帰還 解体 召喚
ちょっと……かなりサボりすぎましたがなんとか書き上げました。
トルリリアに戻ってきましたよ。
まぁ戻ってきたと言っても透明だから誰にも会わないし、もし外から普通に帰ってきたらいつ外に出たのか聞かれたり、黒鬼に出会ったらどうするとか怒られそうだから、人気のないところにいってから透明魔法を解く。
宿屋に戻って召喚獣を作ろう。どれくらいの強さの召喚獣になるのか楽しみだし、すごく強ければいつも側にいてもらって守ってもらおう。私はか弱いからね。仕方ないね。
核となる魔水晶は手に入ったけど、核を入れる為のぬいぐるみを作る材料を決めてなかった。黒鬼本体も持ってきてるし、ぬいぐるみの材料に使ってもいいかもしれない。むしろ黒鬼の素材で黒鬼を作ってしまえばいいんじゃない?
魔水晶は黒鬼から取れた物、素材も黒鬼から取れた物ならそれはもう黒鬼を作れということでしょ。まぁ厳密には黒鬼に似た人型のぬいぐるみを作ることになるけどね。黒鬼そのままを作ったら魔物扱いされるし、人間に似せて作れば誤魔化せるかもしれない。魔法の暴発で過去に色々あった云々で。
あれだけ騒がれた黒鬼の素材なら基礎の強さも高そうだし、せっかく手に入れたんだから使わないと勿体ないよね。
そうと決まったら解体をしないと素材として使えないんだけど……でもなぁ…首無しのまま仕舞ってあるし、そもそも解体をしたことないからやり方がわからない。
ギルドに解体を頼むわけにもいかないからなぁ……あ、今まですっかり忘れてたけど、黒鬼を倒したからおそらくレベル上がってるでしょ。
ステータスを確認してみるとレベルが3から8に上がっていて、召喚獣の関連スキルと何故か鋏にスキルが付いていた。
《憑衣》
召喚獣をきぐるみのように着ることが出来るようになり召喚獣の力を使える
意識は憑依元の者が優先されるが召喚獣に切り替える事も出来る
これは使えるスキルなのかわからないけど、どこかで使いそうな気がする。私自身は使わないにしても、護衛の仕事とかを受けたときには奥の手として使うかもしれない。多分。
《大小変化》
大きさを自由に変えられるが重さは変わらない
イブの身長くらいが最大サイズ
手の大きさくらいが最小サイズ
《解体神処》
対象を好きなように解体する事が出来るが生きていると解体出来ない
まさにご都合主義。解体で悩んでいるところに解体スキルがやってきた。あとは大きさを変えるスキルかぁ…。解体は頻繁に使いそうだからいいけど、大きさを変えるって使い道ある?私ならこのスキルの事を忘れる自信あるね。
その話は置いておくとして、さっそく鋏と黒鬼を取り出して解体と召喚獣作製をしましょう。
そう意気込んでいた私は気付きました、宿屋の部屋で死体なんか出して解体したら血塗れになっちゃうじゃん。掃除とか誤魔化したりするの面倒じゃん……転移でレナント湖に行ってそこで解体しよう。
レナント湖に着いた。そんなに時間は経っていないはずなのに、ちょっと久しぶりな感じがする。
早速取り出したるは私専用の鋏と倒したてほやんほやんの黒鬼~。本当は裁縫鋏なんだけど、もう武器にしか見えない。黒鬼の首飛ばしてるし…。
取り出した黒鬼は倒した時の状態で出てきた。本当に時間が止まってるのを再確認したけど、まだちょっと慣れない。
首の部分はまだ凍ったままだけど血はあまり見たくないしこのまま解体しますか……。
とりあえず裁縫鋏でお腹を一切りしました。そして現在、私の目の前には黒鬼の死体があります。綺麗に皮と肉と内臓に分けられた状態で…。
なんだこれ…すごく便利だ。苦労して解体している人達に申し訳ないと思うくらい簡単に解体できた。この鋏やるなぁ。
解体した肉と内臓は無収納にしまっておくとして、黒鬼の皮と黒鬼の魔水晶を目の前に置いて、今まで出番が全くなかった”特殊縫合糸袋”と”銀の縫い針”を取り出して準備完了。次は製作に移るよ。
今回作るのは”召喚獣”です。人型の。特殊縫合糸袋に…どれくらいの量が出てくるのかわからないからとりあえず銀貨五枚を入れてみる。
