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最終話

 最終話


 朝に目が覚めると私は結局ベッドの上で翌日まで寝込んでしまった様だった。私は病人じゃ無いのになぁ……

「秋菜おきて、秋菜起きてってば。秋菜ちゃ〜ん」

「ふぁ〜お姉ちゃん何か用?」

私が目をこすりながら目を開けると目の前にはお姉ちゃん。顔を真っ赤にして私の方をじっと見てる。

「ん……私なにか変?」

「変じゃ無いよ。うん、その服もブカブカでスッゴイ可愛いから全然変じゃ無いよ」

 服がブカブカ? 私は良く判らずに自分の姿を見ると昨日着ていた服からブカブカの黒いベビードールに変わっていた。確かに自分でも惚れちゃいそうなくらい可愛いのは可愛いから嬉しかった。でも、これを自分が着てるのはすごく恥ずかしくてお姉ちゃんを怒らずにはいられなかった。

「ちょっ! 何で私がこんなの着てるのよ。こんなの私が着るよりお姉ちゃんが着た方が絶対に可愛い……じゃ無くて、何で私がこんなの着なきゃいけないの?」

「そんなの可愛いからに決まってるじゃない。その高校生とは思えない小さな体にはベビードールが絶対マッチしてるんだから〜」

 そう言いながら私の胸に抱き付いて私の顔を見るお姉ちゃんの顔は本当に嬉しそうで幸せそうな顔だった。体の成長が他の人より少し遅くて良く中学生か? とか言われて腹が立つんだけどお姉ちゃんに言われる時だけは何だか嬉しく感じちゃうのが腹が立つ。

「どうでも良いけど……気がすんだら早く離れてよね」

「ふふ、そんな事言って〜秋菜ちゃんの方も抱き付いてるんだから離れられないよ〜」

 良く見たら私もお姉ちゃんの背中に手を回して抱きしめていた。

「少しの間会えなかったから……」

「寂しい思いさせちゃった? ゴメンね……」

 お姉ちゃんは笑顔を崩す事無く私の顔に手を触れて……そのまま私の唇と自分の唇を少しだけくっつけた。心臓が爆発するんじゃ無いかと思うくらいバクバク鼓動しているし頭で今の状況を理解する事が出来なかった。最初の時はお姉ちゃんの事好きだったけど今ほど意識する事も無かったから大丈夫だった。でも、この人生で二度目の口付けはそうじゃ無かった。

「ふぉ、ふぉねぇひゃん……?」

 お姉ちゃんと言いたいのに上手く舌が回らずに何を言っているのか自分でも意味不明になる。私はそんなに恥ずかしいのにお姉ちゃんは何も動じていないかの様に私から唇を離しても笑顔を崩さずにニッコリと笑っていた。

「え、お、おね……えっとえと……」

「少し緊張しちゃったのかな? 私もすっごい恥ずかしいけど今は嬉しい気持ちの方が強いかな……秋菜には急だったからびっくりさせちゃったかな?」

 私の前ではどんな時でもずっと笑顔を見せてくれるお姉ちゃんが私には眩しすぎて少しだけ悔しかった。

「お姉ちゃんのバカ……私はこんなドキドキしてるのにお姉ちゃんはいっつも私の前では笑顔ばっかり……そんなお姉ちゃん大嫌いっ」

「連日嫌われちゃった。前も言ったと思うけど、私は秋菜が私の事を嫌いになってもずっと好きでいるし、ずっと側にいるよ……秋菜の事を好きとかそんな気持ちの前に……大した事は出来ないけど、私は秋菜のお姉ちゃんなんだからね」

「……それ、関係あるの?」

「大ありだよ? お姉ちゃんがどうして先に産まれてくるかわかる?」

 私は判らなかった。早く産まれてくるからお姉ちゃん、遅く産まれるから妹。それだけだとずっと思っていたし、それ以外に理由があるとも思えなかった。

「お姉ちゃんはね、先に産まれて、後から産まれてくる妹や弟を守ってあげる為にお姉ちゃんの方が先に産まれるんだよ? それならさ、私がお姉ちゃんになって、秋菜が私の妹になる運命は私達が産まれる前から決まってたのかも知れないね?」

「それだったらお姉ちゃんはもう少し何か出来ても良いと思うんだけど?」

「あぁっ! それを言うかなぁ〜この何でも出来ちゃう妹ちゃんはーっ」

 少しスネた様な顔を見せるお姉ちゃん。いつもの笑顔のお姉ちゃんとは少し違う可愛さを見せていた。

「春希お姉ちゃん……お姉ちゃんなんだから、その……これからもず〜っと私の事を守っててね……」

「もちろんだよ。秋菜ちゃんは私の妹としてず〜っと守ってあげるよ。だから、秋菜ちゃんは私の事を恋人として色々と私の至らない所をカバーしてね?」

「う、うん……お姉ちゃんがそう言うなら……約束っ」

 私は顔を真っ赤にしてたと思う。約束って言った後にお姉ちゃんの唇に今度は自分から唇をくっつけたのだ。

「あ、ああ……秋菜ちゃん? その、そのその……いいい、今のって……」

「も、もう良いから早く寝なよっ!」

 太陽は丁度登りきってお昼をお知らせする時間帯。私は太陽の様に真っ赤になった顔を隠す様にお姉ちゃんの布団にもぐりこんだ。

「秋菜ちゃん。秋菜ちゃんってば〜っ!」

「う、うるさ〜いっ! もう良いでしょ〜あぅ〜死にたい死にたい死にたい〜っ!」

 本当は死にたくなんか無いよ。だって今はお姉ちゃんが私の事を守ってくれるって言ったんだもん。まぁお姉ちゃんが私の事を守るって言った所で何か出来るとは思えないけど少しでも努力してくれたら嬉しい……かな?

「秋菜ちゃん……お姉ちゃんも頑張って努力するからね。せめてお料理くらいは出来る様になりたいかな……?」

 私はお姉ちゃんに何か出来た方が良いって言ってるけど、本当は何かが出来なくても良いと思ってます。


 何も出来ないお姉ちゃんが大好きだから……


〜END〜

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