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放課後③

友希先輩こと長浜友希ながはまゆきさんは2年生のパソコン部で春牙の幼馴染らしい。

そんな友希姉ちゃんは春牙の初恋の人。そんな話を聞いたことがあった。

隣の春牙は口をあんぐりと開けて手を振るわせていて、僕はこの時確かにこの人が春牙の憧れの人であることを悟った。


「友希。お前春牙と接点あったのか。」

「あ〜ちょっとね〜。昔からの顔馴染みって感じ。」


ここにきて状況は一向に落ち着く雰囲気さえないが先輩たち二人は気にする様子もなく二人の空気を作っていた。


「なんか先輩って......すごいね。」


先程まで機嫌が悪そうだった涼河だったが先輩たちの少しおバカな雰囲気に安心したのかはあっと一つ息をついた。


「先輩っていうか、なあ。この人たちがおかしいだけだろ。」


久しぶりの再会で春牙は情緒を保てていないってのに友希先輩は気にする様子もないし。


「友希姉ちゃんは、その、書くのはやめたのか。」


春牙がなんとか口を開けた。しかし友希先輩はその言葉を聞いて明らかに不機嫌になったような感じがした。


「あんたさ。友希姉ちゃんって......。もういいって言ったよね。」

「......いや。友希姉ちゃんは俺にとってはずっと友希姉ちゃんだって。」


友希先輩は苦笑した。


「いや姉ちゃんって。姉ちゃんじゃないでしょ。」


険悪な雰囲気になったコンピューター室にもうこの流れを打ち切れる人はいなかった。

僕だって春牙のそばにずっといたけれど、友希先輩との話なんて少しも聞いたことがなかった、それなのにとても口を出せるような感じではなかった。

何も言わない春牙にいらっとした表情で友希先輩が口を開いた。


「もう友希姉ちゃんって呼ばないでって約束してわかれたんじゃん!いい加減にしてよ!」

「それは小学校の頃の話だろ?何もそんなに意地はんなよ。」

「先輩にそんな口聞くなクソガキ。」


コンピュータ室が静まり返った。

中のいいはずの幼馴染同士の再会がこんなものになるとは思っていなかったのだろう。

面倒ごとには大体不干渉な町谷先輩も申し訳なさを感じたのかなんなのか口を開いた。


「......もっと静かにできない?先生とかくると面倒だからさ。」

「......すいません。」


春牙は今になって恥ずかしくなったのか少し俯いた。


「ごめん。春牙、もうわかったから。じゃ、町谷ちゃん、また。」


そして友希先輩も申し訳なさそうに町谷先輩に一礼するとパソコン部の方に戻っていき椅子に座った。


「......はあ。本当喧嘩ならよそでやってくれって感じだが......。まあたまたま変なとこで再会しちゃったのが良くなかったな。友希ちゃんも久しぶりに君と会えると楽しみにしてたはずだったんだけどな。」


町谷先輩は止めていた手をまた動かし始めた。

春牙は珍しく、沈んでいるようだった。



「春牙元気だせって。」

「俺は別に大丈夫だよ。友希姉ちゃんに悪いことしちゃった、本当に。」

「......。」

反省する春牙とやはりまた気落ちした涼河。

その後僕らは友希先輩の隣で部活をしているというのもなんだか気まずいと思ったのですぐに帰ることにした訳だが明るく話すような気分にはなれず3人で帰り道を無言で歩く、そんな時に事件は起きた。


