14話
その後はルイス様のご両親である公爵ご夫妻と、私の両親との顔合わせをして、今後の予定などを話し合った。
元々マーガレットとは長い付き合いの親友だったので、ご両親とも昔からの顔見知りということもあり、このお話はトントン拍子に進んだ。
ただ、私たちの結婚は、マーガレットの挙式が無事に全て終わってからとなり、それまでの間は婚約期間となる。
私とルイス様はお互いに定期的に会い、楽しい時間を過ごしていた。
そうして一年が過ぎ、マーガレットも無事、殿下との挙式を終え、結婚を機に第二王子殿下は公爵位を賜り、マーガレットは公爵夫人となった。
そしていよいよルイス様と私の結婚式が執り行われた。
両家共、円滑にことが運び、ルイス様は公爵家ではあったが、本人たちの希望で極、親しい人たちを招いた普通の結婚式にした。それでも私たちにとってはとても温かい心の籠った結婚式だった。
結婚式が無事に終わり、初夜を迎えた私は思わずウェル様の時の苦い経験を思い出していた。
あの時の人を愛することなど知らなかった私がとった行動と、言動が思い出され、何とも言い難い気持ちに襲われた。
今なら分かるあの日に私がウェル様に告げた言葉がどれだけ酷い言葉だったかが。
『子供が出来ない日の初夜は意味がありませんから』
と言ってしまった言葉、そんな言葉を逆に言われたことを思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになったが、ただあの時のウェル様はルイス様のように誠実な方ではなかったから後悔はしていない。
だけど初夜の行為の意味が今なら分かる気がする。
ただ愛する人とひとつになりたいと思うのは自然なことだと。
私にこんな感情を教えてくださったルイス様に今は心から感謝している。そしてその様な行為を愛する人と出来る喜びに感謝した。
だって、貴族の政略結婚では愛がなくても後継ぎをもうけるためだけにする人も沢山いるのだから。
だからこそ私は今この時を大切にしたい。折角、愛する人と一緒になれたのだから。
私は今、ルイス様の待つ寝室へと入った。ルイス様は少し照れながら私を迎えてくださり、優しいキスをしてくれた。
そしてそれはそれは大切に抱きしめて、何度も愛の言葉を囁いてくれる。私は全てをルイス様に任せて、彼の背中に腕を回した。
私は小さな声で
「こんなにも幸せで怖いくらいです」
と言うと、またすぐに強く抱きしめてくれた。
こうして私たちはひとつになれた。それはただの行為なのかもしれない、だけどなぜか不思議な感覚を覚えた。そう、何か強い絆で繋がりあえたような。
こんな幸せがずっと続きますようにと願いながら、気づけばルイス様の腕の中で眠りに落ちていた。