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正月を新春と言うように、現在でも冬に春という言葉を使うことがたまにあるだろう。旧暦では、一月は春とされているため、このようなことがたまにあるのだが、それは逆に、四月が一月と同じく始まりの月とされることがある。これは、日本のことだけではなくイタリア語のプレマヴューレやフランス語のプランタンのようにプレやプラは「始まり」の意味をもつ。春とは始まりの季節なのだ。



始まった…始まったのだ!

春に満ちた俺(田辺 新一)の高校生活が…

どんな部活に入ろうか?

どんな授業があるのか?

希望を胸いっぱいに満たせ、くぐった都立科学工業高校の門の向こうには、

部活勧誘のために先輩方が群れを作ってビラを配っていた。

手にいっぱいの紙束を持ちながら、親に言われるままに「科学工業高校入学式」と達筆な字で書かれた看板の横で、恥ずかしいような…少し照れ臭いような感じで写真を撮ってもらい、入学式会場である体育館に入って、入学生の席に着いたとき、あることに気がついた…

…?…あれ、ここ共学だよね…男子校じゃないよね?


 女子生徒が見当たらない


都内の高校の体育館の中では広い方だが、見渡す程広い訳ではない…

だが、見渡す…見…渡す…

 いない…

…はっ‼︎…まさか、女子だけ違う場所で入学式をやっているのでは?

と、思ったやさき、左斜め後ろで女子トークが聞こえた。目をやると、女子生徒が2人座っていた…


『やった!女子がいた、良かった…』

 とは、ならない。


おかしい、明らかに女子が少なすぎる。確かに、ここは工業高校だ……

女子生徒がすくなくなるのは分かる。

だが、この高校は新設校で進学率70%の進学校で、制服も可愛いと評判で、理系女子に人気の高校のはずだ、学校説明会でも女子生徒は毎年、4割程だと言っていたはずだ。

 確かに、試験会場になった教室には女子がいなかったが…女子とは試験

の教室が違うだけだと思っていたが…まさか…そんな…

科学工業高校だけは違うと思っていた…

他の工業高校とは違うと思っていた…

 これだけ見渡して、2人?

いくら…

いくら進学率が高いからって…

っ…グスッ…ッ…

今年から共学になった、桜ヶ丘女学院付属高校…

蹴らなければ良かった…


 と色々考えている間に、校長先生だとか、生徒会長とか、来賓の大学の先生とか、色々、ありがたいお言葉の数々をはなしていたが、全て聞き流していて、入学式は閉会していた。


 新一の春が…いや…

 新一の冬に限りなく近い春が始まった


ゆっくり

投稿していきます

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