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6話

 ロザリーが出て行ってから半月ほど経った頃、領地にいるはずの父上が屋敷に突然やって来た。

 そして、アンリ嬢と昼食を取っていると

「お前は社交界でとんでもないことをしでかしてくれたな! エドリアン侯爵から手紙が届いたぞ」

 と怒鳴っている。そして、アンリ嬢を見るなり

「この女は誰だ! 何故ここにいる」

 と凄い剣幕だ。俺は父上に

「まあ、父上落ち着いてください」

 と言って椅子に座ってもらった。

 すると父上は

「お前のせいで鉱山の採掘のために用意した資金が水の泡だ」

 と言って、ロザリーとの婚姻で得られるはずだった利益の内容について聞かされた。

 思わず俺は

「そんなこと今初めて知りました。それにそのことを教えなかった父上にも責任があるのでは?」

 と返すと

「まさか、お前があんな常識のないことをしでかすなんて誰が思うのだ!」

 と怒鳴っている。だから俺は

「初めから知っていたらロザリーをもっと大事にしていましたよ」

 と言うと、今度はアンリ嬢が

「なんですの? 知っていたら私のことはどうしてたのです!」

 と絡んできた。それを見て父上が

「未だロザリー嬢とは書類上は夫婦なのにもう他の女を屋敷に連れ込んで、これでは全て当家の責任になってしまうではないか」

 と言って焦っている。それを聞いた俺は

「アンリ嬢、すまないが取り敢えず実家の男爵家に戻ってくれないか」

 と言うと

「お断りします。私はもうウェル様とはただならぬ関係なのですから」

 と開き直っている。それを聞いた父上は

「まさか、お前たちこの屋敷で一緒に住んでいるわけではあるまいな?」

 と聞かれると、アンリ嬢が

「そうですわ、私はもう既にこのお屋敷に住んでいるし、ウェル様の子供を身籠もっているかもしれませんわ」

 と火に油を注いでいる。それを聞いた父上は

「エドリアン侯爵にはいくらの慰謝料と違約金を請求されるか。その上、銀行からの融資も全て返済の見込みはない」

 と嘆いている。

 そこへ執事がやって来て父上に

「旦那様、こちらがこの約半月ほどでアンリ様が購入した商品の請求書でございます」

 と言って、父上にその請求書を手渡した。俺もそれを覗き込むととんでもない金額が書かれていた。

 それにはたくさんのドレスや高価な宝飾品が記載されていた。

 俺はアンリ嬢に向かって

「どういうことだ」

 と聞くと

「だって好きにしてかまわないと仰ったではありませんか」

 と言うので

「それにしても限度があるだろう」

 と言うと、黙ってしまった。

 するとランナが

「ロザリー様は公爵家のお金には一切、手を付けずにご自分の持参金から全てのお買い物をなさっていました」

 と言う。俺は頭を抱えていると 父上に

「お前とロザリー嬢の婚姻無効の手続きが済んだらお前はこの公爵家から勘当する」

 と告げられた。俺は思わず

「アンリ嬢とは縁を切って、ロザリーに謝罪に行ってくる」

 と言ったが

「もう全ては遅いんじゃよ、お前がしでかした馬鹿な行いは社交界では有名になりすぎている」

 と言われてしまった。

 俺はこれからどうしたらいいのか、ただ項垂れていた。それなのにアンリ嬢は

「公爵家を勘当されたら私はどうなるの! せめて私に慰謝料くらい払いなさいよ、払えないなら社交界に参加して全てをぶちまけてやるんだから」

 と、脅かしてくる。俺は流石に後悔した。

 だが父上の言う通り、もう遅すぎるのかもしれない。

 屋敷を出て行った父上を追いかけたが、全く相手にされなかった。全ては身から出た錆だった。


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