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放課後②

次の日ーーー

僕らは放課後、3階にある文芸部部室に向かっていた。


「ちょっと緊張するね。部員がそんなにいないのは知ってるけど。」


涼河は緊張すると言いながら笑顔だった。

なんか......みたことのない笑顔だった。

なんか、ちょっと嫉妬する。付き合ってた時そんな顔したことなかったのに。春牙がいるから、そんな顔をするんだろうな。

なんだか悔しい気分だ。別に好きあって付き合っていた訳じゃないのはそうなんだけれど。


「恒星どうしたんだ?緊張してるのか?」


春牙はこんな時も周りをよくみて気遣ってくれる。本当凄いやつだ。

やっぱ僕、こんなんで嫉妬するとか、そりゃああんな笑顔にはできないつまんないやつだわ。


「別に......なんでもないよ。」


ちょっと......悔しかったけど。


「あんたねぇ。恒星が緊張する訳ないじゃない。春牙でもないんだから。」

「なんだよ。別に俺もそこまで緊張してる訳じゃないし。」


いつも通り涼河がおちょくりそれに春牙も遠慮なく返す。ただ、いつも通りに見えたが、そんな春牙は言葉では強がっていたが緊張が体に現れていた。

彼女はそんな春牙の震える手を見てふふっと笑った。


そしてそっとその手を握った。


「......な、何握ってんだ。お前。」

「別に......。なんかそう言うこと言ってるくせに手、震えてるなって。」


涼河、頑張ってるな。

ぎゅっと春牙の手を握る彼女。それも、顔を真っ赤にして。

中学の頃とは違う彼女の姿に感動したのも束の間、次の瞬間春牙は涼河の手を振り払った。


「......そういうの、やめな。俺らそう言うんじゃないでしょ。......『親友』でしょ?」


体がふわっと宙に浮いたような気がした。

それは状況がわかってる僕からしたら、涼河にとって、物凄く酷な言葉だったから。


「そ、そうだね。」


振り絞って出た涼河の掠れ声は、多分。春牙の耳には届かなかった。

階段を上がり切った時。彼女は赤い顔をあげた。目から涙をこぼしながら。


「そうだね。」


そう、また春牙に聞こえるように、頷いた。



僕らは3階に上がって、数分歩いて、文芸部部室の前についた。


「活動部屋って......一部屋与えられてるわけじゃないのか。」


涼河はちょっと嫌そうな顔をする。

なんだ、元気じゃん。

少しホッとしながら先ほど知ったことを二人に伝える。


「文芸部の先輩に知り合いがいたこと思い出して聞いてみたけどさ、ここは活動場所って言っても旧コンピューター室で他の授業とかにも使われているところだから別に部室ってわけじゃないんだって、部室は部室棟に別にあるらしいよ。」

「そうか、そう考えると結構待遇良くないか。」

「へぇ〜。まあ部室棟外にあって、外は夏は暑いし冬は寒いし活動には向いてないもんね。部屋分け合うって言ってもこっちで活動した方が良さそうだもんね。」


春牙も涼河もなんだか目を輝かせた。

なんか似てるよな本当。てかやっぱり涼河、文芸部好きなんだな。


「それじゃあ入ろっか。」

「ちょっと待って!」


僕が扉を開けようとすると涼河が割って入ってドアについている窓から中を覗いた。


「ふ〜ん。なんかいるじゃん。」


涼河はさっきよりよっぽど嫌な顔をした。


「なんだ?知り合いか?」


春牙は苦笑いをした。


「こいつ小学の頃はめっちゃ目立ちたがりだったから色々やらかしまくってんだよ、だからここら辺の同級生に結構こいつのこと嫌いな奴いるんだよな、特に女子。」


春牙は大して気にする様子はなく「それじゃあ行こうぜ」と中に入っていく。

さっきまであんな緊張してたくせになんなんだこいつは。

僕の心臓こそ脈打っていったが、涼河も春牙の後ろについて入っていったので、やれやれなんだよと思いながらその後ろに続いた。


「こんにちは、よく来たねぇ。久しぶりだね春牙くんと恒星くんは小学校以来だねえ。」

「お久しぶりです町谷まちや先輩。お元気そうでよかったです。」


パソコンを前に作業していたメガネ女子の先輩。懐かしいその少しおばちゃん味のある声に少し緊張が緩んだ。


「初めまして、涼河秋穂と申します。」

「秋穂ちゃんね〜。軽く有名人だし知ってるよ。こんにちは。」


う〜ん本当こいつ初めての人には礼儀正しいんだよな。

先輩相手にはいつもとは全く違うかしこまった態度の涼河の挨拶が済むと先輩はバッグから3枚の書類を取り出した。


「とりあえずこれ。渡しとくから文芸部に入るならちゃんと親に印もらって出してね。じゃないとは入れないから。」


僕らは受け取ってそれぞれ鞄にしまい、先輩に目配せされたのでそっと椅子に座った。


「他の部員の方はいないんですかね?あと......ちなみに今日はなんの活動をするんですか?」


先輩は僕の言葉にひとつ苦笑いをするとは〜っとため息をついた。


「部員はいるんだけどね〜ちゃんと来てんのは私ぐらいだから今日も私しか来ないだろうし。今日はそりゃ活動内容も特にないからもう帰ってくれてもいいし.....。なんかやりたいことあるなら付き合うけど?」


