アルドワ11号世界
「海賊王に……おれはなる‼」
高らかにどこかで聞いたような台詞を爆発させるのは、マンコ・ポーロだ。マルコ・ポーロではなく、マンコ・ポーロだ。ルではなくンだ。いきなり下ネタを言うなと思うかもしれないが、これが彼女の名前なのだから致し方ない。マンコは金髪ショートに修道服という、ルフィのイメージからかけ離れた容姿をしている。原寛貴作品によくいる、ナイチンタイプのキャラだ。
「よし、まずは仲間集めだ。10人は欲しいなあ」
それは前の台詞の前に言っておくべき台詞だろう。順序が逆転裁判だ。海賊が裁判で逆転できる訳がないだろう。海賊版の逆転裁判でも海賊が被告人になることはない。上手い。
「まずはゾロが欲しいなあ」
何で指名しているのだろうか。欲しいからといって貰えるものでもないだろう。
「ゾレト?」
ゾレトが来てしまった。ガチャ的には外れだ。しかし、されど一人目だ。マンコ海賊団の。マンコの一味の。剣士だ。剣豪だ。戦闘員だ。
「よし、ゾレトさん。ロマンシングサドに行きましょう」
「ロ、ロマンシングサド⁉ 海賊の墓場、新潟の孤島ですよ⁉」
海賊の墓場は分かるが、新潟の孤島だと何か悪いのだろうか。赤坂アカの出身地ではないか。しかし、赤坂アカの作品には郷土愛を感じるものはなく、新潟県民からそこまで親しまれていない。推しの子がヒットしなかったら赤坂アカなど、新潟の恥でしかなかっただろう。新潟のごみでしかなかっただろう。岡山のごみさんみたいになった。彼女はまだ漫画を描いているだろうか。
「金山にある宝を手に入れる」
ロマンシングサドなどと大それたネーミングの割に、金山の宝とは捻りがない。
「ゴールドマウンテンサド⁉ あそこには金狼がいますよ‼」
ゴールデンカムイなのかドクターストーンなのか。銀山もあるならそこには銀狼がいるのだろうか。まあいたとしても金狼の方がボスとしては格上だろうが。名前的に。
「ああ、俺とお前なら余裕だろ?」
急にルフィスイッチが入るから困る。それほどまでにルフィという主人公は、我々の人格に深くゴムゴムの銃乱打を捻じ込んできたのだ。
「無理ですよ‼ むりむりむりむりかたつむりですよ‼ むりむり‼」
無理しか語彙がないのだろうか。ゾロかと思ったら完全に初期のコビーではないか。マンコもナイチンではなくほぼルフィだし。
「大丈夫です。神のご加護を信じるのです」
急にナイチンスイッチが入るから困る。しかし、ナイチンはこのようなことを言うキャラクターだっただろうか。ここまでコテコテのシスターキャラでもなかった気がする。
「はいー♨」
やすこになってしまっている。ゾレト君やすこになってしまっている。余談だが、やすことよしこは名前が似ているから混同しがちだ。そもそもこの作品は余談だらけだし、やすことよしこを混同するのも作者くらいだとは思うが。
「ゾレトさん」
「何すか?」
「ちょっと太った?」
「うるせい、知るか」
軽口を叩きながら、マンコとゾレトはロマンシングサドを目指す。目指すといっても、まずは船を手に入れなければならない。そう、夜桜家全員が乗れるくらいの船を。上手い。どれほど残酷な運命ちゃんでも、マンコとゾレトを止めることは出来ない。運命ちゃんがいくら攻撃してきても、それらは決して留まることはないのだから。上手い。
マンコとゾレトは海を眺めていた。二ホンブルーだ。ちなみにマンコとゾレトが今いるところはガタニー大陸という。ガタニー大陸から二ホンブルーを越えると孤島ロマンシングサドに行き着くという訳だ。そこのゴールドマウンテンサドにいる金狼を倒せば宝が手に入るという。
「どうやって海越えます?」
「そりゃあ、船に乗るしかねえだろ」
「そうですが、どうやって船に?」
「メリージェットフォイル号だ‼」
