三十九話・友達になった③
解説回。
竜種について聞いてみた。
現在も竜族は幻竜大陸北に住む北竜王、巨人の大陸に住む西竜王、南妖精大陸に住む東竜王、海底に住む南竜王、そして何処かの山の中に住む神竜を頂点の五竜とし、今も何体か存在している。
彼らは古の竜、エンシェントドラゴンと呼ばれ、モナカが言うにはかつて良く叱られたのでどの竜王も怖いらしい。
神竜は女神とも争った最強の竜では有るが超引きこもりで、一体しか居ないのだが何度も卵に全魔力を注ぎ込んでは転生すると言う方法で生き続けている。
尤も一回の人生(竜生?)が一万年を超えるし、今の神竜は卵の状態なのでレアが生きているうちには会うことは無いだろう、との事。
現在世界の竜を纏めているのは北竜王であり、モナカの叔父さんである。
モナカは魔竜種であり、二種の精霊竜の混血なのだそうな。
その両親はそれぞれ光の女神と闇の女神と戦って死んだ。
闇の女神に恨みは無いのか聞いたら、まだ死にたくないし、と言っていた。
モナカはまだ子竜だと言うし、そのうち強くなるのかも知れない。
ただ最近のモナカは明らかに平和ボケで弱体化している。
スキル・大食いで無理矢理魔力量を増やしているので今は歴代最強ではあるのだが。
女神に挑んだ親竜たちも魔王と呼ばれていたので、世襲では無いのだが偶々魔王を継いだ様な状態だとか。
本来魔王は魔人から生まれるものなのだが今はモナカが魔王位に就いている。
北竜王は上位精霊竜氷属性の白王竜。
南妖精大陸の東竜王は重力属性の黒王竜。
南竜王は水属性の青王竜。
西竜王は火属性の赤王竜。
その他の精霊竜は竜王程の力は無いが各竜王に仕えたり野良竜として迷宮の底に住んでいたりするらしい。
個体数も数体で上位精霊竜は神竜と同じく生殖を必要としない。
ただ気紛れでモナカの様な子供を作る事もあるらしい。
モナカの両親は白王竜種と赤王竜種で本来は仲が悪いのだが、最強の竜が出来るかもと試したら魔竜と言う新種、後の魔王モナカが生まれた。
実験的に生まれたからかモナカは実験好きになった。
序でに結界の事や魔力の事を纏めておこう。
魔力はどれ程強い人間でも八時間で回復する。
魔石に魔力を注ぐと魔力許容量が増える。
魔石も八時間で魔力を回復する。
魔石は術式を書く事で本来その術式を使えない加護の人物でもその加護の無い魔法を使える。
魔石も当然魔力切れが有るが魔力吸収力を引き上げたりできる。
魔石使用時に全魔力を注いでも魔石による魔力循環が行われ身体強化の様に魔力が使用される為、全魔力を注いでも昏倒に至らない。
これは風魔法騎士アンナがその全力をもってエアブレットを撃ちながら昏倒しなかった原因である。
更にこの原理を使う事で体幹魔力を回復、昏倒から復活出来る。
自動発動の魔石はその魔石の魔力を使い切ると発動出来なくなる。
魔石に魔力を注ぐ事は勿論可能だが時間は必要になる。
結界は好属性の場合殆ど魔力を使わない。
同属性の場合力比べとなる。
この場合は攻撃魔力が優位。
封印結界は封印無効結界と結界無効以外には好属性で有り最強クラスの結界である。
封印無効結界は封印攻撃以外には普通の結界より効率が悪い。
絶対的な結界を張れるとしても効率が非常に悪くなる。
例えば初級魔法を十として、それに対する絶対結界は一万になったりする。
効率が最悪に悪い上に魔法は超高速、或いは光速で飛んでくる。
ここでもやはり矛は盾を食い破るのだ。
今レアが頭を抱えている問題である。
幸い結界無効攻撃は結界に干渉もしない為に結界側の魔力消耗も無い。
勉強会になった。
モナカは喋り疲れて眠そうな目をしている。
眉間を押さえたり欠伸をしたり可愛い。
すっかり遅くなったのでぱっとサラダや野菜炒めとか焼き魚を作って夕食にする。
何日か遊んだのでアリカたち三人とシリンは一度魔学に帰る事にした。
シリンはまだもう暫くは学校が有る。
夏休みになったらまた来ると言っていたがそれまでここで遊んでいるのもどうかと思うので私たちも魔学に帰り幾らか依頼をこなそうと言う事になった。
随分久し振りに魔学ギルドを訪れると何故かギルドに居る人々が皆緊張する。
「メリアさんお久しぶりです……どうしたんですか?」
「ああ、いえ。 レア騎士団の活躍が話題になっているだけですよ」
「どんな風な話題ですか? また二つ名が増えましたか?」
「ええ、まあ。 地獄の拷問官レアとか邪神の天敵レアとか魔神殺しレアとか、可愛い二つ名が」
「可愛くない可愛くない!」
ああ……魔学王様が草葉の陰で泣いて……亡くなってないけど。
