昔々あるところに_003
昔々あるところにモグさんという貧しい青年がおりました。
モグさんは、ある日「黒猫堂」という骨董品屋で、
「お金をどんどんはき出す貯金箱」を見つけました。
貯金箱は高さ15センチほど、筒型で、
上面にスリットの穴があり、側面に<大金運>と
黒く太い文字で書かれておりました。
表面は黄金色に塗装してあり底はふさがっており穴ひとつありませんでした。
モグさんは貯金箱をカウンターに持って行くと
「これは本物ですか?」と聞きました。
店主は「ほんものだニャ。
にじゅうまんえんだニャ」と言いました。カウンターに座っていたのは猫でした。
モグさんは、なけなしの全財産二十万円をはたいて、その貯金箱を買いました。
さっそく自宅に戻り、500円玉を一枚、100円玉を二枚貯金箱に入れました。
しばらくすると貯金箱はぶるぶる振動をはじめました。
見ていると、上面のスリットから銀色のコインがゆっくりと出てきました。
そして
ぺっ!
ぺっ、ぺっ!
そういってお金をはき出しました。
あああああああああああああああああああああああああああああああ