放課後①
「恒星。大丈夫?」
僕が机に突っ伏していると涼河が話しかけてきた。
「別に、何ともないぞ。」
まあ多少ショックを受けてはいるが。
「へえ。ふーん。」
僕が珍しく強がっているのを面白がっているのだろう、彼女は適当に相槌を打ちながら僕の背後を取ると、急に頭を撫で始めた。
「な、なんだよ。やめろよ。」
「よしよしー!よく頑張ってるよ恒星は。」
何だよこの学校で同級生にみんなの前で撫で撫でされるプレイは。僕こんなプレイ聞いたことないぞ!
「......やめてくれ。恥ずかしい。」
何だかこいつはお姉さんを気取りたがるんだよな。
少しの間、しょうがなくおとなしく撫でられていたが、流石に周りの視線が痛くなってきて顔を上げて涼河をみた。
「鈴河。今すぐやめてくれ。」
「なんで〜。いいところなのに。」
「やめてといったらやめてくれ.......。」
仕方なく強引に彼女の手を振り解くと彼女はぼそっと悔しそうに「恒星のばかっ。」と言った。
やっぱ涼河って言動が可愛いんだよな。
騒がしい教室。こんなん側から見たらイチャイチャカップルじゃねえか!
急に恥ずかしさが込み上げ、僕は赤い顔を見られない様にと少し俯いた。
少し気まずい時間が流れて。
「仲良いのはわかったからイチャイチャは外でやろうな。」
その時、聞き慣れた声が背後で聞こえた。
涼河は不意に肩に手を置かれビクッと跳ね上がった。
「なんだ春牙じゃん。」
「何でそんな嫌そうな反応すんだよ。本当恒星の時は大違いだよな。」
涼河は顔を真っ赤にして春牙を睨んだ。
「......だっ。だってそれは春牙が悪いでしょ?別に恒星が特別とかそういうわけじゃなくて春牙が逆に特別なんだよ。悪い意味で......。」
「悪い意味で特別って......。何だそれ。」
春牙は苦笑いをした。
「春牙......。なんかお前がいると安心するわ。」
「......お、おお。そりゃどーも。恒星に褒められる分には素直に喜べるわ。誰かさんは皮肉たっぷりに褒めてくれるからな。」
春牙は珍しく照れた様子で照れ隠しなのだろう、涼河に話しをふった。
「それって......誰?」
ただ、涼河は言い返すことなくぽかんとしていた。
「おいおいマジかよ。」
気まずい空気が流れる。
なかなかに酷いことを言ってしまった手前春牙にも悪気があったのだろう申し訳なさそうに机の上にチョコを置いた。
案外律儀なんだよな。こいつ。
涼河は微笑む。してやったりって感じか、やっぱこういうとこ、仲良いよな。
親友の優しさにほっこりして、僕はいつの間にか悩み事を忘れられていた。
「なあ恒星。入る部活は決まったのか?」
放課後、みんな部活動見学に行って誰もいない教室に涼河と二人ダラダラとしていると春牙がきた。
「まあ特に決まってないかな。」
「そっか。」
春牙は眉間に皺を寄せた。
「春牙は決まったの?」
涼河はスマホを見ながら、ただ珍しく春牙に質問した。
「いや決まってないから恒星が入る部活にでも一緒に入りたいな、なんて。」
「あれあんたって恒星と仲良かったっけ?」
「いや、まあ。一応中学のころ一年の時隣の席だったし。」
「ふふーん。それはさぞ仲がいいんだろうね〜。」
一瞬彼女はスマホから顔を上げたがすぐにまた視線を落とした。
春牙は呆れた様にため息をつく。
「恒星。本当どうにか何ないかこいつ。前に出るの苦手なくせにいちいち行動が目立つからさ、秋穂の親によく見とけ支えてやれって言われてんだけどさ......。なあ。」
涼河はスマホから顔を上げた。
「恒星君にそんな話しないでよ。」
「じゃあ少々自重してくれよ。」
「はいはいそうします。」
春牙はまた呆れた様にため息をついた。
「まあ確かに涼河は目立つよね。行動が目立つし容姿も相まって。」
「そうだな〜。こいつ顔は可愛いからな。性格は置いといて。」
「「「.......。」」」
春牙はまた彼女の机にチョコをそっと置いた。
うん春牙。確かにそうかもしれないが反応しずらいからやめてくれ。怒っちゃったじゃないか。
「そ、そういや部活どうしよ。」
春牙がわざとらしく話題を変える。そりゃあなたがこの気まずい空気作ったんですから。本当お願いしますよ。
「僕はあんまり本気でやりたくないな。う〜ん文化部系を希望するかな。」
僕運動はそんなに好きじゃ無いんだよな。
「文化部系って吹奏楽部とか?」
涼河がチョコを食べながらスマホから顔を上げた。
「まあそんな感じ。吹奏楽部はきつそうだけどね。」
週6回練習あるみたいな噂だし......。
「ふ〜ん。そっか」
吹奏楽部に興味があったのか。よくわからないが涼河はまた目線を落とす。
涼河の中学時代は確か文芸部だったはずなのに音楽に興味あったりするのか。
「入りたい部活ないならさ。恒星、文芸部とかどうだ。」
「あ〜文芸部......。」
正直あんま上手く書ける自信ないけどな〜。
「涼河はどう?」
「恒星が入るなら。」
涼河がよくわからないすぐ文芸部に入るって言いそうだったんだけど興味なさそうだし。
そっか......涼河が入るって感じだったら入る気になったんだけどな。
なんか涼川の選択も握ってると思うと即決は良くない気がする。
「てかあんたさ。文芸部ここ弱いとか言って受験しぶってたじゃん。ここでいいの?」
涼河の言葉から何か強い気持ちが底にこもってるようなそんな気がした。
春牙は困った様に笑う。
「まあ。秋穂と一緒に書きたかったし。」
「......そう。」
嬉しそうだった。
珍しく涼河は本当に照れてる感じがした。
「春牙は私がいないとダメだもんね。」
彼女はスマホの電源を落とし冗談めかしてそんなことを言う。
「......そうだな。俺のことわかってくれるのは、秋穂だけだし。何でも言える唯一の親友だからな。」
春牙。やけに素直だ。涼河の顔は刺してくる夕日のせいなのかすごく真っ赤だった。
「そ、そう。親友......ね。」
時間が経って。彼女は少し俯いた後、思い立ったように立ち上がった。
「恒星。文芸部入ろ?」
「ああ。そうしよう。」
僕がすぐ返すと涼河はすごく驚いた表情をしていた。
「えっ?いいの?」
「うん。文芸部に興味あったし。」
彼女は嬉しそうに笑った。
「やった〜!!恒星もいるなら絶対楽しく部活できる!」
「そんな期待しないでおいてくれ......僕そんな自信ないって。」
「恒星なら何でもできるから大丈夫だ。」
春牙もにこっと笑った。
まあ。大丈夫か。僕らならずっと仲良くいられる気がするし。
3人の教室に入る夕陽がずっと強くなって、僕らを明るく照らしていた。
自分のペースで書いていきたいと思います。
これからも投稿続けていけるように作品に愛を持って書いていきたいので応援よろしくお願いします!!!




