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黒髪の匂い、カール、そして紅のリボン

掲載日:2026/03/17

髪が無くなっちゃった

病室の君が笑う

僕の髪ももうすぐ無くなるさ

パイプ椅子の僕が笑う

迫り来る時は容赦ないのに

そんなことも分からなくなったほどに

僕たちは互いの言葉におぼれた


溺れてそのまま時の沼の中に

沈んでしまいたかった

奏すれば、君も僕もそのまま

水の中で保たれるかもしれない

でも、君は口を閉じ目を閉じた

僕は口をつぐんだだけなのに

ねえ、何か言ってよ


僕がそう言ったのかな

いや、君がそう口走ったのさ

だから、僕は口を走らせた

君の頬に言葉を走らせ、

君の手に口を走らせ

君の身体に手を走らせた

君が身じろぎするはずだから


昨日はそんな日だった。

おとといは、まだ元気だった

でも今日は、君は何も言わない

だから僕はもう一度

君の頬に言葉を走らせ、

君の手に口を走らせ

君の身体に手を走らせた

君が身じろぎするはずだったから


今の君にあの黒髪はなく

今の君に言葉はなく

今の君に発する声も無い

今の君に吐息は切れ切れ

僕と触れ合った手は力なく

それでも君の身体からは

忘れられない匂いが残っていた


だから、僕は忘れない

君の黒髪

君の髪のカール

君の編み込んだ髪

そして、今も額に

腕にまく紅のリボン

僕の紅のリボン

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