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プロローグ よりによってこんなキャラに転生するなんて!

好きじゃない小説があった。


昔から読書はあまり好きだはなかったが、ふと目に入ったその小説をなんとなく暇つぶし程度で読んでみた。


異能バトルものの小説で初めは男装した少女が自分の夢に向かって仲間たちと獅子奮闘する物語。


友人に聞いた話だとこういった小説ストーリーはいくらでもあり、新鮮味がないから人気がないと言っていた。


あまり創作物に触れてこなかったから新鮮味もあり面白いと思ったがだんだんと物語はおかしな方向に走って行った。

奇抜な設定や多すぎる伏線の数々。

結局そのほとんどは回収されずに次の物語へと話が進む。

散らかすだけ散らかして、特に片付けることなくどっかに行ってしまう。

人気がない分すぐに打ち切られてしまったその小説は世間に日の目を見ることもなくひっそりとその物語の幕を閉じた。


ドキドキしながらページをめくる高揚感も主人公を応援するあの気持ちもぜんぶふみにじられた気分になったからだ。

それ以来、その小説は読まなかった。


好きじゃないものにわざわざ自分から近付こうなんて思わないだろ?


・・・・・・・・・・

噛ませ犬キャラ。

それは主人公とヒロインをくっつけるための愛のキューピットであり負け犬である。


基本は遠くから野次を飛ばし主人公ちょっかいをかける。

自分にはできないことを平然とやってのける主人公に対して嫉妬し嫌がらせをする。

後々に痛い目にあい、ギャフンと言わされる存在。

よく言えばモブキャラ以上ライバルキャラ以下それが噛ませ犬キャラである。


何でそんなことを急に喋るのかだって?

その訳話そうじゃないか。


俺の名前は・・・あれ?何だっけ思い出せない?

おかしいな確かに、あれ、まぁいいか。


俺は昨日のよる、久々にとある小説を読み返していた。

部屋の片付けをしていたら奥から出てきた懐かしい小説。

昔暇つぶしがてらに読みふけっていたタイトル名はあれなんだったかな?これも思い出せない。


内容は大体把握できているんだが、あれ?

記憶の混濁がすごい、その部分だけ霧がかかっているようにうまく思い出せない。


久々に読んでやっぱり納得いかなかった。

無駄に風呂敷を広げた挙句中途半端な終わり方、人気がなかったから仕方ないかもしれないがあの終わり方はないだろう。

何が僕たちの戦いはこれからだ!だ。

俺はその話の続きが気になるんだよ。


やっぱり読むんじゃなかったと最後に読んでから時間も経ったし少しは面白いと思って読めると思ったんだが、やはり面白いのは最初だけだった。

読んだことを後悔して眠くなったから目が覚めたら全く見たこともない別人になっていましたと。

全く見たことはないは訂正しよう。

鏡に映る自分の姿をみる。


茶色に染めたであろう髪はストパーがかかっておりサラサラ。

顔も別に悪くはないだろうがまぁ並み真っ只中って感じ。

チャラ男だな。

印象に残りづらいけど見た事はあるなぁって感じ。


こいつあれだ。小説の中にでてきた噛ませ犬キャラだ。

はぁ!わけわかんねぇよ!

誰だよお前。


街中で主人公が学校のアイドルの美女と歩いているのを見て絡んできたチャラ男。

そんでそのあと主人公にボコボコにされて土下座してライバルになる男子に言いつけるだけの存在。

数少ない読者たちがとある掲示板にてコバンザメ、虎の威を借る狐、土下座チャラ男、パシリと呼ばれるあいつ。

挿絵では前髪により顔も書かれていなかった雑魚キャラ。


それに俺はなっているわけでして、いやぁちょっと待ってよ。

どうせなら主要人物のハイスペックイケメン男子とかになりたかったんですけだ。


じゃなくて俺なんでこんなチャラチャラした男になっているんだ?

ごく一般的に反抗期に入ってグレてただけの存在なんですが。

これはあれか、友人が言っていた自分にとって後悔がある作品のキャラに憑依する系のやつか。

何言っているのかわかんなかったけど、実際に実体験しても全くわからねぇ。


これは夢か?

リアルすぎるだろ?

思いっきり顔面を殴ってみる。

痛い、鼻血まででてきた。


俺は大きく息を一つ数とそこらへんにあったデジタル時計を見る。

今の時間は11時か、学校は思いっきり遅刻してるなと思ったがご丁寧にデジタル時計には曜日と日付も書いており、日曜日の20××年7月10日となっていた。

なるほど、休みの日に昼近くまで寝ているとはこいつはダメなやつなんだな。


いつも朝5時には起きている俺には考えられない起床時間だ。

小説の冒頭で速攻で退場する奴がそんなきちんとした生活送っていても驚きだけどな。


近くにあったカバンをあさると学生手帳とスマートフォンが入っていた。

学生手帳を開けるとこのチャラ男のプロフィールが書かれていた。

えっと名前はぁっと。あったあった。


六条ろくじょう梨杏りあんか」


随分と女らしいかわいい名前が付けられていた。

掲示板に書かれていたあだ名とは大違いだ。

梨杏か、ナシかアンズかどっちかの果物で我慢してやれよ。


俺、本当は女になってねーよなぁ。

確認のためにまたを見てみると中途半端に立派なものが付いていた。

よかった男だ。


それにしても腹が減ったな。

基本的には起きてすぐは何も食べたくないはずなんだが、この体燃費が悪いのかね?


俺はとりあえず部屋を出た。

初めて見る光景のはずなのになぜか見知った場所のような感覚に陥っている。

変な気分だ梨杏の体だからだろうか。


いや俺の記憶が追加でアップロードされたのか。

この説は有効だな。だってなんか俺が体験していない記憶がある気がするんだもん。

そもそも俺は死んだのか?心当たりがないしなぁ。

俺は元の世界に帰れるのだろーか?わからん。

どうにでもなるか?


腹が減ったな。

冷蔵庫に何か食べ物がはいってたっけ?

俺は階段を降りてリビングらしき部屋に行く。

誰もおらずキッチンの冷蔵庫を開けても中身は飲み物ぐらいしか入っておらずほとんど空っぽだった。


こんなに何もない冷蔵庫を見ると寂しくなる。

前の家では下に兄弟が二人もいたからいつも冷蔵庫は何かしらが入っていたものだったしな。

食べ盛りが3人、母もよく料理を作るのが大変だと発狂していたな。

だから俺も料理やら家事を手伝っていたな。

もう二度とパソコンが投げ壊されるという悲劇を遮るために。


コンビニに行こう。

近くに某有名なコンビニがあったはずだ。

確か、コンビニで使える仮想通貨が残っていたはずなんだよな。

ロックがかかっていたが指紋認証で開けた。


画面が開かれたがそれにしても今日が日曜日だというのに誰からも連絡を貰えず遊びの誘いもないなんて土下座チャラ男さみしいやつ。


そんなさみしいやつに自分がなっていると思うとだいぶぞっとするが。


どうやら近くにコンビニもあるようだしひとまずは腹ごしらえでもしますかな。

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