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一章 第二話 月夜

少しずつ傾いた日が完全に落ちて、星が空を飾り始めたころ、すっかり人気がなくなった城下町に一軒だけ明かりのついた家があった。透明なガラス戸には「close」と書かれた札が下げられていた。中からは楽しく話す男女の声がきこえていた。

 「ハルヴイン、また今日も寝てたでしょう?」

 「仕方ない...寝るのは動物的本能...」

 「またまたハルヴィンさん、怒られるっすよ」

 中からはのんびりとした会話がきこえていた。ハルヴィンと呼ばれた人間は机に伏せてうとうとしていた。

 「さあさあ、紅茶が入りましたよ」

 「茶菓子も紅茶も全て僕が作った...」

 台所から二人の男女が出てきた。

 「あははは、シロは本当に料理が苦手だね」

 銀髪の女性が髪を揺らしながら笑った。彼女はシルという。

 「平和っすねぇ...」

 「それが一番よかとよ」

 体育会系の口調でしゃべるのがヒロガ、方言交じりの口調でしゃべるのがクロイラだ。

 そのとき誰かがガラス戸をノックして誰かが入ってきた。こんな時間に誰だろうと思うと、その人物はカゲからひょっこりと顔を出した。

 「みんな、元気にやってる?」

 「「アリア先輩!」」

  アリアと呼ばれた黒髪の女性は、にっこりと笑うと空いていたクロイラのについた。あっという顔のクロイラをみて微笑むと紅茶クロイラのをすすり、茶菓子クロイラのを口にした。

 「今日はどうされたんですか?」

 「いいえ、みんなの様子を見に来ただけよ」

 そしてまた微笑んだ。奥からはクロイラが客用の椅子を引っ張ってきた。

 「アリアさん、座るならこっちに...」

 「じゃあ、今日はこれで」

 「はい、また来られてください」

 アリアはまた微笑むと手を振って出ていった。






 「お帰りなさい、アリア団長」

 扉の前に黒に近い茶髪の女性が立っていた。家の中から「椅子を持ってきた意味...」「お兄ちゃんが遅いちゃもん」とシロイラとクロイラの言い合う声がきこえていた。

 「どうでした、あの五人は?」

 「うん、最初は精神的にやられてしまっている五人を班にするのはどうかと思っていたけど...大丈夫そうよ」

 「クロイラとシロイラは?」

 「良い感じではあったわよ」

 「あんなことがあったけど...さあ、帰りましょう、カレン」

 二人の女性は月夜のなか歩いていった。

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