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3話 お姫様……?

「んむぅ……」


 翌朝――


 窓から差し込む陽の光に照らされながら、クロノは目を覚ます。

 そんなクロノの顔を、むにゅん……っ! と、柔らかな感触が包み込む。


「おはようございます、クロノ様……♡」


「ああ、おはよう。アリアフィーネ」


 クロノの顔を覗き込みながら、愛おしげに朝の挨拶をするアリアフィーネに、クロノも優しげな声で応える。


 顔を包み込む柔らかさの正体は、アリアフィーネの下着に包まれた大きな胸であった。


 幼い体に心が引っ張られてしまったのだろうか、クロノはそのまま、アリアフィーネの胸に顔を擦り、甘えるような動作をする。


「やんっ、クロノ様ったら……甘えんぼうさんなんですから♡ 昨夜はあんなに〝激しかった〟のに、今はまるで赤ちゃんみたいで可愛いですっ……♡♡」


 甘えてくるクロノに、昨夜のことを思い出しながら、アリアフィーネは甘い声を漏らしながら、クロノの頭を優しく撫でる。


 昨夜のクロノは、その愛らしい見た目とは裏腹に、なかなかに――というか、かなり激しかった。


 その激しさによる快感のあまり、アリアフィーネは途中で気を失ってしまうほどであった。


 そんなクロノが、今はこんなにも愛らしい表情で自分に甘えてくれている……そう考えただけで、アリアフィーネは再び疼いてきてしまう……。


「む? アリアフィーネ、またするか?」


「はい! クロノ様っ♡」


 アリアフィーネのモノ欲しそうな表情に、クロノは気づいたようだ。


 アリアフィーネはクロノの言葉に、花の咲くような……それでいて妖艶な笑みで応えるのだった。


 ◆


「も、申し訳ありません、クロノ様……おぶっていただくなんて……」


「気にするな、やり過ぎた吾輩の責任であるからな」


 クロノにおぶられるアリアフィーネ。彼女の言葉に苦笑しながら応えるクロノ。


 昨夜のアリアフィーネの言葉の通り、彼女はそういった経験が初めてだった。

 だというのに、昨夜に続き今朝も致したせいで、痛みで歩けなくなってしまった。


 そんなわけで、クロノにおぶられながら、街道を帝都クラリアルに向けて進んでいるのである。


「クロノ様、体は小さいのに、すごい力持ちですよね……? 昨日も身の丈以上の魔剣を使ってらっしゃってましたし……」


「ん? ああ……吾輩は少々特殊な体をしているのでな。普通よりもパワーがあるのだ」


 まさかベヒーモスの転生体で、そのステータスを引き継いでいるから筋力が最高クラス……などとは伝えることはできないため、適当な言葉でクロノは誤魔化す。


《聖獣剣》についても、スキルで生み出した魔剣ということにして簡単に説明済みだ。


 ちなみにスキル――という単語だが、昨日野盗がクロノに放った《ファイアーボール》がその一つだ。


 スキルには例外はあるが、大きく分けると六つの種類が存在する。


 下級スキル、中級スキル、上級スキル、超級スキル、さらに今は使える者がほとんど存在しない古代魔法と、使用者が世界に一人しか存在しない固有スキルの六つだ。


 クロノの《聖獣剣》は、武具召喚型の固有スキルということで、アリアフィーネに伝えてある。


 クロノの説明に、アリアフィーネは深く聞いてくる……ことはしない。それどころか急に頬を赤らめ――


「あっちのパワーとかもすごかったです……」


 ――と、わりとアレな感想を呟くのだった。


(む? 吾輩のアレはそんなにすごいのか……?)


【肯定します。クロノ様のは平均のはるか上――】


(ええい! 言わなくていいわ!)


 クロノが疑問に思っていると、唐突に脳内で説明を始めるカレン。

 そんな情報を彼女から聞きたくなかったクロノは慌てて脳内で怒鳴りつける。


(しかし、カレンよ。そのような情報まで知っていようとは……。む? もしかしてコヤツ、昨夜と早朝のアリアフィーネとの交わりを見ていたのでは……?)


【…………】


 クロノの疑問に、カレンは沈黙を貫くのだった。


 ◆


「ほう……さすがは帝都だ。近くで見ると本当にデカいな」


 歩くことしばらく――


 クロノたちは、とうとう帝都クラリアルの前までたどり着いた。


 遠くから見てわかっていたが、都市全体を囲う外壁は見上げるほどに高い。

 これであれば外敵の侵攻に対して、かなりの時間を稼ぐことができるであろう。


「ま、まさか! そこにいるのは〝姫様〟なのですか……!?」


 クロノが外壁を見上げていると、外壁に備え付けられた門の方から、そんな声が聞こえてきた。


 声のした方を見ると、甲冑姿の男たちが、こちらに向かって全速力で駆けてくる。

 姿からすると騎士、おそらく門番の任務にあたっていたというところだろうか。


「む? どういうことだ、姫様とは……?」


 明らかにこちらを目指して駆けてくる騎士たち。

 そして、その一人が口にした「姫様」という言葉――


 クロノの頭の上に「?」マークが浮かぶ。


 そんな中、背中におぶったアリアフィーネが、騎士たちに向かって言葉を紡いだ。


「出迎えありがとうございます、騎士の皆さま。第一皇女アリアフィーネ・アウシューラ。ただ今戻りました」


 ――と……。


「…………は?」


 それを聞いたクロノは、間抜けな声を漏らすのだった……。


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