銀貨五枚を中に入れると銀貨は消えてなくなった。袋の中には銀貨の代わりに拳位の大きさの丸い縫い糸の塊が五個あった。毛糸かよ。
銀貨五枚で五個出てきたから、銀貨一枚で一個らしい。安いのか高いのかわからないけど、五個は多い。しばらく持ちそう。
袋から縫い糸玉を一個取り出して針に糸を通す。まぁ数分格闘するんですけどね…糸通すの難しいよ。裁縫はやったことないけど、頭の中で想像した通りに手が動く。おそらく仕立物師と言う職業の効果かもしれない。
半分ほど出来上がってきたところで気が付いたけど、中に綿とか入れなくても大丈夫なのかな…。魔水晶だけ入れても手とか足の部分は空洞になるから、普通のぬいぐるみとしては完成しないような気がする。でも黒鬼の皮は分厚くて丈夫だから中身が空洞でも形を保てるかもしれない。そこの所は完成してみないとわからないから、魔水晶だけ入れてみて、大丈夫そうならそのままで、駄目そうならその時に何か考えよう。
黒鬼の魔水晶も入れて、顔の部分を少しこだわって完成したぬいぐるみ……のような人型のマスコット。綿は入ってないけど、皮が硬いから少し押した程度では何ともなかった。何ともなくて本当に良かった。
大きさは手の平よりも少し大きいくらいになり、顔はねんど的なろいどっぽいゆるい感じで、髪は黒色のストレートロングで、肌は黒鬼の素材の色から日焼けした日本人っぽく仕上がった。
完成度的には満足してるけど、召喚獣として戦わせるのはちょっと気が引けるなぁ…。人間(の見た目をした召喚獣)に人間が命令してる図が、奴隷を使って戦ってると思われてしまいそうな……何かしらの設定を作っておく必要がありそう。
例えば姉妹とか親戚とかそんな感じで誤魔化しておいて、私は指示に向いていることにして、この子(黒鬼素材の召喚獣)は戦闘に向いていることにしておけば何とかなりそう。次からは獣っぽくしたりして誤魔化しやすくしよう。
完成したので召喚してみようとしたが、名前を付けていないことに気が付いた。名前がないと召喚できなかったりするかもしれないし、もし召喚に成功した場合に名前がないと泣かれるかもしれない。主としてそれはいけないと思う。うん。
名前かぁ…どんな名前にしようかなぁ。日本人っぽくしておいてなんだけど、この世界に日本人に近い人種っているのかわからないし、居たとしてもこの付近にはいなさそう。遥か遠くから来たことにしておかないと怪しまれるかもしれない。
名前は憶えやすく呼びやすいのがいいかな。黒鬼の素材で出来てるから黒鬼から名前をとってもいいかも。
黒鬼……黒…くろおに?…うーん。私のネーミングセンスが壊滅的なのは分かってる。だからどんな名前でも文句を言わないでね。
貴女の名前は『黒夢』
今からこの子の名前は黒夢に決定!うん、名前が決まると愛着がわいてくるなぁ…。
名前も決めたし一回召喚してみようと思った……どうやって?召喚ってどうやって出来るんだろう。眼神で調べたらわからないかな?
《ぬいぐるみ召喚獣 個体名”クロム”》
譲渡不可
核に魔力を流すことで召喚することが出来る
最初に流し込む魔力量によって活動時間が変わる
途中で魔力を流すことで活動時間を延ばすことができる
所有者・製作者 イブ
核に魔力を流すといいのか。その核が強ければ流す魔力も多くしないと召喚自体出来ないかもしれないから、結構な魔力を使ってみよう。魔力の数値が測定不可だから問題ないでしょ。
ぬいぐるみを両手で持って魔力を核に流していく。体感数値500くらいの魔力を流し込んでから置くとぬいぐるみが光りだし、人の形になっていく。関係ないけど身長高い気がする、そこら辺は勝手に決まるのか素材の影響なのか…。
推定190くらいの身長、胸もそこそこ、小麦色の健康的な肌、黒髪ストレートの人間?がそこに現れた。
その人間?が辺りを確認していき、最後に私を見てから口を開く。
「そこの弱そうな人間、お前が私を召喚したのか?」
召喚主の私に対しての態度の悪さに、私は言葉を失った。
文才がないので、1話辺り3000~4000字を目安に書こうと思います。