第1話・魔法剣士と【娼館ギルド】
また何か始めました、気が向いた時にでもどうぞ。
本日は書きあがっている分だけ一気に投稿するつもりです。(時間はまばら)
黒っぽい藍色の髪、真ん中で分けられた長い前髪、セミロングを一括り、浅黒い肌、色素の薄い鋭く蒼い瞳、骨太だが彫りの深い整った相貌、180cmは確実に超える背の高さ、筋肉や骨の詰まった引き締まった体。それが俺の相棒…と、一応呼んでいる人間の見た目だった。
名前はブレイド、場所によってはスパーダとも名乗っているらしい。らしいというのは、俺自身は彼がそう名乗っているところを見たことがないからだ。理由は簡単だ、スパーダは偽名で、奴はその偽名を使う場所に俺を招こうとしない、ではその場所はどこか。
―――娼館だ。
前述の外見から想像できると思うが、ブレイドはれっきとした男だ。歳も外見上なら、30代半ばほどに見える、雄の盛りと言っても過言ではない。しかし彼は何故か娼館で働いている。用心棒か?と会って間もない時に聞いたことがある、返答はノー、つまりそういう意味で、彼は娼館で働いている。そもそも彼は初めて会った時から【娼館ギルド】というギルドに所属している。俺の質問は最初から的外れもいいところだった。
そもそものブレイドとの出会いは、今から4年ほど前の事だ。
その頃の俺は今まで入っていたパーティが、リーダーの剣士とその幼馴染だった狩人の結婚により解散され、さてこれからどうしようかと悩んでいた時だった。この際だからとソロで活動しようか考えもしたが、俺は当時はランクBの大剣戦士だった。ソロで活動を続けるには、少しばかりきついと判断した俺は【ハンターギルド】を通してパーティメンバーを募集した。人数は最大4人まで、老若男女は問わず、ランクは最低D、確かこんな感じの募集内容だった。
なぜ最初から作られているパーティに入らず、新たにパーティを作ろうとしたのか、すでに人間関係が完成しているパーティに入っても、いろいろこじれそうだと思ったからだ。応じたい者は三日後にギルド近くの【黒猫と波止場亭】までと期限と場所を記入し、その間ギルドに会った近場で済ませられる依頼をひたすら消化した。そして期日、俺のところに来たのは、あのブレイドのみだった。
少しだけ落胆はしたが、来てくれただけましだと、俺たちはある程度雑談をして互いの事情を多少把握し、その場でブレイドのパーティ参加(というよりペア)を認めた。
ちなみに先述した用心棒云々の話は、ここでされたものだ。ブレイドは良くも悪くも隠し事をしない人間で、【娼館ギルド】で働いていることも隠さず話したのだ。
それから4年、俺とブレイドは二人だけでハンター活動をしてきた。理由は特にないが、これ以上のパーティメンバー増加は人間関係的にも面倒そうだという、単純かつ身も蓋もない理由だった。今にして思えば、この判断はある意味正しく、そして間違っていた気がする。
ブレイドは最初、俺と同じランクBの魔法戦士だった。魔法戦士自体はソロに適した職だが、遠近どちらでも戦える万能だが器用貧乏に陥りやすい、高ランクを目指すのは到底無理と言われる職でもあった。二芸に秀でる者はいないということだそうだ。一時期俺も魔法戦士を目指したことがあったため、その話に納得も出来ていた。
しかし現在、俺とブレイドのコンビはランクSS、個人でもランクSのハンターとしてギルドから認定されていた。このことは【ハンターギルド】発足以来の魔法戦士の偉業として、割合有名な話になっている。
そして今、俺たちは半月ほど主に活動している王国の、比較的首都に近い街にいた。
それぞれの話は短めに自由に、のつもりです。