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アルドワ560号世界〜ぷよぷよしか推せない〜

「魔王ガリレオ・ガリレイは死んだ。これより王道帝国ギャクサイの魔王はこの僕、マジカルドロップだ‼」

「マジドロ兄さん……」

「ガリレイ……」

「魔王様……」


 皆複雑な想いを引きずったまま、新体制は進んで行く。ガリレイは死んだ。死者は蘇生しない。遊戯王ではないのだから。


「ああ、良い、気持ち良いぞレイ」

「ん、んん、くふう」


 レイはマジカルドロップのドロップをマジカルしていた。


「なあレイ。どうだ? 新体制は」

「ええ、貴男は出来る男ね。カリスマ性があるし、堂々としていて何より強い。殺すことに一切の躊躇がない、根っからの殺戮者、最強といっても過言ではない実力者。でも」

「ああ。お前はガリレイが好きだったんだろ?」

「ええ、まあ、そうね。彼は弱いしスケベだけど、それでもユーモラスで優しかった。貴男みたいに簡単に命を奪ったりしない、というか出来ないタイプね。優しすぎるというより甘すぎる男だったわ」

「高評価だな」

「まあ絶対値は貴男と変わらないわ。私の推しはガリレイだけど、貴男が彼より下とも思わない。王の器、覇気という点では貴男を推す人もこの国には実際多いしね」

「ガリレイを殺したのは早計だったかもな」

「それはそうだと思うけど、貴男に『殺さない』という選択肢はないでしょ、『殺す』という選択肢が湧いた時点で」

「まあそりゃあそうだ。シリアルキラーっつうんだっけ。ヤバいよな俺」

「ええ、ヤバいはヤバいわ。あともう一つ」


 レイは指を一本立てる。


「彼のが大きい」


 マジカルドロップは噴き出す。


「はは、殺して良かったかな、それなら」

「ええ、それはそうね」


 レイは退室し、マジカルドロップは自身のドロップをマジカルしていた。


 逆転と裁判の国ギャクサイ

 ノーゲームとノーライフの国ノゲノラ

 ヘヴィーとオブジェクトの国ヘヴィト

 アクセルとワールドの国アクワル

 ドラゴンとボールの国ラゴンボ

 ワンとピースの国ワンピス

 コードとブレイカーの国コドブレ

 タブーとタトゥーの国タブタ

 ランデイとバーストの国ランデバ


「等々、国の数を挙げるとキリがない。しかし我々王道帝国ギャクサイは、これら全ての国に勝たないとならない」

「まあ、それはそうね」


 マジカルドロップの総括に、レイは頷く。


「取り敢えず今挙げた国を順々に切り崩し、取り込んで行こう」

「そうね」


 マジカルドロップの大胆な宣言に、レイは涼やかに応じる。


「ふ、くふう、んん」

「気持ち良いぞテトリス」

「テトリスって呼ばないで下さい」

「悪かった、ぷよぷよ」


 ぷよぷよはテトリスと呼ばれるのを嫌う。そしてぷよぷよという愛称を好く。以前何かあったのだろうか。

 しかし、実の妹に自身のドロップをマジカルしてもらっているとは、マジカルドロップという男は本当に大したものだ。全兄貴が見習うべきだろう。


「兄貴」

「いや、兄貴って」

「マジドロ兄さん」

「何だ?」


 ぷよぷよは恥ずかしそうに顔を伏せる。今のこの状況より羞恥するようなことは果たしてあるのだろうか。


「あの時のこと、忘れてないよ」


 ぷよぷよは袖を捲り、左腕に嵌めた腕輪を見せる。


「俺もだ」


 マジカルドロップは右手の手袋を外し、五本全ての指に嵌められた指輪を見せる。


「『トトスの木の誓い』だろ? 忘れる訳ないだろ」

「うん、コウとオズもきっと」


 彼らが何を言っているのか全く分からないが、まあ過去に感動的な何かがあった結果、二人はこんな感じになってしまったと理解しよう。

 ワンピースの過去話のようなものであり、特に意味などないのだ。そして麦わらの一味の連中は馬鹿みたいに重い過去を持ちすぎだ。

 人間なのだから全く何の苦労もせずに運だけで成り上がった奴とか居ても良いだろう。


 そう、バギーのような心……


 天変地異

 驚天動地


「この二つが天動力と地動力の奥義だ」


 というマジカルドロップに、レイは疑問を投げ掛ける。


「どういう技なの?」

「天変地異は主に天災、震災。雷雨だったり地震だったり竜巻だったり地割れだったり」

「驚天動地は?」

「天変地異を極めた先にある力で、不可能を可能とする」

「要するに、神に成れる力ってこと?」

「ああ、成り上がり、変身、進化現象だな。言ってしまえば、自分自身が天災や震災に成る力だ。雷神だったり風神だったり世界樹だったりな」


 簡単そうに言うマジカルドロップだが


「貴男は出来るの?」

「天変地異は出来る、がまだ極めていない」

「つまり、まだ驚天動地の域ではないと」

「ああ、俺が成れないくらいだから、そのレベルの難易度が大体推し量れるだろ? お前でも厳しいと思うぞレイ」

「ええ、まあそうね。でも」

「ガリレイならイケたかも、とか言うんだろお前は。ホント大好きだなお前」

「ガリレイのが大きいしね」

「その話好きだなお前」

「器の話よ」

「だから器の話だろ?」

「? いや、まあそうね」


 少し理解できなかったレイは、適当に会話を転がしておく。困った会話は取り敢えず転がしておけば何とかなるのだ。分からない部分はハッタリで押し通せばいい。


「俺らの眷属にも俺らに近い力が渡る」

「つまり、眷属にも天変地異を使える可能性が」

「ああ、そして稀にだが、眷属の方が使いこなせる可能性すらある」


「あっひゃっひゃ、おれのやりたかったこと全部出来る‼ これがおれの最高地点‼」

「驚きだよ。まさかモンキーくんが」


 モンキー・デーモン・ルシファーは既に驚天動地へ至っていた。髪も服も白くなり、ポップでユニークな自由そのものみたいな姿になっている。


「おれも天変地異なら出来るぜええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ‼」


 サン・Gも天変地異を使いこなしていた。さすがに驚天動地とまでは行かないが。


「そしてテト、ぷよぷよは」

「あ、はい」


 ぷよぷよの身体は発光し、衣服は弾け飛ぶ。そして無数のグミみたいなものが肢体を隠す。これは驚天動地に至った者に現れる現象だ。

 モンキーの場合は少し特殊で、さらにその上の段階へ進んでいる。所謂、覇王驚天動地というものだ。ぷよぷよのは基本驚天動地だ。


「うーん、エロい。いや、強いな。よしよし、僕の眷属達は大体良い感じだ。眷属が強くなれば連動的に僕も強くなる。王と眷属は相互関係、共依存関係だからね」


 レイの方、つまり天子達はというと


「異議あり‼ 異議あり‼ 食らえ‼」


 ナル・フォードは天変地異が何とか使えて、


「異議あり‼ 異議あり‼ 食らいたまえ‼」


 ミッツ・ルギーはナル・フォード以上に天変地異を使いこなし、


「無罪‼ 無罪‼ 有罪‼」


 裁判長は何と驚天動地まで至れるという。いや、ジジイの裸など誰も見たくはないが。

 そしてレイ自身はというと、


「私の完璧な肢体を見なさい‼」


 身体が発光し衣服が弾け飛ぶ。そして、茨のようなもので肢体を隠す。エロい。

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