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最強のステータスを引き継いで人間に転生した聖獣ベヒーモス、勇者の婚約者(お姫様)をうっかり寝取ってしまう  作者: 銀翼のぞみ
一章

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29話 不穏な空気

「す、すごいですわ! 女性をビンタだけで〝アレ〟させてしまいましたの!」


「さすが、ご主人様です!」


 トンデモナイ表情を晒しながら地べたへと崩れ落ちるスミレを見て、シェリルとアリアフィーネは大興奮だ。


「ああ……! これから任務があるっていうのに何をやっているのです! 隊長!」


 地べたで、ビクン! ビクン! するスミレのもとに、一人の騎士が駆け寄ってくる。


 スミレと同じく、クロノがこの都市へとやってきた時に知り合うこととなった女騎士、ナタリーだ。


 そして彼女と一緒に、もう一人青年の騎士が駆けてきた。


「大丈夫ですか、隊長! おのれ、よくも隊長を……!」


 心配そうにスミレの肩を揺さぶったかと思えば、クロノをキッ! と睨みつけてくる。


 完全な正当防衛であった……のだが、そんなことは関係ないといった具合に、凄まじい形相をしている。


「ザ、ザック副隊長……! 今は隊長を起こすことに専念するのです!」


 クロノを睨みつけるザックを諌めるナタリー。


 その言葉にハッとした様子を見せると、青年騎士――ザックは、ナタリーと一緒にスミレを揺さぶるのだった。


 数十分後――


「まさかダーリンのような可愛らしい少年に、二回もアレさせられてしまうとは……もっとお願いします!」


 なんとかアレな状態から回復したスミレが、またもやトンデモナイことを言い出す。


 そんなスミレの発言を聞き、ザックが先ほど同じようにクロノを睨みつける。


「む、むぅ……?」


 なぜ自分はこの青年騎士に目の敵のように睨まれているのだろうか……?


 状況を理解できず、クロノは頭の上に「?」マークを浮かべる。


 そんな時だった――


「それじゃ、スミレちゃんも起きたことだし紹介するわねん? この子はクロノちゃん、後ろの二人はアリアフィーネちゃんとシェリルちゃん。今回のクエストに同行する冒険者ちゃんたちよん♪」


 ――受付嬢であるアーナルドが、騎士の面々にクロノたちを紹介する。


 やはり、スミレたちが今回のクエストをともする騎士隊だったようだ。


「何……? こんな可愛い少年がクエストに同行だと?」


 アーナルドの言葉を聞き、眉を顰めるスミレ。


 先ほどまでクロノを見てデレデレしていたのだが……今は微塵もそんな様子はない。


 むしろ周囲が緊張するほどに真剣な面持ちだ。


 これこそが、彼女――スミレの騎士隊長として表情なのかもしれない。


「安心して大丈夫よん、スミレちゃん。こう見えてクロノちゃんは、喧嘩を吹っかけてきたCランク冒険者二人を無力化したり、ハイオークを一撃で倒したりしちゃうほどの実力の持ち主なのよん♪」


「な……っ!? こんなガキが、ハイオークを一撃だと!?」


 驚いた声を上げたのは青年騎士――副隊長のザックだ。


 後ろでナタリーと、他の騎士二人も目を見開いている。


「確かに、Cランクの冒険者タグをつけている。ダーリン……クロノちゃんの実力は確かなのだな」


 クロノの胸もとに下がる銀色の冒険者タグを見て、スミレは納得……といった面持ちで大きく頷く。


 そしてそのまま、騎士隊の方から自己紹介が始まる。


「改めて、私は隊長のスミレだ。役割はタンク。盾と槍を使う、よろしくな、クロノちゃん、アリアフィーネ、シェリル」


「ふんっ、副隊長のザックだ。魔法スキルを持った剣士だ」


 スミレに続き、尊大な雰囲気で自己紹介を行うザック。

 まだクロノのことを睨みつけている。いったいクロノの何が気に食わないと言うのだろうか……。


 されはさておき。


 騎士たちの自己紹介は続く。


「ナタリーなのです! バトルアックス使いなのです。よろしくお願いしますなのです〜!」


 ザックの前に立って、自己紹介をする女騎士ナタリー。


 どうやらザックの睨みつけから、クロノを守ろうとしてくれているようだ。


 まぁ、逆にそんなザックを、アリアフィーネとシェリルがゴミを見るような目で見ているので、どっちもどっちだったりするのだが……。


「俺はグラッド! 武器は棍棒だ」


「私はレイラ、回復魔法を使うの〜。よろしくね〜」


 グラッドは筋骨隆々な陽気な騎士、レイラはどこか眠たげな印象を与える女騎士だった。


「ではこちらも改めて、クロノだ。武器は大剣でアタッカーもタンクもできる」


「アリアフィーネです。武器はこの弓です」


「シェリルですわ! 魔法スキル使いですの!」


 騎士たちに倣って、それぞれの役割を説明するクロノたち。


 それを聞いたスミレが――


「なるほど、これであればバランスのいいパーティが組めそうだ。それに、タンクが二人いるというのは非常に心強い」


 ――と満足げに頷く。


「ああ、こちらもだ。よろしく頼む、スミレ隊長」


 とクロノがスミレに手を差し出す。


 それにスミレが、デレっとした様子でガントレットを脱いで握手を交わす。


「ちっ……」


 二人が握手を交わしたのを見て、またもやザックが聞こえるように、今度は舌打ちをして不快感を表してくる。


「ご主人様に舌打ちを……」


「そろそろ、わたくしも我慢の限界ですのよ……?」


 アリアフィーネとシェリルが、そんなやり取りを交わしながらザックを冷たい瞳で見る。


 単純な戦力面でのパーティとしてのバランスはいいのだが……果たしてどうなることやら――


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