表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
火魔法しか使えないけど意外となんとかなる魔法学校生活  作者: 千津カムイ
暴食全裸爆発編
15/69

14話

「……チッなんだ猫か。つまんねーな」

(セーフ!)

 門番はつまんね、と何度も呟きながら自らの持ち場へとノソノソ戻っていった。その間に僕もこの場から逃げようと、屋敷とは逆側にするがまたもエウレカが阻んできた。今度は肩と肘を掴み関節技を決める構えだ。魔法使いが関節技って、そりゃ無いよ。

「さっ戻ろうか? カビトくん。返事はにゃあ、だ」

 あと一歩でも逃げようとすれば、どうなるか分かるな。目がそう語っていた。眼球にそう書いてあるのだ。矮小な一市民である僕が、この脅しにも近い注文を断れるはずもなく、諦めて腰を下ろし「にゃあ」と鳴いてやった。エウレカは満足そうに頬を歪め、そのまま引きずって二人の控える元居た場所へと戻っていった。


「えっ、さっきの猫ちゃんってカビトくんだったの?」

「ぷふっ」

 エウレカがつい先程の事を話すと、フラウは驚きタクミは顔を逸らして笑った。僕の顔は羞恥で真っ赤だ。

「それはそれは見事な鳴き真似だった。おかげで助かったのだからそう照れるなよカビトくん。あれは紛れもなく君の功績、誇っていいんだよ? ほら、試しにまた鳴いてみたまえ」

 アレだけドン引きしてたくせによく言う。いつだって不遜な笑みを浮かべているエウレカに、アレだけ冷めた目を向けられる事はこの先きっと無いだろう。というかあったら困る。

 門番は自身の持ち場に戻り、壁にもたれかかって欠伸をしている。屋敷の周りは高い壁で囲まれていて、ジャンプした程度では到底登ることは出来ない。無論魔法を使えばその限りではないだろうが、どうやら革命団の人たちにそのつもりは無いらしい。茂みを進み壁の方へ近づくでもなく、延々とエウレカとタクミが門番や屋敷の周りを注視し、その間フラウが熱心に地面に文字を書き連ねていた。謎の文字列はどうやら計算式らしいが、僕が読める代物ではなく、足しているのか引いているのかすらまるで分からない。

 自分で書いているだけあって、彼女自身はキチンと理解しているらしく、謎の文字たちと真っ直ぐ向き合い、問の答えに向けて必死に計算を続けていた。僕はといえば、その間夜空を見上げていた。何せ我らが魔法学校を代表する面々が並ぶ中で、一体僕に何か出来るというのか。何か出来ることは無いかとウロウロするのも虚しい。なのでいっそ割り切って綺麗な夜空を楽しむ事にした。

「いつも夜は自室にいるんですけど、たまにはこういうのも良いですね」

「この辺は星も綺麗に見えるしな。私も魔法の実験がてらこの辺に来ては夜空を眺めるんだ。成否を問わず清々しい気分になれるからね」

「えっ」

 この辺、つまり外で魔法の実験? そりゃもうガッツリアウトだろう。言い逃れも出来ない違法行為だ。今ならこれをダシに軍部に駆け込めば、更なる犯罪行為の防止とかいって僕だけでも助かるんじゃないか?

「ちなみに寝返ろうなんて夢にも考えるなよ。そんな事すれば君に呪いをかけてやる。魔法学校の教師たちが呪文の名前を聞くだけで卒倒するような、ドぎつい奴を何重にもかける。必ずな」

「ははっ、まさかここまで来てそんな事する訳ないじゃないですか。持ちつ持たれつ、助け合って行きましょう? ね? ホントに」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