は奥の手を使うことにした。


 跳ねる美少女か…擬態する美少女か…


 想像してみてほしい。目の前で、ぴょんぴょん跳ねる美少女を。あざとい。だがそれがいい。

 想像してみてほしい。目の前で、魑魅魍魎(ちみもうりょう)に変わる美少女を。折れる。精神(こころ)が爆発四散する。


 よし!ものたべボックスにしようそうしよう!


 それでいい主人公。


 ものたべボックスに進化


≪ものたべボックスに進化します。≫


 その通知とともに意識が闇に沈んだ。






◇◇◇


「あ奴はうまくいってるじゃろうか」


 ベットに寝そべった美しい女性はひとりそうつぶやく。

その女性、美しいブロンドの髪、端正で誰しもが振り向く美貌、男の欲望という欲望が詰め込まれたかのような体つきを持ち、神々しき雰囲気を放つ絶世の美女。そんな女性に思われる男性は幸せに違いない。絶対いつか刺される。


「あれほど愉快な者は今までにそうそういなかったからのう…無理にでもそばに置いとけばよかったのう」


 しかし、すこし正確に難あり。

そんな女性に声をかける者がひとり


「馬鹿な事言わないの。」


 この女性も非常に美しい。

水色の髪、まるで精巧に作られたかのような顔立ち、体幼いがその幼さを補って余りある艶めかしさを醸し出す体、ブロンドの女性とは異質だが、同じく神々しき雰囲気を放つ人形のような美少女。


「おぉ、4位殿。勇者はもう送り出したのかえ?」


「えぇ…ちゃんと送り出したわ」


 そういいつつ4位と呼ばれた少女は、どこからともなく椅子を創り(・・)出し座る。


「にしても今回の勇者は中々面白いのが多かったわ。相変わらず地球の人間は順応性高いわね」


「確かに今回のは面白いのが来たのう」


「え?あー…そういえば勇者何人か死んだんだっけ…長く生きてると物覚え悪くなるわね」


「見た目は幼いんじゃがのう」


 そういい6位と呼ばれた女性は楽しそうに笑い、4位と呼ばれた少女は不機嫌そうに美しい顔をしかめる


「好きでこんな見た目じゃ…まあいいわ」


「なんじゃつまらん」


「そういや9位殿はどこにいるのよ?」


 4位と呼ばれている少女は、いつもともに談笑に興じているもう一人をきょろきょろと探す。


「9位殿ならまだ転生手続きがおわってないそうじゃぞ。」


「はぁ?さすがに長すぎない?ひとりでしょ?」


「なんでも死にたくないと泣き喚かれて終いには疲れて眠られたそうじゃぞ」


「そんなの叩き起こせばいいじゃないの」


 やめて!彼女のライフはもうゼロよ!!


「そんな死体蹴りのようなこと9位殿に出来るわけないじゃろ」


「まったく…あの娘は優しすぎるのよ」


「主は厳しすぎるがの…まあ先ほど起きたらしいからもうすぐ来るじゃろ」


「そう、ならいいわ。あの娘が来るまで布団借りるわね」


 そういいつつ彼女は椅子から立ち、6位殿と呼ばれていた女性の隣のスペースにもぐりこむ。


「来たら起こすのじゃ」


「ん、あんがと」


 その言葉を最後に4位…神界序列4位の少女は寝息を立て始める。


「それじゃあ、わしはお茶の用意でもしようかの」


 そういいつつベッドから降りる6位…神界序列6位の女性。


 ここは神界…神々が住まう場所…

神々にはいくつもの名前があるため、神々はお互いを序列で呼ぶ。その中で序列一桁の者は最高神と呼ばれ、創造神と破壊神に次ぐ実力を誇る。

これは、そんな最高神たちのちょっとした午後の一コマ




今回もお読みくださりありがとうございます。

体調も回復し問題なく更新できました。

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