ハーメルンの笛吹き男
笛吹き男に連れ去られた一三〇人の子供たちは、決して戻ってきませんでした。
お父さんやお母さんがどんなに必死に探しても、決して、決して、戻ってはきませんでした。
ハーメルンのみんなは悲しみにくれ、せめてこの出来事を忘れるまいと、教会の石碑にしっかりと刻み込んだのです。
……それでも。
ずっと、諦めなかった人たちがいたのかも知れません。
世界のどこかで、ずっと、ずっと、探し続けた人たちがいたのかも知れません。
そして、いつの日か……長い長い旅の果てに、再び巡りあうことがあったのかも知れません。
はるか遠くの空の下で。
誰も知らない歴史の彼方で。
――昔々の出来事です。
おしまい
謝辞
この小説の公開にあたり、お世話になった方々へお礼申し上げます。
中世楽器の復元・制作・演奏をしておられ、ジョングルールにまつわる話やバグパイプをはじめとした中世楽器に関する興味深い話をお聞かせいただき、更に当作品に名前を頂くことを快諾してくださった、楽団「ジョングルール・ボン・ミュジシャン」の近藤さま。
中世の靴のしくみや作り方、靴にまつわる貴重な話などを聞かせていただき、資料までコピーしてくださった、浅草の「かわとはきもの博物館」の館長さま(だと思います。申し訳ありません。名前を失念してしまいました)。
そして、無理難題のような質問に答えていただき、数多くの資料を提示いただき、更に出版に向けた道筋まで相談に乗ってくださった日本グリム協会の天沼先生。
その他、数多くの指摘・助言をしてくださった皆さま。
お世話になったすべての方々に、心よりのお礼を申し上げます。




