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13話 ビキニアーマーエロフ

「なに……? 一緒に冒険者になるだと……?」


 翌朝――


 起き抜けにメイド服姿で〝目覚ましご奉仕〟を仕掛けてきたアリアフィーネと愛し合って少し……。


 アリアフィーネの言葉にクロノは間の抜けた声を漏らす。


 それに対し、アリアフィーネは――


「はい! こう見えても弓の扱いは得意なんです、城の庭で嗜みの一つとして幼いころから習ってまして」


 ――と、小さく笑いながら応える。


 今日は早速、クロノは冒険者ギルドで名前を登録し、冒険者活動を始めようとしていた。

 それにアリアフィーネが自分も冒険者になって、クロノの役に立ちたいと言い出したのだ。


「なるほど……いや、しかし、ただ的を射るのと、実際に戦うのではワケが違うのだぞ?」


「それはそうですけど……でも、一人で何もせずに宿で待っているなんて、ただのお荷物になってしまいます……」


 クロノの最もな意見に、アリアフィーネは納得しつつも、寂しげで不安そうな表情を見せる。


(ふむ、どうしたものか……。せめて今の吾輩のような特殊な防具や、武器を持たせてやれれば、いくらか安心かもしれんが……)


 女神エイリアスより授かった最高級の防御力を誇る防具、そして聖獣装武具のような、聖剣にも勝るような装備があれば、戦いに関する知識のないアリアフィーネでも……。


 クロノがそう考えた時だった――


【クロノ様、よろしければアリアフィーネの武具を作成いたしましょうか?】


 ――そんなカレンの声が、頭の中に響く。


(なに? そんなことが可能なのか、カレン?)


【はい、クロノ様は勇者レイジを倒すことにより経験値を得ました。それにより、新たな能力が解放されました。その名も《レプリエイト》と《レプリコンバート》です】


(《レプリエイト》に《レプリコンバート》……どんな能力なのだ?)


 経験値を得たことにより……という言葉は気になるが、それよりも今は新たな力の性能を知りたい。


 クロノが尋ねると、カレンからこんな答えが返ってきた。


【《レプリエイト》は、対象の下位互換品を作成する能力です。クロノ様の召喚した聖獣装武具の性能をいくつか落として擬似複製することができます。ちなみに、クロノ様の召喚した《聖獣剣》はSSSランク、そして《レプリエイト》で擬似複製した《聖獣剣》はAランク程度の性能となります】


(なるほど、レプリカだから性能が落ちるということか。となると、《レプリコンバート》の方は……)


【《レプリコンバート》は生成したレプリカを他の種類の武具に変換する能力になります。これを利用すれば、アリアフィーネ用の武具を……それもこの世界において、上位に位置するようなモノを用意することができます】


 カレンはそう言って、説明を締めくくるのだった。


「よし、さっそく試してみるか……」


「試すって……何をですか、ご主人様……♡」


 クロノの試すという言葉を聞き、アリアフィーネは頬を染めて太ももをモジモジと擦り合わせ始める。


 どうやら試すという単語を〝そっち〟の意味で捉えたようだ。やはりとんでもエロフである。


 それにクロノは若干引きつりつつも、その場で《聖獣剣》を召喚する。

 そのままカレンのナビゲートに従い、召喚した《聖獣剣》に手をかざし「《レプリエイト》」と、静かに呟く。


 するとどうだろうか……《聖獣剣》の隣に小さな光が生まれたではないか。


 光はその輝きと大きさを増し、一つの形を成していく。

 やがて光が収束すると、そこには純白の《聖獣剣》ができあがっていた。


「こ、これは魔法スキル……ですか? ご主人様の剣にそっくりなモノが……」


「アリアフィーネ、これは吾輩の固有スキルであり、できあがったそれはレプリカだ」


「ま、まだ他にも固有スキルを持っていたのですか……!?」


 固有スキルを持つ人間自体が珍しい、それが二つ以上ともなれば、アリアフィーネの驚きも当然である。


「まだこれで終わりではない。いくぞ……《レプリコンバート》っ!」


 目を見開くアリアフィーネを余所に、クロノはさらに能力を行使する。


 レプリカの《聖獣剣》が再び光を放ってその形を変えてゆく、できあがったのは純白の装飾弓だった。


「す、すごい……剣から弓に変わってしまいました……」


「これも吾輩の固有スキル能力だ。冒険者活動に同行するならその弓を使うといい」


「ご主人様……ありがとうございます!」


 足手纏いの自分のために、愛する少年が固有スキルを使ってまで武器を用意してくれた。

 それが嬉しくて、嬉しくて……アリアフィーネはパッと表情を輝かせる。


「あとは防具だな。それ、《レプリエイト》!」


 武器が用意できれば次は防具だ。

 今度は自分の装備に手をかざし、レプリカの作成に移る。


 そして今度も純白の防具が一式できあがった。

 もちろん、このままではアリアフィーネが装備できることはできないので、彼女用に《レプリコンバート》で防具を変換する。


 いったいどのようなモノを用意すればいいのか……。と、クロノが考えていると――


【アリアフィーネの姿を意識して能力を発動してください。彼女にもっとも適した防具が作成されます】


 ――と、頭の中にカレンの声が響いたので、それに従って能力を発動する。


「な……なんて装備だ……!?」


 装備の変換が終わったところで、クロノが引きつった表情で声を漏らした。


 できあがった装備……それは露出が非常に高く、体のラインをこれでもかと強調するようなデザインだった。


 簡単に言えば、いわゆる〝ビキニアーマー〟というやつであったのだ。


「こ、この輝き……弓の時も思ったのですが、まさか〝オリハルコン〟製なんじゃ……」


 あまりに露出の多いデザインに、アリアフィーネもドン引き……するかと思いきや、彼女は装備に使われているであろう素材に興味津々のようだ。


 オリハルコンとは……鉄よりも頑丈、それでいてはるかに軽いという武具に適した稀少な金属の名前だ。


 実際、このビキニアーマーや装飾弓は、オリハルコンに近しい特殊な性質をしている。


「ご主人様、いかがでしょうか……っ♡」


 さっそく装備を身につけたアリアフィーネ。


 彼女のその姿を見て、クロノは思わず息を飲んでしまう。


 純白のビキニアーマー、それはアリアフィーネの体にしっかりとフィットしていた。

 彼女の豊かな胸はこれでもかと強調され、下の面積も極小、ローライズであり……太ももの付け根まで見えてしまいそうだ。


 そして肩パットやガントレット、ブーツ、それらとアリアフィーネの神秘的な見た目が融合し、まるで神話の美しき戦乙女(ヴァルキリー)のようだ。


「す、すごく綺麗だ……アリアフィーネ」


「ふふふ……っ、そう言ってもらえて嬉しいです♡」


 クロノの心からの言葉に、アリアフィーネは妖艶に笑うと、そのまま彼の側へとゆっくり歩き始める。


(あ……これは〝おっ始める〟流れでは……?)


 クロノはそれを悟るも、拒むことはできず……。


 結局ビキニアーマーを着たエロフこと、アリアフィーネの誘惑に屈し、出発が遅れることとなる。


 生み出されたビキニアーマーも、初陣がベッドの上になるとは思わなかっただろうに……。


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