それは終わりであって始まりでもある
闇夜の森の上空をドラゴンが弓矢のよう疾走する
三体の内、一体は他の二体と比べると小柄だ。
ドラゴン達は追われていた。
追跡者は漆黒で球体に二対の翼を持つ。
小柄のドラゴンの速度が徐々に落ちていき追跡者との距離が縮まる。
追跡者に変化が起きた。
口だ
口が表れたのだ。
人間のそれと似た口をあんぐりと開け小柄のドラゴンを飲み込むのが待ちきれないとばかりにだらだらと唾液を垂れ流す
もうダメだ
小柄のドラゴンがそう思った時、身体に衝撃が走った
衝撃は上からだった。
一体のドラゴンに体当たりされたのだ。
落下しながら見たその先には既にドラゴンの姿が一つ減っていた。
悲鳴を上げる間もなく意識とその身は深い森の奥に呑み込まれた。
アルアジ村の唯一の学校。その校庭。
暖かな日差しの中十人にも満たない生徒たちが地面に腰を下ろし眼前の初老の男の話に耳を傾けていた。
クロスはその初老、メンティアの隣に並んで立っている。
「えー、今日は魔法について学んでもらおうと思います」
そう言うとメンティアは人差し指を自身の目の前に立てた。すると指先から炎がゆらゆらと立ち上った。
「魔法とはこのように自分の中の生命エネルギー‘マナ’をしようし特別な現象を自在に操ることをいいます」
メンティアは指先の炎を丸や四角などに形を変えて見せた。
「魔法はさまざまな事ができますが今日はその中から召喚術を教えていきたいと思います。ですが私は召喚術は専門外でして、なので特別に先生を呼びました。クロス君とウルフさんです」