幽霊はいるのかと言う問い
「幽霊はいるの?」
そう問いかけたことがある。
だって夏になると毎年のようにテレビでは怪談をやるし、親が図書館でホラーの本を借りてくる。
それじゃあまるで幽霊がいるって肯定しているようなものじゃない。
いないものをわざわざ2時間も番組で放送しないでしょ?いないものにたいして本を書いたりすることはできないでしょ?いないはずの(知らないけど)つちのこに対して六法全書なみの量の本を書くことなんてできないもの。
少なくとも私は無理。
そしたら姉はこういうの。
「幽霊なんていないわよ」
「どうして?見たこともないのに決めつけちゃうの?」
そういうと姉は優しそうな目をして言ってくれた。
「もしもよ。私が今日交通事故にあって死んじゃったらどうする?」
「いや!お姉ちゃんは死なないよ!」
「そうじゃないわ。もしもの話よ」
お姉ちゃんの声は落ち着いていたので、お姉ちゃんはどこにも行っていないっていうことが分かった。どこにも行かないでね。
「…さびしいよ。さびしくてさびしくて帰ってきてくれなきゃお姉ちゃんのお菓子これから全部私が食べちゃう」
「そうね。私も会えなくなるのはさびしいわ。お菓子だって食べられたくないから化けて出ちゃう。もしお姉ちゃんが化けて出るとどう思う?」
「嬉しい。お姉ちゃんが帰ってきてくれた!」
そういうとお姉ちゃんは違うといって首を振った。間違ったことをいったのかな。
「お姉ちゃんの姿じゃなくてこわーい足のない幽霊として帰ってくるの」
お姉ちゃんの声は不思議と現実的で、怖い幽霊の姿が目に浮かんだ。
「怖い、でもお姉ちゃんは怖くない」
「お姉ちゃんは迎えに帰ってくるのよ。一緒にあの世に行こうって怖い幽霊としてね」
「やだよ。そんなの怖いもん!」
「私も怖いわ。死んでまでそんなことを言われるなんて。死んでどうして悲しまなくてはならないの?怖がられなければならないの?私はそうなりたくはない。だから幽霊なんていないのよ」
お姉ちゃんは幽霊になりたくないから幽霊なんていないんだというようなことを言った。
「でも幽霊になったらまたしたいことができるんだよ」
それでも幽霊はいるんじゃないのかという私の問いに対してお姉ちゃんは言った。
「水子って知ってる?」
「赤ちゃんになれなかった幽霊」
「そうよ。水子は生まれることができなかった未練があるからお払いしなくちゃいけないの」
「お払いって…天国へ行くんでしょ?」
「いろいろな宗教が混じってるわね…。そうね、そう言ったら聞こえはいいけど私は好きじゃない」
「どうして?」
「だってお払いなんて邪魔もの扱いじゃない。私なら、邪魔もの、不吉扱いされるなんて嫌。絶対いや」
だから幽霊なんていないの、そんなの悲しいわといったお姉ちゃんの話を聞いてからお母さんが借りてきた幽霊の本を読んでみた。
怖いなと思った。