いや、普通にジェットフォイルだろう。マンコとゾレトは船着き場に行き、丁度ロマンシングサドからガタニー大陸へ戻ってきた船を見付ける。そしてマンコとゾレトはその船に乗り込む。密航だ。この二人に乗船料を支払うような甲斐性はない。
「ははあ! 行け行けメリー‼ 出航だああああああああああああああ‼」
「マンコさん! 大声出すと見付かりますよ‼」
「見付かったら倒せばいいさ! 乗組員を‼」
物騒なことを言うが、マンコはこういうパワープレイを躊躇なく実行するから困る。令和のマシュランボーだ。いくつもの夢を抱き締めたいモンキー野郎なのだ。
マンコとゾレトは、何とか乗組員に勘付かれずにロマンシングサドへ行き着いた。いや、途中で気付かれそうになったがパワープレイで乗り切った。令和のマシュランボーだ。いくつもの夢を抱き締めたいモンキー野郎なのだ。
「行くぞ、ゾレト」
「は、はい」
ここに来るまでで結構疲れてしまった。慣れない小説執筆に時間を浪費しすぎたか。などという作者の思いなどどうでもよく、二人は金山を目指し歩を進める。歩くだけでも良い運動になるものだ。と最近運動不足な作者は切に思う。金と歩というと将棋みたいだが、歩兵二枚で果たして金将を取れるだろうか。藤井くんでも厳しい気がする。いやあ、しかし疲れた。最近書き過ぎた。これ書き上げたらしばらく休もう。
「さっきから作者の近況多くないか?」
「ガチで疲弊してきてますね、これ」
マンコとゾレトが作者を非難するが、小説で一番活躍しているのはキャラクターではない。作者だ。作者こそキャラクターという駒を操る藤井くんなのだから。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」
マンコは山道に出てきた山賊達をパワープレイで薙ぎ払う。ゾレトはその後を追う。
「俺はグリズリー・チーターライオン‼ お前みたいな海賊を56人殺してきた‼」
「八拳融合‼」
マンコは八拳を融合させ、無理矢理グリズリーを吹き飛ばした。いや、さすがに雑すぎないか。全てパワープレイで乗り切っているではないか。まさに令和のマシュランボーだろう。いくつもの夢を抱き締めたいモンキー野郎なのだ。そしてこのキャッチコピーを多用しすぎだろう。ツッコミ役のゾレトは呆れながらも付いて行く。そして、金山の頂上に着いた。そこには
「何だよ、何なんだよ、何なんだってばよ三下‼」
ゾレトはそう叫ばずにはいられなかった。何故なら、目の前にあったものは
温泉だ。美女達が浸かっている。
「ああ、君達も浸かるといいよ」
金髪猫耳の少女が二人の来訪者を労う。恐らく、彼女が金狼だろう。狼なら猫耳というよりは犬耳かケモミミといった方が適切かもしれないが、まあそんな細かいことはどうでもいいだろう。
「料理もあるぞ。マンコ肉好きだろ? 肉食え肉」
「はいー♨」
マンコの感情がバグってやすこになってしまった。最近の作者のトレンドネタだろうか。
「ゾレトも美女達に慰めてもらえ。どうせマンコくらいしか性欲処理してくれる相手いなかったろ?」
マンコに性欲処理とは何か嫌らしい言い方だ。というより、そもそもマンコという名前が嫌らしいのだが。女性器ではないか。温泉に美女に美少女に肉にセックス。つまり、これが宝ということだろうか。
「いやいや、違う違う。宝は普通にあるぞ。金塊持ってけ」
金の塊がそこら中に転がっていた。何か色々と申し訳ないというか、有難いというか。ゾレトは深く考えるのをやめ、美女達とのまぐわいを楽しんだ。スターバーストがストリームし、自慰がクリプスした。マンコも肉を美味しそうに頬張る。これこそがワンピース。ワンピースとはウィーアーだったのだ。ウィーアーがメモリーズになる。彼女らのビリーブはランランランしていく。ありったけの夢を掻き集めて。