なんでちょっとキレ気味なんですか......。

確かにあっちでやってる部活はわいわいしてるのにこっちでは先輩がパソコンをカタカタしているだけで、虚しさが漂ってはいたが......。落ち着いてくださいよ先輩。入部希望者なんですよ!


「いや......まあ、特には。先輩に迷惑かけるのも悪いですし。」

「あらら恒星くんなんか丸くなっちゃったね〜。昔はもっとキレッキレだったのにね。」


僕はまあ先輩の気持ちがよくわかるので慮ってあげようと思い今日は帰ることにした。(よくよく考えればなんだか矛盾しているような気もするが)

町谷先輩はパソコンから視線を離さないが落ち着きを取り戻したのか優しく受け答えはしてくれる。

本当変わんないなこの人は、昔にタイムスリップしたかのような気分になるわ。


「すいません。それじゃあ聞きたいことあるんですけど......。今ってどんな話書いてらっしゃるんですかね。」


そこで、暇そうにしてた涼河が流石に大人しくしてるのが退屈だったのか先輩に声をかけた。

先輩はパソコンから目は離さず口を開く。


「まあ......最近はやる気出ないからね。趣味全開の話を書いてるよ。」


僕は気になってパソコンを覗き込んだが......結構な性転換ものだった。これ以上は聞くんじゃないぞ涼河。

涼河はわかってるんだろうがなんなんだか不思議そうな顔をした。


「趣味全開ってなんですか?う〜ん......。ちょっと厨二病的な奴ですか?」


その言葉を聞いて、あの過去を思い出した。先輩とあった小学5年生の夏。

図書室で文を書いていった先輩につい言ってしまい先輩をキレさせてしまったあの言葉を。

先輩はパソコンから目を離さず......いや、パソコンをバシッと閉じて立ち上がって涼河を見た。


「あ、あの。先輩。」

「どうしたんですか先輩?私の方を睨んで......。」

「先輩、落ち着いてください!」


それこそよくわかっていない涼川にかわり僕らがぺこぺこと先輩に頭を下げる。

それでも依然先輩の目の奥に殺気が見えた。

普段の先輩は温厚でいい人なのだが「厨二病」と言われると人が変わったように怒り出す。だからこうなったら謝り続けるしかないよう注意人物なのだ。


「あのね。涼河ちゃん。人には言って良いことと悪いことがあるんだよ?私は厨二病なんかじゃないから、ないから!今すぐ訂正して!」


それでも本気で涼河はよくわかっていないようだった。


「え......あ〜厨二病話は書いてないってことですか?とにかく名前覚えてもらえてるのはすごく嬉しいです!」


怒る先輩、何もわかっていない怒られる後輩に僕らは挟まれて僕らの体からは変な汗がたくさん出てきた。

どっちもある意味恐ろしいわ本当。なんでここで名前の話とかできるんだ。

なんか僕らの周りの女子、頭のネジ一つぶっ飛んでないか?


この場をなんとか打開できないものかと頭を悩ませていると後ろから声がかかった。


「どうしたの町谷ちゃん。なんか楽しそうじゃん。」


殺気だっていた町屋先輩の顔にさらに殺気が浮かんだ感じがした。

後ろを振り返ると身長が高くボーイッシュな女子がいた。さっきまであっちの部活で話していた先輩のようだ。


「なんだよ友希。お前はちゃんとパソコン部やっときなよ。」

「まあまあ、落ち着きなよね。こんな楽しそうなのに混ざらないわけないじゃん。」


友希先輩という人はニコニコ余裕そうに笑う。

なおさらよくわからない状況になったがなんだか町谷先輩がこの友希先輩にいい感情を持っていないということだけはわかった。

そんな中僕が隣を見ると春牙がフリーズしていた。


「友希姉ちゃん......なのか。」


そしてまた春牙の一言にさらにややこしいことになるのだった。

ふと目を合わせる二人と友希先輩を睨みつける涼河、そしてすごく機嫌の悪そうな町谷先輩。

なんだよこのカオスな展開は。



やっと冬休みに入ったということでペースを上げれたらなって思います。

今回は急に新事実発覚!!って感じですがこの先どんな中学時代だったのか番外編だったりで紹介しますので期待しておいてください!

涼河もいいですがこれから美紅も出てくるということで。ぜひ楽しみにしていてください!!

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