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赤ちゃんになっちゃいました

評価されていることに気が付いて、嬉しくなってしまいました。

ありがとうございます。

 (ん、あれ、、僕どうしたんだろ)

 

 零は妄想している最中に寝落ちしてしまった。と思い、リビングに行こうとした。しかし


 (体がすごく重く感じて、指しか動かせない?

もしかして、金縛りってやつかな?!、、)


 零は人生ではじめての経験にパニックになり、自分の部屋にいたはずが、いつの間にか見知らぬ小屋にいる事を気づくのに多少の時間がかかった。


 (てか待って、ここ家じゃない?)  


 零は本来あるはずの白い天井が、木製のかなり年季が入った天井になっているのに気がついた。

 



 零は動かない体のまま、色々な可能性を考えていた。

 拉致され、何らかの手段で体の動きを制限されている?

 知らぬ間に病院に搬送されている?

 実はこれは夢の中?

 等々色々な事を考えたが、あまり現実的なことではなく、零はひたすら困惑していた。その時、


 「ミルちゃん、起きていたのね」


 その美しく、安心するような美声が聞こえて、零は閉じていた目を開けた。

 そこには、美しいさらさらした赤い髪、そして同じく赤く、どんなものでも見通してしまいそうな美しい眼を持った今までに見たことの無い位美しい女性が、こちらを深い愛情がこもった眼で零を見つめていた。


 (ミルちゃんって、多分僕のことを呼んでるよね?)


 「ミルちゃん、おいで」


 そう言ってその女性は零のことを抱っこして、椅子に座った。

 そして、美しい歌声で歌を歌った。

 零の心に不安は無くなっていた。

 自然と体を女性の胸の中に預け、その澄んだ歌声を聞いているうちに、零は不思議とある事に気が付いていた。気が付いたと言うよりも、感じ取っていた。


 (この人は僕のお母さんだ。)


 そう思うと共に、だんだんと眠くなってきてしまった零は、お母さんの美しい歌声を名残惜しく思いながら、意識を手放していった。


 「ふふ、寝ちゃったのね。おやすみミルちゃん」


 愛しいミルティナの額に、その母親であるフィリアは、一つキスを落とし、ミルティナと一緒にベッドに入った。


 



 零は再び目を覚ました。相変わらず天井は木製のままだ。

 零は新たな可能性を考え始めた。

 いわゆる異世界ってやつだ。今まで現実的に考えてまずそんなことはあり得ないと思っていたが、あの女性から感じた愛情は、夢なんかでは決してなく、確実に本物だと思った。


 (そういえば、最後に妄想に設定した事は異世界物だったし、名前もミルちゃんって、女の子っぽいし、もしかして妄想が現実になったとか?

 でも、もしそうなら前の僕の体はどうなっているんだろう。

 もし死んでいたとしたら、家族の皆が絶対に悲しむ。帰える方法はあるのか。分からない。

 もしかしたら唯とも二度と会えないかもしれない。)


 零はいつの間にか泣いていた。大声を上げて泣いた。家族ともう会えないかもしれない。それは零にとっては、とても大きいことであった。

 家族に二度と会えないかもしれない不安と、あの時妄想なんかじゃなく、唯と一緒に出掛けていればという罪悪感で、零は思った。 


 (もう死にたい、、、)


 「大丈夫よミルティナ」


 零は気付いたときには母親に抱かれて、さっきよりも強く抱かれて、そう言われていた。


 「泣かなくて良いのよ。あなたは何があっても私が守るわ」


 零は言葉を発していない。しかし母親の言葉は、零にとってとても愛しおしく、まるで零の心を理解しているようくらい的確に零の心を癒してくれるものだった。

 

 零はそのまま眠ってしまった。







 零は目を覚ました。ベッドの上ではなく愛しい母親の腕の中で目を覚ました。

 母親の顔を見ると、ぐっすり眠っているようだった。その時一瞬だけ、本当の母親と同じように見えた気がした。零は思った。


 (家族に会う方法を必ず見つけよう。

 その為に知識を身に付けよう。

 それにいつ帰れるか分からないから、強くなろう。 大切なものを手放さない為に強くなろう。)


 自分を大切そうに腕に抱いている母親を見る。


 (この人は僕にとっては本当のお母さんじゃないけど

大切な人だし、この人にとっては僕は大切な子供だと思うから、僕もこの人を大切にしよう。お母さんとして。)

この話はハッピーエンドです。

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