気を取り直して依頼の確認をする。
「高額の討伐依頼は有りますか?」
「現在南妖精大陸方面で邪神が現れている様です。 個体数は数体ですね」
「対処出来そうですか?」
「魔学から数体のゴーレムが派遣されましたので問題は有りません……他はランクが大分落ちますね」
「此方でエアブレットシューターの行き先は掴めていますか?」
「幻竜大陸の冒険者が一つ、魔獣大陸で一つ、魔王大陸で一つ、北妖精大陸で二つが運用されています」
ふむ、上手く散らばっている。
彼らが敵になるかは分からないが、警戒はしておくべきか。
「所有者の平均レベルは?」
「エアブレットシューター獲得後に全員が百を超えました。 詳細は個人情報に差し障りますので……」
「いえ、そこまで分かれば充分です」
何度か私がエアブレットの行き先の確認を取っているのをギルドで把握しているのかメリアさんは此方の戦力を探る様に聞いてくる。
「やはり気になるのですか?」
「エアブレットシューターは魔力ロスが殆ど無いですから結界を張って交わし続けるのは厳しいでしょう。 悪用されたら非常に不味いので」
「成る程、レア騎士団にも危険そうですね?」
「私たちの場合エアブレットレベルならそんなにダメージが無いので大丈夫ですが普通の冒険者では厳しいでしょう。 私はエアブレットを私たち以外の結界で弾かれた記憶が無いです」
実際エアブレットを弾かれたのは魔物くらいだった。
モナカが作った魔物ならアルテミスか零式以外は弾きそうだ。
メリアさんは更に突っ込んで聞いてくる。
ギルドもレア騎士団の恐怖を払拭したいと言う事らしいが冒険者ギルドの諜報能力は非常に高いし敵対された場合の組織力も異常に高い。
此方も冒険者ギルドは恐ろしい。
「防ぐにはどれくらい魔力が必要になりますか?」
「前回ギルドにお渡しした数値で五百程度ですね」
「……レイ王子でも数発耐えられるか、と言うところですね」
エルダードラゴン肉でレイさんの魔力は二千程度まで上がったらしい。
もううちの戦士として戦ってもらえるレベルだ。
「レイさん随分パワーアップしてますね。 何か武器を提供しておきましょう」
「国防に協力するのですか?」
「私は冒険者である前に魔学の騎士ですので……ギルドは面白くないでしょうが」
「いえいえ、外部顧問に意見なんて言えませんので」
冒険者ギルドでは傭兵も雇えるが国同士の戦争がほぼ無いので傭兵を使うのは商人が多い。
しかしもし戦争が起こった場合どちらかに味方する事は出来ない規約がある。
その為ギルド員が特定国家に荷担する事はそこに抵触するのだが母国の戦争に荷担する場合特別に認められるケースがある。
今回はこの特別ルールが適用される事になる。
「多分生産は難しいでしょうがギルドにも幾つか術式を提供しましょう」
「有り難う御座います。 魔力探査などの特許料が発生していますのでご確認下さい」
「有り難う御座います。 ステータスボードも提供しておきますね」
「ほうほう、所有者の能力や技術を数値化出来る……ですか」
「他にも植物や動物、鉱石のステータスを取れば鑑定も出来ますね」
「便利な品ですね」
「浄化魔法の術式の応用ですので神官なら書けると思います」
「分かりました。 ご提供有り難う御座います」
「ギルド情報局に暗殺者対策の経過報告をお聞きしたいのですが」
「私の方で承りましょう。 えーと、どのファイルかな……」
メリアさんは何やらガサゴソと棚の上のファイルをひっくり返し始めた。
情報の扱いが雑だなあ……。
大丈夫かな?
「ああ、あった、これだ。 ……お待たせしました」
「情報の扱いが雑じゃないですか?」
「機密は別に管理しておりますよ。 暗殺者五十数人のうち九割は逮捕されています」
「迅速ですね」
「レア様はその間に邪神群や魔神を倒してますがね……」
「いえ、お疲れ様です。 エアブレットのギルドでの使用を解禁しても良いですよ。 二十丁程作って持ってきましょう」
「危険では無いですか?」
「私たちには危険は無いですが……魔力訓練法の一部と結界用魔石術式、風属性結界の術式を提供しましょう。 魔学には既に提供している物です」
「有り難う御座います……しかし報酬は……」
「特許料だけで良いです」
「助かります……国宝クラスの術式に報酬を払うのは大変ですので……」
「後は……私に直通の通信機を渡しておきますので上位精霊竜種や魔神などが暴れ出した場合直ぐに通信を下さい」
「了解しました」
ふう、久し振りに仕事した。
家に籠もろう。