「あ〜。こうくん......。」


夏目美紅が現れたのだ。


僕らは3人でフリーズした。たて続きに起きる事件に、とても対応する気力は残っていなかったのだ。


「なんで無反応......?」


一番気まずそうなのは美紅だった。



一瞬フリーズした後、また美紅も増えて四人で歩き始めた。


「あははっ。なんでうちが涼河ちゃんにキレなきゃいけないの。怒ってるわけないじゃん。ただ久しぶりの再会なのに薄情なやつだなってこうくんに怒っただけだよ。」


この前の再会の時、涼河は訳は分からずとも美紅に不機嫌そうにされたので気まずかったのだろう、申し訳なさそうに謝ると美紅は豪快に笑い飛ばした。


「なんかこうくんが再会の挨拶に彼女連れてくるからそれはどうなのかなって思って。」

「......いや恒星は別に彼氏じゃないけど......。」

「あ、そうなの?つまんな〜い。」

「それは違うだろ!てか別に.......。薄情じゃなくないか?」


美紅はやれやれとでもいいたげに首を傾げた。


「こうくんはやっぱ変わってるよね。ある意味変わってないけどさ。」

「美紅もそれは同じだろ?」

「ふーんいうようになったね。」


豪快に笑う美紅。やっぱ相変わらず明るく元気で僕の好きな美紅だった。


「でもなんで急に話しかけてきたんだ?学校ではあんなそっけなかったのに。」

「いやあ。あれはだって学校でこうくんと話すといつもみたいに話しちゃいそうだから......。」

「本性を隠してんのか。」


こいつ。

まあ確かに学校ではすごくお淑やかな感じだなとは思っていたけれど。

やっぱ学校の友達にはこんな感じじゃないのか。


実際涼河もこの前と印象が違いすぎたのかあたふたとしていた。


僕と放しすぎていると思ったのか美紅は僕らの方を見た。


「それで......君は、初めましてだよね。」

「......。」


固まっていた春牙に目をつけて美紅が話しかけると春牙は何が嫌だったのかそっぽを向いた。

そこで美紅はなぜかまたあははっと笑った。


「覚えてるよ春牙くんでしょ?あの友希ちゃんとこの。」

「......やっぱり。お前苗字夏目だから怪しいなと思ってたんだけど。なっちゃんだよな?」

「......覚えてんじゃん。」


「なんだか可愛くなっちまったねクソガキだったのに。」とぼそっと呟き、美紅は頭の後ろに手を置いて空を見上げた。


「ねえ。あきちゃん、久しぶりだね。」

「......え、う、うん。」


急に美紅が涼河をあきちゃんとよんだ。

何やら考え事をしていた涼河は急な問いかけに小さく頷いた後「あっ!」と声を上げた。


「もしかして......あのなっちゃん?」

「うん、多分そのなっちゃん。」


え、嘘。

涼河が急に足を止め、僕らが何事かと後ろを振り返ったところで涼河が美紅に抱きついた。


「なっちゃん。なっちゃん。なっちゃん......。気づかなくてごめん。」


涼河は唐突に涙を流し始めた。

ただ美紅は嬉しそうに小さく微笑んだ。


「何謝ってんのよ。別に私だって早く話しかければよかった話だし、気づいて欲しいなとは思ってたけど。」

「ううん、ごめん。あんなに寝ても覚めてもなっちゃんのこと考えてたのにうちが気づかなかったのがおかしかったよ。」


うわんうわんと美紅に泣きつく涼河と、口ではやれやれと言いながらにっこり笑う美紅を夕陽が照らして赤く染めていて、今日色々あった全てがまだ整理はついていないけれど、今日のことが全部美紅の明るさに吸い込まれていった感じがした。


やっぱり、これが美紅だ。


入学式で代表の言葉を話す美紅も確かに格好良かったけれど、こんな明るさでみんなを包む姿が美紅だなと思うのだった。



数分後、僕は家に着いたので、3人にさよならを言って家に入った。

今日は本当色々あったなあ。

文芸部の先輩がまさかの町谷先輩だったし、同じ活動場所のパソコン部に春牙の初恋の友希先輩がいたり、美紅が学校で皮をかぶっていたり、実は美紅が涼河たちと知り合いだったり.......。

なんか奇跡みたいな一日だったな。

一日の日課を日記に書き込むと、大してやることもないので、午後五時、僕はベットに潜り込んだ。



そんななことがあった次の日、家を出ようとしていたところでチャイムが鳴った。

ドアを開けると聞き慣れた声が聞こえた。


「おっはよう!こうくん。」

「......え。美紅?」

「何寝ぼけてんのよ、せっかくうちがあきちゃん達を連れて一緒に学校行こうって誘いにきたのに。」

「あ、ああ。」


いやそういうことじゃないんだよな。

なんで唐突に朝一緒に行くことになってんだよなって話なんだよな。


「何?うち達は迷惑だったってこと?」

「......い、いえ違います。」


昔からなんだかこいつには頭があがんねえんだよな。

圧が強いっていうか頼み方が上手いっていうか、やり込められるんだよ本当。


「お前らは朝から元気だなあ。」


春牙はそう言って「はあっ。」と一つ欠伸をした。

そして涼河は優しい目で笑った。


「なんかねえ。落ち着くよね。」


こいつらに親みたいなノリで見られてんのやだなあ......。

普段だったらこいつらより大人っぽくいられるのにな、美紅と話すと精神年齢十歳くらい若くなる気がする。

美紅がガキだから......。


「なんか失礼なこと考えたねえ、こうくん。」


僕がぼうっとしていたところで美紅がぎゅっと髪の毛を掴んできた。


「いててて、いて。放してくれ!頼む!何本か抜けるっておい。」

「いいねえ、もっと懇願しなよ、いい気味じゃないか〜。うちに悪口は言わないことだな。」


いや決して悪口は言ってないんですが

これだからこいつには勝てないんだよなあ。


ごめんごめんと必死に謝って解放されたところで僕は昨日からずっと気になっていたことを聞くことにした。


「昨日から気になっていたんだけど美紅達はどこで知り合ったんだ?」


美紅は不思議そうな顔で一瞬ぽかんとしていたがなんのことだかわかったようであ〜っと声を上げた。


「確かにね〜、うちとこうくんが初めて会ったのは小学校の頃だしそりゃあ知らないよねえ。」


涼河も春牙もうんうんと頷いた。


「私たちの方がなんなら美紅ちゃんの幼馴染だよね。私たちが一緒だったのは幼稚園の頃だったし。」

「そうだな、確かに。こんなところで再開するとは夢にも思わなかったな。」


美紅も少し寂しそうに頷いた。


「あの頃は連絡先とかも自分のはなかったからね。ずっと仲良くいれたらなってぐらい親友だったのに。ねえあきちゃん。」

「そうだよね!でもこれからはずうっと一緒だよ!」


ちょっと愛の重い意外な一面を見せる涼河とそれをやれやれ顔で楽しんでる美紅のイチャイチャに朝から何を見せられているのだろうと男二人顔を見合わせるのだった。

先日クリスマスというビッグイベントがありましたよね!

もちろん私はクリぼっちだった訳ですけど、まあそれは置いといて、実は友達が振られてしまったんです。

告白はしてないんですけど好きな相手が付き合っちゃったようで......。

そんな友達が好きな人にその事実を告げられるというビッグイベントに立ち会った訳です。

そりゃあもう文章のネタになるというかぁ〜......ごめん!友達!

ということでしょうもない文章でしたがお読みくださりありがとうございました。

次回は番外編です!

よろしくお願いします!

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